38PM73|第38回 臨床工学技士国家試験 過去問
人工心肺による体外循環離脱時に大動脈解離が疑われた場合、行う処置はどれか。 a.灌流温を下げる。 b.送血量を上げる。 c.IABPを挿入する。 d.ヘパリンを追加する。 e.経食道エコーで確認する。
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正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この問題では、人工心肺からの離脱時に大動脈解離が疑われた場合の対応が問われています。
小項目の正誤は次のように整理します。
- a:正しい
- b:誤り
- c:誤り
- d:誤り
- e:正しい
したがって、a、eを含む選択肢2が正答です。
解説
人工心肺による体外循環離脱時に大動脈解離が疑われた場合、送血圧や大動脈内の血流状態が重大な問題になります。
大動脈解離では、大動脈壁の内膜が裂け、血液が中膜内へ入り込むことで真腔と偽腔が形成されます。解離が進展すると、臓器灌流障害、破裂、心タンポナーデ、大動脈弁逆流など、致命的な合併症につながります。
疑った時点で、まず診断を確認し、循環動態を悪化させないように対応します。
経食道エコーは、手術室内で大動脈、心機能、大動脈弁、偽腔、解離の範囲などを評価できる有用な検査です。そのため、経食道エコーで確認することは適切です。
また、状況により再度循環停止や修復操作に備える必要があり、臓器保護のために灌流温を下げる対応が考えられます。低体温は酸素消費量を低下させ、臓器保護に役立ちます。
一方、送血量を上げると、偽腔への血流や大動脈壁へのストレスを増やし、解離を悪化させる危険があります。
IABPは大動脈内でバルーンを拡張・収縮させる装置であり、大動脈解離が疑われる状況では原則として適しません。大動脈内操作により解離を悪化させる可能性があります。
ヘパリン追加は抗凝固を強めますが、大動脈解離の確認や進展予防の処置ではありません。出血リスクも考える必要があります。
人工心肺管理でのポイント
離脱時に異常な送血圧上昇、灌流不良、心機能悪化、左右差、経食道エコー所見などがあれば、大動脈解離を疑います。疑ったら安易に流量を上げず、原因確認と術者への報告を優先します。
臨床工学技士としての注意点
体外循環中は、送血圧、脱血状態、灌流量、温度、血液ガス、尿量、ACT、回路圧を継続監視します。大動脈解離が疑われる場合は、送血条件の変更が病態を悪化させる可能性があるため慎重に対応します。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1はa、bの組合せです。灌流温を下げることは適切ですが、送血量を上げることは解離を悪化させる危険があり不適切です。
2.正しい。
選択肢2はa、eの組合せです。灌流温を下げて臓器保護を図り、経食道エコーで大動脈解離を確認する対応は適切です。
3.誤り。
選択肢3はb、cの組合せです。送血量を上げることも、IABPを挿入することも不適切です。
4.誤り。
選択肢4はc、dの組合せです。IABPは大動脈解離が疑われる状況では適さず、ヘパリン追加も解離確認や進展予防の主処置ではありません。
5.誤り。
選択肢5はd、eの組合せです。経食道エコーで確認することは適切ですが、ヘパリン追加は不適切です。
覚えるポイント
- 大動脈解離が疑われたら、まず経食道エコーなどで確認します。
- 送血量を上げると解離を悪化させる可能性があります。
- IABPは大動脈解離が疑われる場合には適しません。
- 灌流温を下げることで臓器保護を図ることがあります。
- 体外循環離脱時の異常では、流量・圧・エコー所見を総合的に確認します。