歯科医師国家試験の出題傾向分析

歯科医師国家試験は毎回360問が出題され、領域A・領域Bの相対基準と必修問題の絶対基準をすべて満たす必要がある、医療系国家試験の中でも合格率の低い試験です。直近の第119回は受験者2,837名・合格者1,757名で合格率61.9%と、第118回の70.3%から8.4ポイント下落し、過去10回で第115回の61.6%に次ぐ低水準となりました。6割前後しか受からない試験である以上、頻出分野の網羅と画像読影力の底上げが合否を分けます。本記事では直近5回・1,800問の出題データから、分野別の実態と対策の優先順位を解説します。

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合格率と合格基準

直近の合格率61.9%第119回・受験2,837人/合格1,757
合格基準領域A(総論)と領域B(各論)は受験者の得点分布から毎回ボーダーが算出される相対基準、必修問題は絶対基準で80%以上の得点が必要(第119回は領域A 99点中67点以上、領域B 352点中235点以上、必修77点中62点以上。必修の満点は採点除外問題により変動する)。
回次実施年受験者数合格者数合格率
第119回20262,8371,75761.9%
第118回20253,0392,13670.3%
第117回20243,1172,06066.1%
第116回20233,1572,00663.5%
第115回20223,1981,96961.6%
第114回20213,2842,12364.6%
第113回20203,2112,10765.6%
第112回20193,2322,05963.7%
第111回20183,1592,03964.5%
第110回20173,0491,98365%

受験者数・合格者数・合格率は各実施機関の公式発表値(出典)。合格基準の詳細・最新情報は必ず公式発表をご確認ください。

直近回(第119回)で出題が変化した分野

▲ 増加社会歯科第119回: 29(それ以前の平均 22.5問)

直近回(第119回)の総評

第119回の合格率は61.9%で、70.3%だった第118回から8.4ポイントの大幅な下落となりました。過去10回の範囲では第115回の61.6%に次ぐ厳しい結果です。合格基準は、領域A(総論)が99点中67点以上、領域B(各論)が352点中235点以上のいずれも相対基準、必修問題が77点中62点以上の絶対基準(80%以上、満点は採点除外問題により変動)でした。分野構成では、最大分野の歯科臨床が190問と第118回の195問からやや減少した一方、社会歯科が21問から29問へ増加し、基礎歯科医学も51問から55問へ増えました。臨床一辺倒ではなく、制度・公衆衛生や基礎系の足元を突く方向への揺り戻しがうかがえます。形式面では画像問題が143問と、直近5回で最多だった第115回の169問から回を追って減少しているものの、依然として全体の約4割を占めます。複数選択問題も131問と全体の3分の1を超えており、消去法が効きにくい構成です。相対基準の試験で合格率が6割台前半まで下がった回である以上、標準的な頻出問題の取りこぼしが致命傷になったと捉えるべきで、次回に向けては網羅性の確保が最優先課題になります。

頻出分野ランキングと分野別対策

  1. 歯科臨床毎回平均 195問(全体の54%)

    直近5回で975問と全体の約54%を占める圧倒的な最大分野で、毎回190〜199問が出題されます。内訳は歯科補綴学228問を筆頭に、小児歯科学128問、口腔外科学125問、歯科矯正学121問、歯内療法学112問、歯周病学109問、歯科放射線学106問、保存修復学46問と、臨床各科がまんべんなく問われます。第119回A044・A047のような補綴の問題、A022のような口腔外科の問題が典型です。突出した最頻出テーマである補綴は、義歯の設計・印象・咬合の一連の流れを症例ベースで問われるため、手順の丸暗記ではなく「なぜその選択か」まで理解して臨む必要があります。この分野の得点率がそのまま領域Bの相対基準突破を決めると考えて、学習時間の半分以上を投じるべきです。

  2. 歯科医学総合毎回平均 74.4問(全体の21%)

    直近5回で372問、毎回70〜78問が出題される第2の分野で、テーマ別集計でも総合問題372問として全テーマ中最多です。第119回ではA003・A008・A018のような、特定の一科に閉じない横断的な問題が出題されました。複数の臨床科目や基礎知識を組み合わせて症例全体を判断させる形式が中心で、個別科目の学習が仕上がっていないと手も足も出ない反面、各科の学習が進めば自然に得点が伸びる分野でもあります。対策としては、科目別の学習を一巡させた後に総合問題を集中的に演習し、「どの科の知識を呼び出すべきか」を見抜く訓練を積むのが定石です。毎回70問超という配点は歯科臨床に次ぐ規模であり、直前期の演習の主戦場になります。

  3. 基礎歯科医学毎回平均 52.2問(全体の14%)

    直近5回で261問、毎回46〜59問が出題され、第119回は55問と第118回の51問から増加しました。内訳は口腔解剖・組織・発生が127問と突出し、生理・生化学・薬理68問、病理・微生物・免疫39問、歯科理工学27問と続きます。第119回A002・A004のような解剖・組織の問題が代表例です。特に口腔解剖・組織・発生はテーマ別でも上位に入る頻出領域で、歯の発生・萌出や顎顔面の構造は毎回確実に問われます。低学年で学んだ内容のため記憶が薄れやすく、直前期に「取れるはずの問題」を落とす典型分野です。臨床科目との関連を意識しながら早めに一巡し、図を描いて構造を再現できるレベルまで戻しておくと、領域Aの得点が安定します。

  4. 社会歯科毎回平均 23.8問(全体の7%)

    直近5回で119問、毎回21〜29問が出題されます。第119回は29問と、第118回の21問から大きく増加した点は見逃せません。内訳は公衆衛生・予防歯科69問、法規・医療制度50問で、第119回A009・A013のような公衆衛生の問題、A007・A033のような法規・制度の問題が出題されました。暗記中心で対策効果が最も出やすい分野であり、統計指標・歯科保健施策・関係法規の頻出事項は過去問の反復だけで得点が固まります。出題数が増加傾向にあることを踏まえると、後回しにする理由はありません。臨床科目の合間に短時間で回せる分野なので、隙間時間の学習に割り当て、確実な得点源として仕上げておくことを推奨します。

  5. 全身管理毎回平均 14.6問(全体の4%)

    直近5回で73問、毎回10〜18問と最小の分野ですが、第115回の10問から第119回の16問・第118回の18問へと増加基調にあります。テーマとしては医学・全身疾患73問で、第119回A001・A062のような全身疾患と歯科治療の関わりを問う問題が典型です。高齢患者や有病者の歯科治療が臨床上の重要課題である以上、バイタルサイン、主要な全身疾患の病態、服用薬と歯科処置の注意点は今後も問われ続けると考えるべきです。出題数自体は多くないものの、歯科臨床の口腔外科や総合問題でも全身管理の知識は前提になるため、投資効率は数字以上に高い分野です。主要疾患を絞って確実に押さえる学習が適しています。

分野別の出題数(全収録回の合計)

歯科臨床975(54%)
歯科医学総合372(21%)
基礎歯科医学261(14%)
社会歯科119(7%)
全身管理73(4%)

分野×回次のクロス集計

分野第119回第118回第117回第116回第115回合計
歯科臨床190195199199192975
歯科医学総合7075787376372
基礎歯科医学5551465059261
社会歯科2921212523119
全身管理161816131073

頻出テーマ TOP10

  1. 歯科医学総合総合問題372
  2. 歯科臨床歯科補綴学228
  3. 歯科臨床小児歯科学128
  4. 基礎歯科医学口腔解剖・組織・発生127
  5. 歯科臨床口腔外科学125
  6. 歯科臨床歯科矯正学121
  7. 歯科臨床歯内療法学112
  8. 歯科臨床歯周病学109
  9. 歯科臨床歯科放射線学106
  10. 全身管理医学・全身疾患73

出題形式の統計(回次別)

回次問題数画像・図表つき5678複数選択
第119回360143(40%)356211131
第118回360154(43%)3582141
第117回360152(42%)35721148
第116回360162(45%)35811140
第115回360169(47%)3591143

画像・図表つき問題や複数選択形式の比率は、実際の解き味と時間配分に直結します。 比率が高い回次が続く場合は、画像問題への慣れを演習に組み込んでおくのが安全です。

合格から逆算する学習戦略

合格率6割台の相対基準試験では、難問の正解よりも頻出問題の網羅が合否を決めます。優先順位の第一は全体の約54%を占める歯科臨床です。最頻出の歯科補綴学228問を軸に、小児歯科・口腔外科・矯正・歯内・歯周・放射線がいずれも100問超で並ぶため、特定の科を捨てる戦略は成立しません。前半期は臨床各科を教科書ベースで一巡し、中盤からは毎回70問超の歯科医学総合、すなわち科目横断の総合問題演習へ移行します。並行して、口腔解剖・組織・発生127問を中心とする基礎歯科医学を早めに復習し、領域Aの土台を固めてください。社会歯科は第119回に29問へ増加しており、暗記で確実に伸びる得点源として隙間時間に回し続けるのが効率的です。過去問は直近5回・1,800問が分析対象として揃っています。使い方は、まず第119回を時間配分どおりに通しで解き、領域A・領域B・必修それぞれの得点率を測ることから始めます。必修は77点中62点以上という絶対基準があるため、基本事項の抜けは相対基準以前の問題として最優先で潰します。この試験の最大の特徴は画像依存度の高さで、毎回143〜169問、全体の4割前後がエックス線写真・口腔内写真・模型などの画像を含みます。演習では必ず画像から所見を拾ってから選択肢を読む順序を徹底してください。また複数選択問題が毎回131〜148問と多く、全選択肢の正誤を独立に判定する力が求められます。分野別の演習はこのサイト上でも行えます。

よくある質問

歯科医師国家試験の合格率はどのくらいですか?

直近の第119回は受験者2,837名・合格者1,757名で合格率61.9%でした。過去10回では61.6%(第115回)から70.3%(第118回)の間で推移しており、おおむね6割台前半〜後半の試験です。第118回の70.3%から第119回は8.4ポイント下落しており、回による変動が大きいのも特徴です。医療系国家試験の中でも合格率が低い部類であり、相対基準で受験者間の競争になることを前提とした網羅的な対策が必要です。

合格基準・ボーダーはどうなっていますか?

3つの基準をすべて満たす必要があります。領域A(総論)と領域B(各論)は受験者の得点分布から毎回ボーダーが算出される相対基準で、第119回は領域Aが99点中67点以上、領域Bが352点中235点以上でした。必修問題は絶対基準で80%以上の得点が必要で、第119回は77点中62点以上でした(必修の満点は採点除外問題により変動します)。相対基準の2領域は「周囲より落とさないこと」、必修は「基本を確実に取ること」がそれぞれ求められます。

過去問は何年分解くべきですか?

本サイトでは直近5回・1,800問を収載しており、まずこの範囲の完全習得を目標にすることを推奨します。5回を通じて毎回360問・歯科臨床が半数超という構成は一貫しており、補綴・小児・口腔外科・矯正など頻出テーマは5回分でほぼ網羅できます。最新の第119回を通しで解いて現在地を測り、分野別に遡って弱点を潰した後、直前期にもう一度通し演習で時間配分を確認する流れが効率的です。

最も配点が大きい分野はどこですか?

歯科臨床です。直近5回の合計で975問と全1,800問の約54%を占め、毎回190〜199問が出題されます。テーマ別では歯科補綴学が228問で臨床科目中の最多、次いで小児歯科学128問、口腔外科学125問、歯科矯正学121問、歯内療法学112問、歯周病学109問、歯科放射線学106問と続きます。単一テーマとしては科目横断の総合問題が372問で最多であり、臨床各科の知識を統合して使う力が最終的な得点を決めます。

画像問題が多いと聞きますが、どの程度ですか?

直近5回では毎回143〜169問、第119回は143問と、全360問の約4割が画像を含む問題です。これは医療系国家試験の中でも際立って高い比率で、エックス線写真・口腔内写真・模型・病理像などの読影が得点の前提になります。さらに複数選択問題も毎回131〜148問と多く、画像所見を正確に読んだうえで全選択肢の正誤を判定する力が必要です。演習の段階から画像を先に読む習慣をつけることが最も効果的な対策です。

回次ごとの収録問題数

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本ページはコクシメイク収録の全問題データから自動集計しています。分野の分類は編集部の整理に基づくもので、 公式の出題基準とは異なる場合があります。演習は学習アプリから、問題の閲覧は歯科医師国家試験のページからどうぞ。