柔道整復師国家試験の出題傾向分析

柔道整復師国家試験は毎回250問が出題され、必修問題(50問)で80%以上、一般問題(200問)で60%以上という2つの基準を同時に満たす必要があります。合格率は変動が大きく、直近10年では第31回の49.6%から第34回の71.5%まで振れ幅があります。第34回は受験者4,434人・合格者3,170人で合格率71.5%と、第33回の57.8%から大きく持ち直しました。直近3回・計750問の分析では、柔道整復理論・外傷学だけで254問と全体の約34%を占め、この分野の攻略が合否を直接左右する構造です。本記事では5分野の出題実態と、二重の合格基準を突破する学習戦略を解説します。

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合格率と合格基準

直近の合格率71.5%第34回・受験4,434人/合格3,170
合格基準必修問題(全50問・1問1点)で総点数の80%以上(40点以上)、かつ一般問題(全200問)で総点数の60%以上(120点以上)の両方を満たした者が合格(第28回から必修が30問→50問に変更)。
回次実施年受験者数合格者数合格率
第34回20264,4343,17071.5%
第33回20254,5132,60757.8%
第32回20245,0273,33766.4%
第31回20234,5212,24449.6%
第30回20224,3592,74062.9%
第29回20214,5613,01166%
第28回20205,2703,40164.5%
第27回20196,1644,05465.8%
第26回20186,3213,69058.4%
第25回20176,7274,27463.5%

受験者数・合格者数・合格率は各実施機関の公式発表値(出典)。合格基準の詳細・最新情報は必ず公式発表をご確認ください。

直近回(第34回)の総評

第34回は受験者4,434人に対し合格者3,170人、合格率71.5%でした。第33回の57.8%から13.7ポイントの大幅上昇で、直近10年(第25回〜第34回)では最も高い水準です。ただし第31回49.6%、第33回57.8%という厳しい回もあり、難易度変動を前提に準備すべき試験であることは変わりません。分野構成では柔道整復理論・外傷学の増加が顕著で、第32回77問→第33回85問→第34回92問と回を追うごとに比重を高め、第34回では250問中92問、約37%に達しました。一方、病理学・一般臨床医学は57問→56問→49問、生理学・運動学は51問→49問→46問と微減傾向です。関係法規・社会保障・医療安全は36問→28問→32問、解剖学・画像基礎は29問→32問→31問で安定しています。形式面では画像問題が第32回11問→第33回10問→第34回6問と減少し、複数選択形式も第34回は4問と少なめでした。専門分野への傾斜が強まるなか、軟部組織損傷・骨折各論といった柔道整復理論の核心テーマを固めた受験生ほど有利になる出題構成といえます。

頻出分野ランキングと分野別対策

  1. 柔道整復理論・外傷学毎回平均 84.7問(全体の34%)

    直近3回で254問、全体の約34%を占める最大分野で、第32回77問→第33回85問→第34回92問と増加し続けています。テーマ別では軟部組織損傷が99問、骨折各論が88問と突出し、この2テーマだけで187問、全出題の4分の1に迫ります。第34回の34AM23〜34AM26(軟部組織損傷)や34AM5〜34AM8(骨折各論)のように、各論が連続してまとまって出題されるのが特徴です。脱臼・小児肘も36問と定番。対策は、外傷ごとに定型・好発・症状・整復法・固定法・続発症を1枚の表に整理し、部位を横断して比較しながら覚えることです。骨折各論では部位別の鑑別点が繰り返し問われます。この分野の完成度がそのまま合否に直結するため、学習時間の配分は最優先にしてください。

  2. 病理学・一般臨床医学毎回平均 54問(全体の22%)

    3回合計162問、全体の約22%を占める第2の柱です。出題は第32回57問→第33回56問→第34回49問とやや減少していますが、依然として毎回50問前後が出ます。テーマは幅広く、最多は整形外科疾患(27問)で、34PM57・34PM58のように柔道整復の実務に近い疾患が問われます。ほかに血液・腫瘍・輸血(16問)、代謝・内分泌・膠原病(16問)、外科・救急・麻酔(16問)、循環器・呼吸器(15問)、病理総論・循環障害(13問)とテーマが分散しているのが特徴です。広く浅く問われる分野なので、深追いは禁物。まず整形外科疾患を優先し、内科系は各疾患の定義・典型症状・特徴的な検査所見に絞って整理すると、投入時間に見合った得点が期待できます。

  3. 生理学・運動学毎回平均 48.7問(全体の19%)

    3回合計146問、全体の約2割を占めます。第32回51問→第33回49問→第34回46問と推移し、安定した主要分野です。テーマは細胞・筋・神経生理(27問)と運動学・身体機能(27問)が同数で最多。34AM81〜34AM84のような基礎生理と、34AM106・34AM107のような関節運動や筋作用を問う出題が対をなします。ほかに呼吸・腎・消化・代謝(22問)、リハビリテーション医学(21問)、血液・免疫・循環生理(18問)と、生理学全域から満遍なく出ます。丸暗記に走らず、メカニズムの流れ(刺激→伝達→反応)で理解するのが結局は近道です。運動学は柔道整復理論の外傷理解とも直結するため、骨・関節・筋の作用は図と結びつけて確実に押さえておきましょう。

  4. 関係法規・社会保障・医療安全毎回平均 32問(全体の13%)

    3回合計96問で、第32回36問→第33回28問→第34回32問と毎回30問前後が出題されます。テーマは医療制度・関係法規(20問)、公衆衛生・疫学(20問)、柔道整復師法(13問)が中心です。柔道整復師法は34AM43〜34AM46のように連続して問われることがあり、免許・業務範囲・広告制限などの条文知識が定番です。この分野の特長は、暗記がそのまま得点になり、難化の影響を受けにくいこと。合格基準が固定されている本試験では、こうした「計算できる得点源」の価値が高くなります。直前期の詰め込みが効くため、制度の枠組みと数値(統計・疫学の指標を含む)を一覧化し、試験直前に集中的に仕上げる戦略が有効です。

  5. 解剖学・画像基礎毎回平均 30.7問(全体の12%)

    3回合計92問、第32回29問→第33回32問→第34回31問と最も安定した分野です。テーマは内臓・脈管の解剖(32問)が最多で、34AM59〜34AM62のように骨格系以外の解剖が意外なほど厚く問われます。次いで神経・内分泌・感覚器(28問)、細胞・組織・骨関節(13問)。柔道整復師を目指す受験生は運動器の解剖に偏りがちですが、出題データは内臓・脈管・神経系の対策不足が失点につながることを示しています。対策は、系統解剖を図で覚えること、そして走行・支配・位置関係のように「AとBの関係」を問える形で整理することです。解剖の知識は柔道整復理論と生理学の理解の土台にもなるため、学習の序盤に置くのが効率的です。

分野別の出題数(全収録回の合計)

柔道整復理論・外傷学254(34%)
病理学・一般臨床医学162(22%)
生理学・運動学146(19%)
関係法規・社会保障・医療安全96(13%)
解剖学・画像基礎92(12%)

分野×回次のクロス集計

分野第34回第33回第32回合計
柔道整復理論・外傷学928577254
病理学・一般臨床医学495657162
生理学・運動学464951146
関係法規・社会保障・医療安全32283696
解剖学・画像基礎31322992

頻出テーマ TOP10

  1. 柔道整復理論・外傷学軟部組織損傷99
  2. 柔道整復理論・外傷学骨折各論88
  3. 柔道整復理論・外傷学脱臼・小児肘36
  4. 解剖学・画像基礎内臓・脈管の解剖32
  5. 解剖学・画像基礎神経・内分泌・感覚器28
  6. 生理学・運動学細胞・筋・神経生理27
  7. 生理学・運動学運動学・身体機能27
  8. 病理学・一般臨床医学整形外科疾患27
  9. 生理学・運動学呼吸・腎・消化・代謝22
  10. 生理学・運動学リハビリテーション医学21

出題形式の統計(回次別)

回次問題数画像・図表つき4複数選択
第34回2506(2%)2504
第33回25010(4%)2508
第32回25011(4%)2503

画像・図表つき問題や複数選択形式の比率は、実際の解き味と時間配分に直結します。 比率が高い回次が続く場合は、画像問題への慣れを演習に組み込んでおくのが安全です。

合格から逆算する学習戦略

戦略は二重の合格基準から逆算します。必修問題は50問中40点(80%)以上、一般問題は200問中120点(60%)以上。この2つを同時に満たす必要があり、必修の8割という高いハードルは基本事項の取りこぼしを許しません。得点の柱は最大分野の柔道整復理論・外傷学です。直近3回で254問・全体の約34%を占め、第34回は92問と増加傾向にあります。中でも軟部組織損傷(99問)と骨折各論(88問)は2テーマで187問に達し、ここを固めずに合格はありません。学習の順序は3段階が効率的です。まず基礎期に解剖学・画像基礎(3回で92問)と生理学・運動学(146問)を固めます。外傷の理解は解剖・運動学の知識が前提であり、遠回りに見えて柔道整復理論の学習速度を上げます。次に中核期として柔道整復理論の各論を、外傷別の整理表(定型・症状・整復・固定・続発症)を作りながら徹底演習します。並行して病理学・一般臨床医学(162問)を整形外科疾患中心に進めましょう。直前期は関係法規・社会保障・医療安全(96問)の暗記を仕上げ、250問の通し演習で時間配分を確認します。法規・公衆衛生は直前の詰め込みが効く分野です。忘れてはならないのが合格率の変動です。直近10年は49.6%(第31回)から71.5%(第34回)まで振れており、基準が固定されている以上、難化した回でも6割を守れる実力が必要です。過去問は直近3回分750問を最低限とし、頻出テーマの反復で仕上げましょう。当サイトの分野別演習も弱点補強に活用してください。

よくある質問

柔道整復師国家試験の合格率はどのくらいですか?

第34回は71.5%(受験者4,434人・合格者3,170人)でした。ただし直近10年では第31回49.6%、第33回57.8%など大きく変動しており、49.6〜71.5%の幅があります。おおむね6割前後で推移する、医療系国家試験のなかでは合格率が低めの試験です。回による難易度差を前提に、余裕を持った実力づくりが必要です。

合格基準・ボーダーラインは何点ですか?

必修問題(全50問・1問1点)で総点数の80%以上(40点以上)、かつ一般問題(全200問)で総点数の60%以上(120点以上)の両方を満たすことが条件です。第28回から必修問題が30問から50問に増え、必修の比重が高まりました。必修は8割という高い基準のため、基本事項での失点が命取りになります。どちらか一方だけ満たしても不合格です。

過去問は何年分解くべきですか?

まず直近3回分(750問)を完全に仕上げることを推奨します。柔道整復理論の軟部組織損傷(99問)・骨折各論(88問)をはじめ、同じテーマが繰り返し出題されるため、3回分でも頻出パターンは十分に掴めます。1周で終えず誤答した問題を中心に周回し、正答の根拠と他の選択肢の誤りを説明できる状態を目指しましょう。合格率が5割前後まで下がった回もある試験なので、演習の完成度が合否を分けます。

最も配点が大きい分野はどこですか?

柔道整復理論・外傷学です。直近3回で254問、全体の約34%を占め、第32回77問→第33回85問→第34回92問と増加を続けています。第2位の病理学・一般臨床医学(162問)を大きく引き離す最大分野で、軟部組織損傷と骨折各論の2テーマだけで187問に達します。この分野の完成度がそのまま合否に直結すると考え、学習時間を最優先で配分してください。

なぜ合格率が大きく変動するのですか?

合格基準が必修80%・一般60%と固定されているため、問題の難易度がそのまま合格率に反映されるからです。実際、第31回49.6%→第32回66.4%→第33回57.8%→第34回71.5%と毎回大きく動いています。前回が易しかったから次も易しいという予測は通用しません。どの難易度でも基準を超えられるよう、頻出分野を軸に盤石な基礎を作ることが唯一の対策です。

回次ごとの収録問題数

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