111Q271|第111回 薬剤師国家試験 過去問
80 歳男性。2 日前、39.2 ℃ の発熱、悪寒、呼吸苦が認められたため、家 族に連れられて救急外来を受診。意識は清明であったが、血圧は低下傾向 (96/58 mmHg)、呼吸数は増加(24 回/分)しており、血液検査では CRP 18.4 mg/dL 及び白血球数 15,200/μL であった。胸部 X 線では右下葉に浸潤影を 認め、市中肺炎に伴う重症感染症が疑われ、即日入院となった。休日の夜間帯であ り迅速な対応が求められたため、当直医は広域抗菌薬であるメロペネム水和物点滴 用1 回1 g を1 日3 回、静脈内投与で開始した。 入院翌日、薬剤師が持参薬を確認したところ、全般発作型てんかん治療のためバ ルプロ酸ナトリウム徐放錠 200 mgを服用中であることが発覚した。入院後も発作 の症状はみられていない。 薬剤師が医師に提案する内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
メロペネムとバルプロ酸は併用禁忌で、血中濃度低下を増量で補えません。感染治療を維持しながら、発作再燃を避ける変更を選びます。
解説
カルバペネム系薬を併用するとバルプロ酸濃度が急激かつ著明に低下し、発作が再燃することがあります。影響はバルプロ酸の増量だけでは予測どおり補正できず、カルバペネム中止後も回復に日数を要するため、原則として併用を避けます。本例では重症感染症の抗菌治療自体は必要なので、想定病原体、培養結果、臓器機能を確認しつつ、メロペネムを非カルバペネム系のタゾバクタム・ピペラシリンへ変更し、バルプロ酸治療を継続する提案が最も妥当です。発作がまだないことは併用継続の根拠にならず、抗てんかん薬の急な中止も危険です。
選択肢の確認
1.バルプロ酸ナトリウムを中止し、抗菌薬治療を優先する。:誤り。抗てんかん薬の急な中止で発作を誘発し得ます。
2.メロペネム水和物を継続し、バルプロ酸ナトリウムの用量を増量する。:誤り。濃度低下は増量で安定して補えず、併用自体を避けます。
3.メロペネム水和物を継続し、意識障害について精神科への受診を勧める。:誤り。意識は清明で、まず重大な薬物相互作用へ対応します。
4.メロペネム水和物をタゾバクタム・ピペラシリンに変更し、バルプロ酸ナトリ ウムの治療を継続する。:正答。感染治療を続けつつ禁忌の併用を解消します。
5.バルプロ酸ナトリウムを中止し、カルバマゼピンに変更する。:誤り。全般発作での安易な変更は不適切で、急な切替えも危険です。
覚えるポイント
カルバペネム+バルプロ酸は併用禁忌です。症状が出る前に抗菌薬側を変更し、培養結果に応じてさらに適正化します。