34Q79第34回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ認知症の理解

軽度認知障害(mild cognitive impairment)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 1

正答

1.本人や家族から記憶低下の訴えがあることが多い。

この問題のポイント

軽度認知障害(MCI)は、正常な認知機能と認知症の中間に位置する状態です。本人や家族が認知機能の低下に気づき、検査でも低下が認められますが、日常生活の自立はおおむね保たれています。

解説

軽度認知障害では、本人、家族などの身近な人、または医療者から、「以前より物忘れが増えた」「段取りに時間がかかるようになった」など、認知機能が以前より低下したという訴えや指摘があります。特に記憶低下が訴えられることが多いですが、注意、言語、遂行機能などが中心に低下する非健忘型のMCIもあります。

客観的な認知機能低下はあるものの、食事、着替え、移動などの基本的日常生活動作だけでなく、買物、服薬、金銭管理などもおおむね自立しています。ただし、以前より時間がかかる、メモなどの工夫が必要になるといった軽い変化はあり得ます。認知機能低下によって自立した生活に明らかな支障が生じている場合は、認知症を考えます。

CDR(Clinical Dementia Rating)は認知症の重症度を評価する尺度で、0は正常、0.5は認知症疑い・MCI相当、1は軽度、2は中等度、3は重度の目安です。したがって、CDR 2はMCIの典型ではありません。

MCIから認知症へ移行する割合は、一般に1年間に約5〜15%とされ、約半数ではありません。一方で、状態が変わらない人や、認知機能が正常域へ戻る人もいます。原因となる病気や危険因子を調べ、経過を継続してみることが重要です。

MCI全体に一律の薬物治療を行うのではなく、運動、生活習慣病の管理、社会参加、睡眠や栄養の改善などを含め、原因と状態に応じて対応します。現在は、アルツハイマー病によるMCIの一部に抗アミロイドβ抗体薬が用いられる場合がありますが、専門的検査と厳格な適応判断が必要であり、MCI全般へ主に抗認知症薬を用いるという意味ではありません。

ひっかけポイント

MCIは「認知機能が全く正常」でも「すでに日常生活の自立が失われた認知症」でもありません。認知機能低下はあるが、生活の自立がおおむね保たれている点が重要です。

介護実践でのポイント

本人や家族の訴えを「年齢のせい」と決めつけず、以前との変化を具体的に確認します。服薬状況、抑うつ、睡眠、難聴、生活習慣病など、認知機能へ影響する要因も観察し、早めの受診と継続的な経過観察につなげます。

選択肢の確認

1.本人や家族から記憶低下の訴えがあることが多い。

正しいです。
本人や家族などから以前より認知機能が低下したという訴えや指摘があり、特に記憶低下が訴えられることが多い状態です。

2.診断された人の約半数がその後1年の間に認知症(dementia)になる。

誤りです。
認知症への移行率は、一般に1年間で約5〜15%とされています。状態が維持される人や正常域へ戻る人もいます。

3.CDR(Clinical Dementia Rating)のスコアが2である。

誤りです。
MCIは一般にCDR 0.5が目安です。CDR 2は中等度認知症に相当します。

4.日常生活能力が低下している。

誤りです。
複雑な作業に時間や工夫を要することはありますが、日常生活の自立はおおむね保たれています。自立を妨げる明らかな低下は認知症との鑑別点です。

5.治療には、主に抗認知症薬が用いられる。

誤りです。
MCI全体へ一律に抗認知症薬を用いるわけではありません。原因の評価、生活習慣病の管理、運動や社会参加などを含め、個別に対応します。

覚えるポイント

  • MCIは、正常と認知症の中間に位置する状態である。
  • 本人や家族から認知機能低下の訴え・指摘があることが多い。
  • 日常生活の自立はおおむね保たれ、CDRは0.5が目安である。
  • 認知症への移行は約5〜15%/年で、約半数ではない。
  • MCI全体へ一律に抗認知症薬を使うのではなく、原因と状態に応じて対応する。

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