34Q83第34回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ認知症の理解

Bさん(86歳、女性)は、中等度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。短期入所生活介護(ショートステイ)の利用を始めた日の翌朝、両手に便が付着した状態でベッドに座っていた。 Bさんへの声かけとして、適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 4

正答

4.「手を洗いましょう」

この問題のポイント

便が手に付着しているという衛生上の課題に対応しながら、認知症のある本人の羞恥心と尊厳を守る声かけを選ぶ問題です。非難や訂正ではなく、今から行う具体的な行動を穏やかに提案します。

解説

Bさんは短期入所生活介護を利用し始めた翌朝であり、慣れない環境による不安や混乱がある可能性があります。両手に便が付着していても、その理由を本人の性格や「困った行動」と決めつけてはいけません。排泄の場所がわからなかった、便による不快感があった、衣類やおむつが気になったなど、背景を後から丁寧に確認します。

最初の声かけでは、便のにおいや汚れを強調して本人を恥ずかしい気持ちにさせるのではなく、「手を洗いましょう」と、必要な行動を短く、わかりやすく伝えることが適切です。可能な部分は本人に行ってもらい、難しい部分だけを支援します。周囲から見えないようにするなど、プライバシーにも配慮します。

手を清潔にした後は、皮膚の状態、便の性状、衣類や寝具の汚れ、排泄のタイミングなどを確認します。今後も同じことが起こる場合には、トイレの位置をわかりやすくする、排泄パターンに合わせて声をかける、便秘や下痢、痛みの有無を確認するなど、原因に沿った支援を検討します。

介護実践でのポイント
清潔を保つことと尊厳を守ることは両立させます。人前で汚れを指摘せず、落ち着いた場所で、本人が理解しやすい一つずつの声かけを行います。

選択肢の確認

1.「臭いからきれいにします」
適切ではありません。
「臭い」という表現は、本人に羞恥心や不快感を与える可能性があります。また、「きれいにします」と介護者が一方的に行うのではなく、本人に説明し、できることを生かして支援します。

2.「汚い便が手についています」
適切ではありません。
便の付着を「汚い」と評価して伝えると、本人を責めたり傷つけたりする声かけになります。必要な清潔行動を穏やかに具体的に伝えるほうが適切です。

3.「ここはトイレではありません」
適切ではありません。
場所の誤りを指摘するだけでは、手の清潔という目前の課題に対応できません。認知症の人に強く訂正すると、不安や混乱を高めることもあります。

4.「手を洗いましょう」
正答。最も適切です。
本人を非難せず、今から行う必要のある行動を簡潔に伝えています。手洗いを促し、必要な部分を支援することで、清潔と尊厳の両方を守れます。

5.「こんなに汚れて困ります」
適切ではありません。
介護者が困っていることを本人にぶつける表現であり、本人を責めることになります。行動の背景を理解し、安全で具体的な支援につなげる必要があります。

覚えるポイント

認知症の人への声かけは、短く、具体的で、非難しない表現にします。

「汚い」「困る」ではなく、必要な行動を穏やかに提案します。

清潔にした後は、排泄行動の背景や体調、環境をアセスメントします。

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