35Q109第35回 介護福祉士国家試験 過去問

介護介護過程

次の事例を読んで,問題 109,問題 110 について答えなさい。 〔事 例〕Lさん(76 歳,女性,要介護 1 )は,自宅で娘と暮らしている。軽度の認知症(dementia)と診断されたが,身体機能に問題はなく,友人との外出を楽しんでいる。ある日,外食の後,自宅近くで保護されたとき,「ここはどこなの」と言った。その後,自宅から出ようとしなくなった。心配した娘が本人と相談して,小規模多機能型居宅介護を利用することになった。 利用開始時に,Lさんの短期目標を,「外出を楽しめる」と設定した。 2 週間が過ぎた頃,Lさんから,近くのスーパーへの買い物ツアーに参加したいと申し出があった。 当日,他の利用者や介護福祉職と笑顔で買い物をする様子が見られた。買い物が終わり,歩いて戻り始めると,笑顔が消え,急に立ち止まった。 介護福祉職が声をかけると,「ここはどこなの。どこに行くの」と不安そうに言った。 Lさんが急に立ち止まった行動の解釈として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

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正解: 2

正答

2.自分のいる場所がわからない不安

この問題のポイント

利用者の行動を解釈するときは、病名だけで決めつけず、直前の状況、表情、発言、身体状態を根拠に考えます。

この問題では、Lさんが立ち止まったときに発した「ここはどこなの。どこに行くの」という言葉から、その行動の背景を読み取ります。

解説

Lさんは、買い物中は笑顔で過ごしていましたが、帰り道で笑顔が消え、急に立ち止まりました。そして、「ここはどこなの。どこに行くの」と不安そうに話しています。この発言は、自分がいる場所や向かう先がわからなくなったことを直接示しています。

認知症では、時間や場所、人との関係がわからなくなる見当識障害がみられることがあります。知らない場所や、景色の変化が多い移動場面では、自分の位置や目的地を把握しにくくなり、不安が強まることがあります。

介護福祉職は、立ち止まった行動だけを「拒否」「わがまま」「徘徊」と決めつけません。まず安全を確保し、落ち着いた声で現在地と行き先を短く伝え、本人の反応を確認します。必要に応じて、目印、写真、わかりやすい道順、同じ経路の反復などを用いて、安心して外出できる環境を整えます。

ほかの選択肢は、事例に根拠となる発言や身体所見がありません。休みたい可能性などを完全に否定するのではなく、まず本人の言葉に最も直接対応する解釈を選び、その後に疲労や痛みなども確認します。

介護実践でのポイント
行動の意味を考えるときは、「いつ、どこで、何の直後に、どのような表情と言葉があったか」を整理します。本人に確認できることは確認し、介護者の推測だけで結論を決めません。

選択肢の確認

1.買い物ツアー時間の延長の要求
適切ではありません。
Lさんは、買い物を続けたい、時間を延ばしたいとは話していません。「ここはどこなの。どこに行くの」という発言からは、場所や行き先への不安が読み取れます。

2.自分のいる場所がわからない不安
正答。最も適切です。
笑顔が消えて立ち止まり、「ここはどこなの」と不安そうに話しているため、場所の見当識が失われ、自分のいる場所がわからない不安と解釈できます。

3.休憩したいという訴え
適切ではありません。
疲労や休憩の必要性を確認することは大切ですが、事例には「疲れた」「休みたい」という訴えや身体的な疲労の所見はありません。最も直接的な根拠は場所への不安です。

4.店での介護福祉職の支援に対する不満
適切ではありません。
店内では他の利用者や介護福祉職と笑顔で買い物をしており、支援への不満を示す言葉はありません。不満が原因と推測する根拠がありません。

5.一人で帰りたいという訴え
適切ではありません。
Lさんは一人で帰りたいとは話しておらず、むしろ「どこに行くの」と行き先がわからない不安を示しています。一人で帰らせることは安全上も適切ではありません。

覚えるポイント

見当識障害では、時間、場所、人との関係がわからなくなることがあります。

行動の解釈は、直前の状況、本人の言葉、表情などの事実に基づいて行います。

認知症の人の不安には、否定や説得を急がず、現在地と行き先をわかりやすく伝えて安心を支えます。

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