38Q68第38回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみこころとからだのしくみ

Aさん(98歳、女性)は、認知症(dementia)があるが、食事動作は自立していた。最近、配膳されても食事動作が始まらないことが増えてきた。介護福祉職が献立や食材などの説明をしたところ、Aさんは食べ始めるようになった。 次の摂食嚥下{せっしょくえんげ}の5期のうち、介護福祉職が支援した期として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.先行期

この問題のポイント

摂食嚥下の5期を、食物が口に入る前から胃へ運ばれるまでの順序で理解する問題です。

Aさんは、食物を口に入れた後の動作ではなく、配膳された食事を食事として認識し、食べ始める段階で支援を受けています。したがって先行期への支援です。

解説

摂食嚥下は、先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期の5期に分けて考えます。

先行期は認知期とも呼ばれ、食物を見たり、においを感じたり、説明を聞いたりして、何をどのように食べるかを認識し、食べ始めるまでの段階です。食欲、注意、認知機能、食事環境などが関係します。

Aさんは食事動作が自立していましたが、配膳されても動作を始めないことが増えています。介護福祉職が献立や食材を説明すると食べ始めたことから、食物の認識や食事開始のきっかけを補う先行期の支援が有効だったと判断できます。

認知症がある人が食べ始めない場合でも、「食べる能力がない」と決めつけて全介助に切り替えるのではなく、食事であることがわかる声かけ、料理の香り、見やすい配膳、なじみのある食器、落ち着いた環境などを試します。同時に、姿勢、口腔内、咀嚼、むせ、声の変化など、後の段階に問題がないかも観察します。

介護実践でのポイント
本人のペースで食事を認識できるように支え、無理に口へ運びません。食べ始めない背景には、認知機能だけでなく、眠気、痛み、発熱、便秘、薬、見えにくさ、食欲低下などもあるため、変化を観察して多職種へ報告します。

選択肢の確認

1.先行期
正答。最も適切です。
食物を認識し、食べ方を判断し、食事動作を開始するまでの段階です。献立や食材の説明によってAさんが食べ始めたため、先行期への支援に該当します。

2.準備期
適切ではありません。
準備期は、食物を口に取り込み、噛み、唾液と混ぜて、飲み込みやすい食塊をつくる段階です。事例の支援は、口に入れる前に行われています。

3.口腔期
適切ではありません。
口腔期は、舌を使って食塊を口腔から咽頭へ送り込む段階です。献立を説明して食事開始を促す支援とは異なります。

4.咽頭期
適切ではありません。
咽頭期は、嚥下反射によって食塊が咽頭を通過し、気道を守りながら食道へ送られる段階です。むせや誤嚥と深く関係しますが、事例で支援した段階ではありません。

5.食道期
適切ではありません。
食道期は、食道の蠕動運動によって食塊が胃へ運ばれる段階です。食事を認識して食べ始める支援とは異なります。

覚えるポイント

摂食嚥下の5期は、先行期→準備期→口腔期→咽頭期→食道期です。

先行期は食物の認識と食事開始、準備期は咀嚼と食塊形成、口腔期は舌で咽頭へ送る段階です。

食べ始めないときは、本人の能力を決めつけず、認識しやすい声かけや環境調整を行い、全身状態と嚥下の各段階も観察します。

関連問題

38Q6738Q69
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)