38Q70|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(80歳、男性)は、半年前から急に便秘になり、最近では排便回数が5日に1回程度となった。腹部は膨満していて、便は細く、血液が付着することがあるという。 次の記述のうち、Aさんの便秘に対する対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 5
正答
5.医療機関の受診を促す。
この問題のポイント
日常的な便秘への生活支援でよい状態か、病気による便秘を疑って医療機関につなぐべき状態かを見分ける問題です。
Aさんには、高齢になってから急に始まった便秘、便が細い、便に血液が付着する、腹部膨満という警告症状があります。大腸の狭窄や大腸がんなどの器質的疾患を否定できないため、生活習慣への働きかけより先に受診を促します。
解説
便秘には、食事、水分、活動量、排便習慣などが関係する機能性の便秘だけでなく、腸管が狭くなる病気などによる器質性の便秘があります。
Aさんは80歳で、半年前から急に便秘となり、排便間隔が長くなっています。さらに、腹部膨満、細い便、血液の付着がみられます。これらは大腸がん、腸管の狭窄、炎症などの病気で現れることがあり、自己判断で一般的な便秘対策だけを続けると、原因疾患の発見が遅れるおそれがあります。
介護福祉職は診断を行わず、症状の開始時期、排便回数、便の太さ・色・血液、腹痛、排ガス、食欲、体重変化、嘔気・嘔吐、服薬状況などを確認し、本人の不安を受け止めて医療機関の受診を促します。関係する看護職や介護支援専門員にも速やかに報告します。
強い腹痛、嘔吐、排便・排ガスの停止、急激に強くなる腹部膨満、発熱、意識状態の変化などがある場合は、腸閉塞などの緊急性も考え、直ちに医療職へ連絡して指示を受けます。
ひっかけポイント
水分、食物繊維、運動、腹部マッサージは、状態を評価したうえで機能性便秘に用いられることがあります。しかし、血便や便の狭小化、急な便通変化、腹部膨満がある人に、原因を確認せず最初に行う対応ではありません。
選択肢の確認
1.水分摂取を促す。
適切ではありません。
水分摂取は一般的な便秘予防に役立つことがありますが、Aさんには器質的疾患を疑う警告症状があります。水分だけで経過を見るのではなく、まず医療機関で原因を確認する必要があります。
2.食物繊維の摂取を促す。
適切ではありません。
食物繊維は機能性便秘に有効なことがありますが、腸管の狭窄や腸閉塞が疑われる場合には、腹部膨満や通過障害を悪化させる可能性があります。医療的な評価より先に一律に勧める対応は適切ではありません。
3.散歩などの運動を促す。
適切ではありません。
適度な運動は腸の動きを促す生活習慣の一つですが、血液の付着、細い便、腹部膨満を伴う急な便秘の原因確認にはなりません。受診を優先します。
4.腹部のマッサージを行う。
適切ではありません。
腹部マッサージが便秘支援に用いられることはありますが、腹部膨満があり、腸管の狭窄や炎症などを否定できない段階で行うのは安全ではありません。腹痛や病変を悪化させるおそれがあるため、原因を確認することが先です。
5.医療機関の受診を促す。
正答。最も適切です。
急に始まった便秘、細い便、血液の付着、腹部膨満は、器質的疾患を疑う重要な所見です。診断と治療につなげるため、早めの受診を促します。
覚えるポイント
高齢者の新たな便秘で、血便、細い便、体重減少、腹部膨満、腹痛などがある場合は、病気による便秘を疑います。
警告症状があるときは、一般的な便秘対策より医療機関への相談・受診を優先します。
介護福祉職は診断せず、症状の経過と便の状態を具体的に観察・記録し、本人へ説明して医療職につなぎます。