8PM137|第8回 公認心理師国家試験 過去問
発達心理学-11 幼児期の認知・自己中心性・自己意識
1歳10か月の女児A、約1年前から保育所に入所している。入所当初は、担当保育者B以外の職員が近づくと、極度に不安を示し、激しく泣き続けることが多かった。しかし、最近では、B以外の職員に対しても泣くことはほとんどなくなった。その一方で、B以外の職員から、踊って見せてと言われたり、踊っているところをほめられたりすると、黙りがちになり、その人たちから少し恥ずかしそうに視線をそらしたり、うつむいたりする様子が頻繁に見られるようになった。 ``` Aの行動上の変化の背景に想定される心理的な発達として、最も適切なものを1つ選べ。
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正解: 2
## 正答
2
## この問題のポイント
この問題では、1歳10か月頃にみられる、他者から見られる自分への気づき、つまり**自己意識**の発達が問われています。
事例のキーワードは、「ほめられると恥ずかしそうに視線をそらす」「うつむく」です。
## 解説
Aは入所当初、担当保育者B以外の職員に強い不安を示していました。しかし最近では、B以外の職員にも泣くことはほとんどなくなっています。
一方で、踊って見せてと言われたり、踊っているところをほめられたりすると、黙りがちになり、恥ずかしそうに視線をそらしたり、うつむいたりしています。
これは、単に不安が強いというより、「自分が他者から見られている」「自分の行動が評価されている」ということに気づき始めた反応として理解できます。このような自己に対する気づきは、**自己意識**の発達に関係します。
恥ずかしさ、照れ、誇りなどの自己意識的感情は、自分を他者の視点から見る力の発達と関係します。1歳後半から2歳頃にかけて、鏡像認知や自己主張、自己意識的感情が発達していきます。
> 発達心理学のポイント
> 幼児期初期の恥ずかしさや照れは、自己意識の発達と関係します。他者から見られる自分に気づき始めているサインです。
## 選択肢の確認
1.心の理論
判定:適切とはいえない。
心の理論は、他者にも自分とは異なる信念、欲求、感情があると理解する能力です。典型的には4歳頃の誤信念課題などで扱われます。本事例では、恥ずかしさを伴う自己意識の発達が中心です。
2.自己意識
判定:最も適切。
他者に見られたり評価されたりする自分に気づき、恥ずかしそうに視線をそらす行動は、自己意識の発達として理解できます。
3.自己制御
判定:適切とはいえない。
自己制御は、衝動や感情、行動を状況に合わせて調整する力です。Aの行動には調整も含まれますが、中心は他者から見られる自分への気づきです。
4.脱中心化
判定:適切とはいえない。
脱中心化は、自分の視点だけでなく他者の視点から物事を捉えられるようになる認知発達の概念です。Piagetの発達理論で扱われることが多く、本事例の1歳10か月の恥ずかしさの説明としては自己意識が適切です。
5.社会的参照
判定:適切とはいえない。
社会的参照は、曖昧な状況で養育者などの表情や反応を手がかりに自分の行動を調整することです。本事例では、他者から評価される自分への気づきが中心です。
## 覚えるポイント
* **自己意識**は、他者から見られる自分への気づきと関係します。
* 恥ずかしさ、照れ、誇りなどは自己意識的感情です。
* 社会的参照は、他者の反応を手がかりに行動を決めることです。