115A050|第115回 歯科医師国家試験 過去問
15 歳の男子。下顎左側大臼歯部の腫脹を主訴として来院した。 3か月前から 徐々に増大してきたという。同部に骨様硬の膨隆を認めるが、粘膜は正常である。 初診時のエックス線画像 (別冊No. 16A 、CT (別冊No. 16B 、摘出物の割面写真 (別冊No. 16C 、H-E 染色病理組織像 (別冊No. 16D 及び矢印で示す部分の拡大 像 (別冊No. 16E を別に示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
若年者の下顎大臼歯部に生じ、歯根と連続・癒着する硬組織性腫瘤を示す病変としてセメント芽細胞腫を選びます。
解説
症例は15歳の男子で、下顎左側大臼歯部の腫脹が3か月かけて徐々に増大しています。骨様硬の膨隆を認め、粘膜は正常です。この年齢、部位、緩徐な膨隆は、良性の歯原性硬組織形成性腫瘍を考える手掛かりになります。
セメント芽細胞腫は、セメント芽細胞がセメント質様硬組織を形成する良性間葉性歯原性腫瘍です。若年者の下顎大臼歯・小臼歯部に好発し、疼痛や顎骨膨隆を生じることがあります。
典型的には、歯根と癒着した境界明瞭な不透過性腫瘤と、その周囲の透過性帯を認めます。病理では、セメント質様硬組織の梁状形成、改造線、周囲のセメント芽細胞などが確認されます。
画像・病理像で見るポイント
診断では、硬組織性病変が歯根と連続しているか、周囲に透過性帯があるか、病理でセメント質様組織を認めるかを確認します。
画像の確認
実画像では、下顎大臼歯根に連続する境界明瞭な不透過性ないし混合性の硬組織塊があり、その周囲に細い透過帯と骨膨隆がみられる。摘出物でも歯根と硬い塊が一体化し、組織像では改造線を伴うセメント質様硬組織が密に形成されている。歯根との癒着を伴う像がセメント芽細胞腫の正答を支える。
選択肢の確認
a.歯 牙腫
誤り。
歯牙腫はエナメル質、象牙質、セメント質などの歯の構成組織からなる過誤腫性病変です。歯牙様構造または不規則な石灰化塊を示し、未萌出歯と関連することが多いですが、歯根と癒着するセメント芽細胞腫とは異なります。
b.骨形成線維腫
誤り。
骨形成線維腫は線維性間質内に骨・セメント質様硬組織を形成する境界明瞭な線維骨性病変です。顎骨を膨隆させますが、特定の歯根と一体化することはセメント芽細胞腫ほど特徴的ではありません。
c.歯原性粘液腫
誤り。
歯原性粘液腫は粘液様間質からなる良性歯原性腫瘍で、画像では多房性または単房性の透過像を示します。硬組織性腫瘤を形成する病変ではありません。
d.線維性異形成症
誤り。
線維性異形成症は正常骨が線維性組織と未熟骨に置換される病変です。一般に境界は周囲骨へ移行的で、すりガラス状像を示し、歯根と癒着した孤立性腫瘤とは異なります。
e.セメント芽細胞腫
正しい。
若年者の下顎臼歯部に好発し、歯根に癒着したセメント質様硬組織性腫瘤を形成します。臨床、画像、病理の組合せが一致します。
覚えるポイント
- セメント芽細胞腫の決め手は歯根との癒着・連続性です。
- 若年者の下顎大臼歯部に好発し、疼痛や骨膨隆を生じます。
- 画像では不透過性腫瘤と周囲の透過性帯を確認します。