115C054|第115回 歯科医師国家試験 過去問
60 歳の女性。咀嚼困難を主訴として来院した。 3年前に下顎義歯を装着したが、 1か月前から義歯の遠心側が食事中に浮き上がるようになったという。 7は保存 不可能と診断して抜歯し、抜歯窩治癒後に義歯を新製することとした。初診時の口 腔内写真 (別冊No. 18A と下顎義歯の写真 (別冊No. 18B を別に示す。 新義歯製作にあたり旧義歯から改善すべきなのはどれか。 3つ選べ。

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正解: b・c・e
正答
b、c、e
この問題のポイント
写真の旧義歯は、片側遊離端欠損に対する部分床義歯です。遊離端義歯では、義歯床の沈下・浮き上がりと支台歯への回転力を抑えるため、レスト、間接維持装置、ガイドプレーンを適切に設計します。
解説
遊離端義歯は、歯根膜支持の支台歯と粘膜支持の義歯床が混在します。咬合力が加わると遊離端義歯床が粘膜方向へ沈下し、支台歯を中心に回転します。また、粘着性食品では義歯床が浮き上がることがあります。
近心咬合面レストを遊離端側の支台歯に設けると、支点を近心へ移し、義歯床沈下時に支台歯へ加わる遠心傾斜力を軽減できます。
下顎前歯部のスパーは間接維持装置として働き、遊離端義歯床が浮き上がる回転に抵抗します。
遠心隣接面ガイドプレーンは、遊離端に接する支台歯の遠心面に設定し、義歯の着脱方向を規定し、側方動揺を抑えます。遊離端義歯では、義歯床の機能時回転を妨げすぎないよう、接触範囲と形態を適切に設計します。
画像の確認
実画像では、臼歯部が遊離端となる部分床義歯で、両側床とクラスプが配置されている。遊離端部の支持・回転抑制を図るため、終末支台歯の近心レスト、前方の間接維持装置、遠心ガイドプレーンを加える正答b、c、eが画像の設計条件に合う。
選択肢の確認
a.ラビアルバーの追加
誤り。
ラビアルバーは舌側に大きな骨隆起や歯の舌側傾斜がある場合などに検討します。本症例の遊離端義歯床の浮き上がりを改善する中心的構成要素ではありません。
b.近心咬合面レストの付与
正しい。
遊離端側支台歯に近心レストを設け、支台歯へ加わる遠心方向の回転力を軽減します。
c.下顎前歯部へのスパーの付与
正しい。
間接維持装置として、遊離端義歯床が粘膜から離れる方向への回転に抵抗します。
d.維持腕のワイヤーへの変更
誤り。
ワイヤークラスプは弾性に優れますが、旧義歯の主要な問題を解決するために必須の変更ではありません。まず支持・回転・間接維持の設計を改善します。
e.遠心隣接面ガイドプレーンの付与
正しい。
遊離端に隣接する支台歯の遠心面へガイドプレーンを付与し、着脱方向を規定するとともに義歯の側方動揺を抑えます。
覚えるポイント
- 遊離端義歯では近心レストを用いて支台歯への有害な回転力を減らします。
- スパーなどの間接維持装置は義歯床の浮き上がりに抵抗します。
- ガイドプレーンは着脱方向と側方安定を規定します。