115D037|第115回 歯科医師国家試験 過去問
36 歳の男性。左側顔面の腫脹を主訴として来院した。 3日前に同部の自発痛を 自覚した後から急に腫れてきたという。体温は38.2℃で 倦怠感があるが、呼吸や 味覚に異常はない。初診時の顔貌写真 (別冊No. 6A と口腔内写真 (別冊No. 6B を 別に示す。 診断に有効なのはどれか。 3つ選べ。

解答・解説を見る
正解: a・c・d
正答
a、c、d
この問題のポイント
急速に進行する発熱を伴う顔面腫脹では、歯性感染の軟組織への波及を疑い、病変の広がり、膿瘍の有無、原因菌を評価します。
解説
36歳男性で、3日前の自発痛に続いて左側顔面が急に腫脹し、38.2℃の発熱と倦怠感があります。顔貌写真では左頰部にびまん性の腫脹がみられ、口腔内写真では左側臼歯部の頰側粘膜に発赤と黄白色の排膿点を疑う隆起がみられます。経過から急性の歯性感染と膿瘍形成を考えます。
MRIは筋・筋膜隙など軟組織内への炎症の広がりを評価できます。超音波検査は表在性病変の液体貯留をリアルタイムに確認し、膿瘍と蜂窩織炎の鑑別に役立ちます。細菌検査は膿汁などを適切に採取し、起炎菌と薬剤感受性を検討します。
呼吸障害は現時点でありませんが、深頸部へ感染が波及すれば気道リスクが生じます。診断と並行して、気道、嚥下、開口、全身状態を継続評価します。
画像の確認
実画像では、片側頰部に広い腫脹があり、口腔内には発赤した頰粘膜上の黄白色小隆起が見える。表在性膿瘍の有無をみる超音波、深部軟組織への広がりをみるMRI、排出物の起炎菌を調べる細菌検査に当たる正答a、c、dが、この急性炎症像の評価に合う。
選択肢の確認
a.MRI
正しい。
軟組織コントラストに優れ、炎症が筋や筋膜隙へどの範囲まで広がっているかを評価できます。
b.生 検
誤り。
腫瘍などの組織診断には有用ですが、急性炎症の臨床像を示す本症例で最初に行う検査ではありません。
c.細菌検査
正しい。
膿汁から起炎菌を検索し、重症例や治療反応不良例では抗菌薬選択の情報を得られます。
d.超音波検査
正しい。
表在性の頰部病変で液体貯留の有無を評価でき、膿瘍形成の判断に役立ちます。
e.穿刺吸引細胞診
誤り。
腫瘤性病変の細胞学的診断に用います。本症例で必要なのは腫瘍細胞の評価ではなく、感染の範囲と膿瘍、起炎菌の評価です。
覚えるポイント
- 急性歯性感染では発熱、進行速度、気道、嚥下、開口を確認します。
- MRIは深部軟組織への広がり、超音波は表在性の液体貯留を評価します。
- 細菌検査では汚染を避けて膿汁を採取します。