116B039|第116回 歯科医師国家試験 過去問
91 歳の男性。家族からの希望があり、歯科訪問診療を行った。高齢者施設に入 所中である。意思の疎通は可能で歯科治療に協力的であるが、すべてのBDR 指標 は全介助である。食形態はミキサー食であり、むせることはなく全量を摂取してい るという。初診時の口腔内写真(別冊No. 14A)と使用中の義歯の写真(別冊No. 14 B)を別に示す。 まず行うのはどれか。1 つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
要介護者では、本人のセルフケア能力と介護環境を評価し、実行可能な口腔衛生管理を最優先します。
解説
すべてのBDR指標が全介助であるため、本人だけで十分な口腔清掃を継続することは困難です。写真では多数の残存歯・補綴装置があり、プラーク停滞リスクが高いため、まず介護者へ具体的な口腔清掃方法を指導し、毎日のケア体制を整えます。食事はミキサー食をむせなく全量摂取しており、直ちに食形態を変更する根拠はありません。
画像の確認
実画像では、残存歯と補綴物の周囲に多量のプラーク・食物残渣が付着し、歯冠崩壊や不潔な歯面が多数みられる。上下の使用義歯にも黄白色の付着物が広く残っており、全介助という状況では、まず介護者へ日常の口腔・義歯清掃を具体的に指導する必要性が画像から明確である。
選択肢の確認
a.粘膜調整
この時点でまず行う処置ではありません。
粘膜調整は義歯床下粘膜の障害や不適合がある場合に行いますが、まず日常の口腔清掃体制を確立することが優先です。
b.きざみ食への変更
この時点でまず行う処置ではありません。
むせなくミキサー食を全量摂取できており、咀嚼負荷の高いきざみ食へ変更する合理的根拠はありません。きざみ食は口腔内で散らばりやすい点にも注意します。
c.義歯の適合性改善
この時点でまず行う処置ではありません。
義歯の適合改善が必要となる可能性はありますが、全介助者の継続的な口腔衛生管理を先に整える必要があります。
d.上顎前歯部の歯冠補綴
この時点でまず行う処置ではありません。
上顎前歯の歯冠補綴は審美・機能改善として検討し得ますが、初期対応としての優先度は低いです。
e.介護者への口腔清掃指導
正答。まず行います。
本人が全介助であるため、介護者に清掃手順、義歯管理、観察点を指導することをまず行います。
覚えるポイント
- 全介助者では介護者への口腔清掃指導が不可欠。
- 食形態は嚥下機能と摂取状況を確認して変更する。
- 訪問歯科では実行可能な日常ケア体制をつくる。