116C039第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科放射線学

46 歳の男性。開口障害を主訴として来院した。3 日前に他院で下顎右側第二大 臼歯の抜去後から次第に疼痛と腫脹が増大し、昨日から開口しにくくなってきたと いう。体温は38.3℃で、嚥下痛がある。診察の結果、口腔外から切開排膿するこ ととした。初診時のエックス線画像(別冊No. 12A)、造影CT(別冊No. 12B)及び 切開部位の模式図(別冊No. 12C)を別に示す。血液検査の結果を表に示す。 白血球数 :19,000/µL 赤血球数 :430 万/µL ヘモグロビン :13 g/dL ヘマトクリット :40% 血小板数 :23 万/µL CRP :15 mg/dL 適切な切開部位はどれか。2 つ選べ。

116C039の問題画像
2つ選択
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正解: d・e

正答

d、e

この問題のポイント

抜歯後の高熱、開口障害、嚥下痛、著明な炎症反応は深部隙感染を示します。造影CTで膿瘍腔を同定し、最短で十分な排膿路を確保します。

解説

本症例は下顎右側第二大臼歯抜去後に進行し、造影CTで右側顎下部からオトガイ下部に及ぶ膿瘍形成が示されています。深頸部感染では抗菌薬だけでなく、膿瘍腔への切開排膿が必要です。

外切開は顔面神経下顎縁枝を避け、下顎下縁から十分離れた皮膚皺線に沿って行い、病変腔の最下点へ鈍的に到達します。模式図のエとオが、病変の広がりに対応するオトガイ下部・患側顎下部の切開位置です。

症例問題の解き方
発熱、開口障害、嚥下痛、炎症反応から重症度を判断し、気道評価を最優先にして感染隙と排膿経路を決めます。

画像の確認

実画像では、造影CTで患者右側の顎下隙を中心に低吸収域が広がり、別断面では正中のオトガイ下側にも中心低吸収域がみえる。模式図では患側顎下部の低位切開がオ、正中オトガイ下部の低位切開がエに対応し、2方向から貯留部へ排膿する選択になる。

選択肢の確認

a.ア
誤り。アは下顎下縁に近く、病変腔への安全な最短経路と顔面神経保護の条件を満たしません。

b.イ
誤り。イはオトガイ部に近すぎ、提示CTで必要な排膿範囲に適合しません。

c.ウ
誤り。ウは反対側の切開位置であり、右側優位の病変への主要排膿路になりません。

d.エ
正しい。エはオトガイ下隙方向の貯留に対する低位の排膿路として適切です。

e.オ
正しい。オは患側顎下隙へ到達し、下顎下縁と顔面神経下顎縁枝を考慮した切開位置です。

覚えるポイント

  • 深部隙感染は造影CTで膿瘍の範囲を確認する。
  • 膿瘍形成時は抗菌薬に加えて切開排膿を行う。
  • 外切開では顔面神経下顎縁枝と下顎下縁の位置に注意する。

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