117D030|第117回 歯科医師国家試験 過去問
78 歳の男性。食事に時間がかかることを主訴として施設から歯科訪問診療の依 頼があった。2 か月前に脳梗塞の診断を受けたが、現在も普通食を自力摂取してお り、液体にはとろみをつけていないがむせは認められないという。誤嚥性肺炎の既 往はない。口腔衛生指導後に行った口腔機能検査の結果、口腔機能低下症には該当 しなかったが、オーラルディアドコキネシスで「パ」音のみ5 回(基準値6 回)で あった。初診時の安静時顔面写真(別冊No. 4A)と口腔内写真(別冊No. 4B)を別に 示す。 主訴の改善のために次に行うのはどれか。1 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: d
正答
d
この問題のポイント
食事時間延長の原因を考えるには、検査室だけでなく実際の食事場面を観察するミールラウンドが有用です。
解説
本症例は普通食を自力摂取し、むせや誤嚥性肺炎の既往がなく、口腔機能低下症にも該当していません。一方、「パ」音の回数低下は口唇の巧緻性低下を示唆しますが、それだけで食事時間延長の原因は確定できません。
ミールラウンドでは、姿勢、食具、食物形態、一口量、咀嚼、送り込み、注意、介助環境を実際に確認できます。まず食事場面の問題を把握し、必要に応じて精密嚥下検査へ進みます。
症例問題の解き方
むせ、肺炎歴、食形態、自力摂取、食事時間、口腔機能検査を整理し、まず観察で解決できる問題かを判断します。
画像の確認
実画像では、安静時に片側口角の下垂と口唇閉鎖の左右差があり、口腔内には欠損歯・補綴装置もみられる。検査値だけでなく実際の食事場面で一口量、食具操作、摂食速度を観察するミールラウンドが主訴評価に適し、正答dに対応する。
選択肢の確認
a.味覚検査
誤り。味覚検査は味覚低下が食欲や摂取に影響している場合に行いますが、主訴の原因をまず評価する検査ではありません。
b.嚥下造影検査
誤り。嚥下造影検査は誤嚥や咽頭残留を疑う場合に有用ですが、本症例で最初に行う評価ではありません。
c.嚥下内視鏡検査
誤り。嚥下内視鏡検査も咽頭期評価に有用ですが、まず実際の食事場面を確認します。
d.ミールラウンド
正答。まず行います。ミールラウンドで姿勢、食事動作、食形態、一口量、食具などを総合的に観察します。
e.改訂水飲みテスト
誤り。改訂水飲みテストは嚥下スクリーニングですが、むせがなく普通食を摂取できる本症例の主訴分析にはミールラウンドが優先されます。
覚えるポイント
- 食事時間延長は口腔機能だけでなく姿勢・食具・環境も評価する。
- ミールラウンドは実際の食事場面を観察する。
- スクリーニング後、必要に応じてVFやVEへ進む。