119C057第119回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

76 歳の男性。咀嚼困難を主訴として来院した。2 年前に下顎区域切除術とプレー トによる再建術を受けたが、1 年前に感染によってプレートを除去し、その後、次 第に咬合が不安定になったという。診察の結果、上顎へ補綴装置を製作することと した。術直後のエックス線画像(別冊No. 18A)と来院時の口腔内写真(別冊No. 18 B)を別に示す。 装置の製作に際して考慮すべきことはどれか。2 つ選べ。

119C057の問題画像
2つ選択
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正解: c・e

正答

c、e

この問題のポイント

下顎区域切除後で再建プレートを失った症例では、偏位した現在の下顎位を基準に咬合採得し、上顎装置へ下顎歯列の圧痕を付与して咬合を安定させます。

解説

下顎区域切除後は、残存する筋の牽引により下顎が欠損側へ偏位し、回転を伴うことがあります。長期間経過して偏位が固定化した症例では、無理に正常位へ誘導するより、再現可能な機能位で顎間関係を記録することがあります。

上顎側にオクルーザルランプや咬合誘導面を設け、下顎歯列の圧痕を利用して閉口時の位置を安定させ、咀嚼を補助します。

画像の確認

実画像Aでは右側下顎区域切除後に再建プレートで連続性を確保した状態、Bではプレート除去後に残存下顎が欠損側へ大きく偏位して咬合している。補綴装置は無理に正常位へ戻さず偏位位で咬合採得し、咬合面へ下顎歯列の圧痕を付与して安定位を得る。

選択肢の確認

a.習慣性咀嚼側は右側とする。
誤り。
習慣性咀嚼側を一律に右側へ指定するのではなく、残存組織、咬合支持、偏位方向から決めます。

b.顔貌の対称性の回復を目指す。
誤り。
口腔内装置だけで骨・軟組織欠損による顔貌の対称性を完全に回復することは主目的ではありません。

c.偏位した位置で咬合採得を行う。
正しい。
長期経過して再現性のある偏位下顎位で咬合採得し、装置の咬合面を設定します。

d.下顎位の健側への偏位を防止する。
誤り。
下顎は一般に欠損側へ偏位しやすく、健側への偏位防止という記述は病態と合いません。

e.装置には下顎歯列の圧痕を付与する。
正しい。
上顎装置へ下顎歯列の圧痕を付与し、閉口時の誘導と咬合安定を図ります。

覚えるポイント

  • 下顎区域切除後は下顎が欠損側へ偏位しやすくなります。
  • 長期症例では再現可能な機能位で咬合採得します。
  • 咬合誘導面や圧痕で下顎位を安定させます。

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