33PM109第33回 柔道整復師国家試験 過去問

柔道整復理論・外傷学脱臼・手指手指PIP関節脱臼

21歳の女性。ソフトボールの試合中、捕球に失敗し右手小指を負傷した。右手小指は背側の皮膚に深い陥凹がみられ、自動的にも他動的にも動かせない。外観写真を別に示す。考えられるのはどれか。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この問題では、捕球失敗による小指外傷と、外観写真にみられるPIP関節部の変形から病態を判断します。

写真では、小指のPIP関節部に明らかな段差があり、背側皮膚に深い陥凹がみられます。さらに、自動運動だけでなく他動運動もできないことから、腱損傷単独よりも関節が脱臼してロックされた状態を考えます。

この所見に最も合うのは、PIP関節背側脱臼です。

解説

PIP関節は、基節骨と中節骨でつくられる関節です。球技で捕球に失敗し、指先に軸圧や過伸展力が加わると、PIP関節脱臼が起こることがあります。

PIP関節背側脱臼では、一般に中節骨基部が基節骨頭に対して背側へ転位します。そのため、関節部に段差や陥凹が出現し、強い疼痛と可動域制限を伴います。

この症例では、右手小指の背側皮膚に深い陥凹があり、自動的にも他動的にも動かせないとされています。他動運動も不能である点は、単なる腱断裂ではなく、関節面のかみ込み、靱帯・関節包損傷、掌側板などの軟部組織介在を伴う脱臼を疑う重要な所見です。

終止腱断裂ではDIP関節の伸展障害、中央索断裂ではPIP関節の伸展障害が中心になります。いずれも「PIP関節部の深い陥凹」と「自他動ともに動かせない」所見を最もよく説明するものではありません。

図で見るポイント
写真では、小指PIP関節部の段差、背側皮膚の陥凹、指の遠位部がどちらへ転位しているかを確認します。関節部で明らかな変形があり、自他動運動が不能なら脱臼を強く疑います。

施術現場での注意点
指関節脱臼では、整復前後に末梢循環、知覚、運動、皮膚の緊張を確認します。他動運動も不能な場合は、骨折や軟部組織の介在を伴う可能性があるため、無理な徒手操作を避け、画像評価を重視します。

選択肢の確認

1.終止腱断裂
誤り。
終止腱断裂は、DIP関節を伸展する終止腱の損傷です。典型的にはDIP関節が伸ばせなくなる槌指を呈します。この症例のようなPIP関節部の深い陥凹や、自動・他動ともに動かせない所見とは一致しません。

2.中央索断裂
誤り。
中央索断裂は伸筋腱中央索の損傷で、主にPIP関節の伸展障害に関係します。放置するとボタン穴変形につながることがありますが、写真のようなPIP関節部の明らかな脱臼変形を最もよく説明するものではありません。

3.基節骨頸部骨折
誤り。
基節骨頸部骨折でも疼痛、腫脹、変形は起こります。しかし、この症例ではPIP関節背側の深い陥凹と、自動運動・他動運動ともに不能という関節脱臼を示す所見が目立ちます。骨折単独よりもPIP関節背側脱臼を優先して考えます。

4.PIP関節背側脱臼
正しい。
捕球失敗により小指へ軸圧や過伸展力が加わると、PIP関節背側脱臼が起こります。写真でみられるPIP関節部の段差、背側皮膚の深い陥凹、自他動運動不能は、PIP関節背側脱臼を考える重要所見です。

覚えるポイント

  • PIP関節背側脱臼は、球技での突き指や捕球失敗で起こりやすいです。
  • PIP関節背側脱臼では、関節部の段差、背側皮膚の陥凹、強い疼痛、可動域制限が重要です。
  • 自動運動だけでなく他動運動も不能なら、関節のロックや軟部組織介在を疑います。
  • 終止腱断裂はDIP関節の伸展障害、中央索断裂はPIP関節の伸展障害と整理します。
  • 指関節脱臼では、整復前後の循環・知覚・運動確認と画像評価が重要です。
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