第105回
105AM006|第105回 助産師国家試験 過去問
着床について正しいのはどれか。
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正解3
正答
3.子宮内膜が着床に適しているのは分泌期である。
この問題のポイント
着床について、次の4点を区別できるかを問う問題です。着床がいつ始まりいつ終わるか、どの段階の胚が着床するか、子宮内膜のどの時期が着床に適しているか、着床後にプロゲステロンをどの器官が分泌するかです。胚の発生を時間の流れに沿って整理し、同じ時期に母体側の黄体と子宮内膜で何が起きているかを重ねて考えると、正答に迷いません。
解説
受精から着床までの胚の変化
- 受精は卵管膨大部で起こります。受精卵は細胞分裂(卵割)を繰り返しながら、卵管の中を子宮へ移動します。
- 受精後3〜4日ごろ、十数個の細胞からなる桑実胚となって子宮腔に達します。この段階の胚は、まだ透明帯に包まれています。
- 子宮腔の中で胚の内部に腔(胞胚腔)ができ、胚盤胞になります。胚盤胞は2つの部分に分かれます。内細胞塊はのちに胎芽になり、外側の栄養膜はのちに絨毛・胎盤になります。
- 胚盤胞は透明帯から脱出します(ハッチング)。受精後6〜7日ごろ、内細胞塊側の栄養膜が子宮内膜の上皮に接着し、着床が始まります。着床する部位は、通常は子宮体部上部の前壁または後壁で、後壁のほうが多くみられます。
- 栄養膜は合胞体栄養膜と細胞性栄養膜に分かれます。合胞体栄養膜が内膜の間質へ入り込み、胚は内膜の中に埋もれていきます。胚が完全に内膜に埋まり、表面の上皮が修復されて着床が完了するのは、受精後11〜12日ごろです。
妊娠週数は最終月経の開始日から数えるため、受精はおよそ妊娠2週にあたります。したがって着床が始まるのは妊娠3週ごろです。着床するころに少量の出血(着床出血)がみられることがあり、月経と間違えると分娩予定日の算出がずれる原因になります。
着床を受け入れる子宮内膜
子宮内膜の周期は、卵巣の周期に連動しています。
- 増殖期:卵胞から分泌されるエストロゲンの作用で、内膜が厚くなる時期です。
- 分泌期:排卵後、黄体から分泌されるプロゲステロン(とエストロゲン)の作用を受ける時期です。
分泌期の内膜では、子宮腺が屈曲・蛇行してグリコーゲンなどの分泌物をため込みます。あわせて間質がむくみ、らせん動脈が発達します。これらの変化によって、胚が接着し、侵入し、栄養を受け取れる状態が整います。
内膜が胚を受け入れられるのは、分泌期中期の限られた期間だけです。これを着床の窓と呼び、28日周期ではおおむね20〜24日目ごろとされます。排卵から約1週後に胚盤胞が接着するという胚側のスケジュールと、この窓がちょうど重なっています。
臨床的には、黄体機能不全で分泌期の変化が不十分になると、着床障害や不妊の原因になります。生殖補助医療の凍結融解胚移植では、プロゲステロンを投与して内膜を分泌期の状態に整えてから胚を戻します。
着床後の妊娠維持とプロゲステロンの供給源
- 着床すると、合胞体栄養膜がヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を分泌します。
- hCGは黄体を退縮させずに妊娠黄体として維持します。その結果、プロゲステロンとエストロゲンの分泌が続き、月経は起こりません。
- hCGは妊娠10週前後にピークとなります。
- その後、プロゲステロンを産生する主体は、妊娠7〜10週ごろに黄体から胎盤(合胞体栄養膜)へ移ります。これをルテオプラセンタルシフトと呼びます。
着床後の子宮内膜は脱落膜と呼ばれ、次の3つに分けられます。
- 基底脱落膜:胚の直下にあり、胎盤の母体側になります。
- 被包脱落膜:胚を覆う部分です。
- 壁側脱落膜:それ以外の子宮腔を覆う部分です。
脱落膜はプロラクチンなどを分泌しますが、プロゲステロンの主要な供給源ではありません。
選択肢の確認
1.受精後1週で完了する。:受精後1週ごろ(6〜7日)は、胚盤胞が内膜に接着して着床が「始まる」時期です。胚が内膜の中に完全に埋まって着床が完了するのは受精後11〜12日ごろなので、この記述は当てはまりません。着床の開始と完了の時期を取り違えさせる選択肢で、「受精後1週ごろに着床が始まる」であれば正しい記述になります。
2.桑実胚の状態で着床する。:桑実胚は受精後3〜4日ごろの段階で、まだ透明帯に包まれているため子宮内膜に接着できません。子宮腔内で胚盤胞になり、透明帯から脱出したあとに着床します。桑実胚は「子宮腔に到達するときの段階」として問われることが多く、着床する段階(胚盤胞)と混同しないよう注意します。
3.子宮内膜が着床に適しているのは分泌期である。:正答。排卵後の黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で、内膜は分泌期の状態になります。子宮腺の分泌、間質のむくみ、らせん動脈の発達によって胚を受け入れる力が高まり、着床の窓(分泌期中期)が開きます。エストロゲン優位の増殖期の内膜では、まだ着床を受け入れる準備が整っていません。
4.着床後は脱落膜からプロゲステロンが分泌される。:着床後のプロゲステロンは、hCGによって維持された妊娠黄体から分泌されます。妊娠7〜10週ごろからは、胎盤(合胞体栄養膜)が産生の主体になります。脱落膜は着床後に変化した子宮内膜で、プロラクチンなどを分泌しますが、プロゲステロンの供給源ではありません。「脱落膜」を「妊娠黄体」や「胎盤」に置き換えれば正しい記述になります。
覚えるポイント
- 着床までの流れは、卵管膨大部で受精 → 桑実胚で子宮腔へ(受精後3〜4日)→ 胚盤胞が透明帯から脱出 → 着床開始(受精後6〜7日、妊娠3週ごろ)→ 着床完了(受精後11〜12日ごろ)の順です。
- 着床するのは胚盤胞です。内細胞塊は胎芽に、栄養膜は絨毛・胎盤になり、内膜への侵入を担うのは合胞体栄養膜です。
- 着床に適した内膜は分泌期で、着床の窓は分泌期中期です。増殖期はエストロゲン、分泌期はプロゲステロンの作用によります。
- プロゲステロンは、黄体 →(hCGで妊娠黄体として維持)→ 妊娠7〜10週ごろに胎盤へ、と供給源が移ります(ルテオプラセンタルシフト)。
- 脱落膜は基底脱落膜(胎盤の母体側)・被包脱落膜・壁側脱落膜の3つです。脱落膜はプロラクチンを分泌しますが、プロゲステロンの供給源ではありません。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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