第105回
105PM035|第105回 助産師国家試験 過去問
助産師が行えるのはどれか。2つ選べ。
解答・解説を見る
正解2・4
正答
2.電車内で出産を介助した児の出生証明書の交付
4.母性健康管理指導事項連絡カードの記載
この問題のポイント
助産師の業務範囲のうち、証明書の交付と文書の作成について問う問題です。判断の鍵は、「自ら分娩を介助したか」「生きて生まれた後の死亡か、死産か」の2点です。あわせて、処方箋と死亡診断書は医師や歯科医師が交付するもので、助産師には認められていないこと、母性健康管理指導事項連絡カードは助産師も記入できることを押さえます。
解説
手がかりになる言葉は、「助産師の介助なしに」「電車内で出産を介助した」「出生直後に死亡した」「処方箋」です。次の3つの軸で整理すると判断できます。
- 出生・死産について助産師が交付できる証明書は何か(出生証明書・死産証書・死胎検案書)
- 交付するための条件は何か(自ら分娩の介助、または死胎の検案をしたこと)
- 助産師に認められていない行為は何か(死亡診断書・死体検案書・処方箋の交付。死亡診断書と処方箋は歯科医師も交付でき、医師だけに限られるのは死体検案書)
出生証明書は「自ら介助したか」で決まる
保健師助産師看護師法第39条第2項は、分娩の介助または死胎の検案をした助産師が、出生証明書・死産証書・死胎検案書の交付を求められた場合、正当な事由がなければ拒んではならないと定めています。一方、同法第40条は、自ら分娩の介助や死胎の検案をしないで、これらの書類を交付することを禁じています。医師についても、医師法第19条・第20条に同じ構造の規定があります。つまり、証明書を交付するには、分娩の介助または死胎の検案を自ら行っていることが必要です。
逆に、場所の制限はありません。自宅や電車内のように医療機関の外であっても、助産師が実際に分娩を介助したのであれば、出生の事実を証明できます。出生証明書には、出生の場所の種別として自宅や「その他」を記入する欄があります。なお戸籍法では、出生届に添える出生証明書は、出産に立ち会った医師、助産師、その他の者の順で作成すると定めています。医師も助産師も立ち会わなかった出生では、立ち会った家族などが作成します。
生きて生まれた児の死亡には死亡診断書が必要
出生直後に亡くなった場合でも、いったん生きて生まれていれば、法律上は「出生」と「死亡」の2つの事実が生じます。そのため、出生届(出生証明書を添付)と死亡届(死亡診断書または死体検案書を添付)の両方が必要です。死体検案書は医師だけが、死亡診断書は医師と歯科医師が交付でき、助産師はどちらも交付できません。人口動態統計では、生後1週未満の死亡は早期新生児死亡にあたり、妊娠満22週以後の死産とあわせて周産期死亡に数えられます。
これに対して死産は、「死産の届出に関する規程」で妊娠第4月以後(妊娠満12週以後)の死児の出産と定められています。死児とは、出産後に心拍・呼吸・随意筋の運動のどれも認めないものをいい、1つでも認めれば出生として扱います。死産届には死産証書または死胎検案書を添付し、これらは助産師も交付できます。分娩に立ち会った場合は死産証書、立ち会わずに死胎を検案した場合は死胎検案書です。また助産師には、妊娠4か月以上の死産児を検案して異常を認めた場合、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務があります(保健師助産師看護師法第41条)。
処方箋と医薬品の扱い
処方箋を交付できるのは、医師・歯科医師・獣医師だけです。保健師助産師看護師法第37条により、助産師は主治の医師または歯科医師の指示がある場合を除き、医薬品の授与や医薬品についての指示をしてはなりません。例外は、臨時応急の手当と、臍帯の切断や浣腸など助産師の業務に当然付随する行為です。さらに同法第38条は、妊婦・産婦・褥婦・胎児・新生児に異常を認めたときは医師の診療を求めさせ、臨時応急の手当を除いて自ら処置をしてはならないと定めています。子宮収縮薬が必要になる微弱陣痛や弛緩出血は、医師の診療が必要な場面です。
母性健康管理指導事項連絡カード
男女雇用機会均等法第12条・第13条により、事業主には次の義務があります。
- 妊娠中・出産後の女性労働者が、保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにすること
- その指導事項を守れるよう、勤務時間の変更や勤務の軽減などの措置を講じること
この指導を行う「医師等」とは、医師または助産師のことです。母性健康管理指導事項連絡カードは、主治医等(医師・助産師)が指導内容を記入し、女性労働者が事業主に提出して必要な措置を求めるための様式で、厚生労働省の指針で示されています。妊婦健診を担当する助産師は、つわりや腰痛などの症状や通勤の負担に応じて、通勤緩和、休憩、作業の制限、勤務時間の短縮といった措置を記入できます。
一方、労働基準法では、使用者は産後8週間を経過しない女性を就業させてはなりませんが、産後6週を経過した女性が請求した場合は、「医師」が支障がないと認めた業務に就かせることができます。均等法の「医師等」との違いに注意しましょう。
選択肢の確認
1.助産師の介助なしに生まれた児の出生証明書の交付:自ら分娩を介助していない助産師が出生証明書を交付することは、保健師助産師看護師法第40条で禁じられています。出生後に母子の観察やケアをしても、分娩の介助をしていなければ出生証明書は交付できません。この場合の出生証明書は、実際に出産に立ち会った者(医師も助産師もいなければ家族など)が作成します。
2.電車内で出産を介助した児の出生証明書の交付:正答。助産師が実際に分娩を介助しているので、出生証明書を交付できます。求められた場合は、正当な事由がなければ拒めません(保健師助産師看護師法第39条第2項)。交付の条件は分娩を介助した事実であり、分娩した場所が医療機関かどうかは問われません。
3.出生直後に死亡した児の死亡診断書の交付:生きて生まれた後の死亡なので必要なのは死亡診断書で、交付できるのは医師(および歯科医師)に限られます。助産師がこの分娩を介助していれば出生証明書は交付できますが、死亡の証明はできません。妊娠満12週以後の死児の出産、つまり死産であれば、分娩を介助した助産師は死産証書を交付できるので、「死産」と取り違えないよう注意します。
4.母性健康管理指導事項連絡カードの記載:正答。男女雇用機会均等法の母性健康管理の規定でいう「医師等」には助産師が含まれ、主治医等として指導事項を記入できます。カードは女性労働者が事業主に提出し、必要な措置を求めるために使います。
5.子宮収縮薬の処方箋の交付:処方箋の交付は医師・歯科医師・獣医師に限られ、助産師には認められていません。保健師助産師看護師法第37条により、主治の医師または歯科医師の指示がなければ、医薬品の授与や指示もできません。子宮収縮薬が必要になる異常は、同法第38条により医師の診療を求める場面です。医師の指示のもとで投与や観察に関わることと、自ら処方することとを区別しましょう。
覚えるポイント
- 出生・死産について助産師が交付できる証明書は、出生証明書・死産証書・死胎検案書の3つです。条件は、自ら分娩を介助したか死胎を検案したことで、場所は問いません(保健師助産師看護師法第39条第2項・第40条)。
- 死亡診断書・死体検案書・処方箋の交付は医師(死亡診断書と処方箋は歯科医師も可)の業務で、助産師には認められていません。医師だけに限られるのは死体検案書です。
- 出生直後の死亡でも、生きて生まれていれば「出生+死亡」として扱い、死亡診断書(または死体検案書)が必要です。妊娠満12週以後の死児の出産は死産で、死産証書(立ち会わない場合は死胎検案書)を用います。
- 保健師助産師看護師法では、異常のある死産児(妊娠4か月以上)の24時間以内の警察署への届出(第41条)、助産録の記載と5年間の保存(第42条)、異常を認めた際に医師の診療を求めること(第38条)もよく問われます。
- 母性健康管理指導事項連絡カードは、医師または助産師が記入し、女性労働者が事業主に提出します(男女雇用機会均等法)。労働基準法で産後6週以降に就業できる業務を判断するのは「医師」です。
- 妊婦健診の通院時間を確保する目安は、妊娠23週までは4週に1回、24〜35週は2週に1回、36週以後は1週に1回で、医師等が別に指示した場合はそれに従います。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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