第106回
106PM002|第106回 助産師国家試験 過去問
骨粗鬆症について正しいのはどれか。
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正解1
正答
1.閉経後に起こるのは原発性骨粗鬆症である。
この問題のポイント
骨粗鬆症の分類(原発性と続発性)、それぞれの頻度、閉経後に骨量が減る機序、食事療法の基本を問う問題です。鍵は「閉経後」という条件です。ここから、特定の疾患や薬剤によらない原発性骨粗鬆症の代表である閉経後骨粗鬆症を思い浮かべられるかが問われています。あわせて、骨量の維持に関わる女性ホルモンはエストロゲンであること、食事で重視する栄養素はカルシウム・ビタミンD・ビタミンKであることを押さえます。
解説
骨粗鬆症の定義と分類
骨粗鬆症は、骨強度(骨密度と骨質)が低下し、骨折しやすくなった状態です。原因によって次の2つに分けます。
- 原発性骨粗鬆症:骨量を減らす特定の疾患や薬剤がなく、閉経や加齢を背景に生じるものです。閉経後骨粗鬆症、加齢に伴う男性骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症(妊娠後骨粗鬆症など)が含まれます。
- 続発性骨粗鬆症:ほかの疾患や薬剤が原因で骨量が減るものです。主な原因は次のとおりです。
- 内分泌疾患:副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、性腺機能低下症
- 栄養障害:胃切除後、神経性やせ症
- 薬剤:副腎皮質ステロイドの長期使用(ステロイド性骨粗鬆症が代表)
- 不動:長期臥床、麻痺
- その他の疾患:関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病
頻度は原発性が圧倒的に多く、骨粗鬆症の大部分を占めます。その中心は閉経後の女性と高齢者です。原発性と診断するには、続発性骨粗鬆症や、骨量が低下するほかの疾患(骨軟化症、悪性腫瘍の骨転移、多発性骨髄腫など)を除外することが前提になります。
原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)は次のとおりです。
- 椎体骨折または大腿骨近位部骨折があれば、骨粗鬆症と診断します。
- それ以外の脆弱性骨折がある場合は、骨密度が若年成人平均値(YAM)の80%未満で診断します。
- 脆弱性骨折がない場合は、YAMの70%以下または−2.5SD以下で診断します。
閉経後に骨量が減る機序
骨では、破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞による骨形成が絶えず繰り返されています(骨リモデリング)。エストロゲンには、破骨細胞の分化と活性を抑えて骨吸収を抑制する働きがあります。閉経で卵巣からのエストロゲン分泌が急に減ると、この抑制が外れます。その結果、骨吸収が骨形成を上回り、骨量が減少します。減少は閉経前後から閉経後数年間に特に急速です。女性の骨量は思春期に増え、20歳前後で最大骨量に達し、閉経前後まで保たれてから低下します。そのため、若いうちに最大骨量を高めておくことと、閉経後早期からの予防が大切です。
同じ「エストロゲン欠乏」の考え方は、助産・母性の領域でも次の場面に当てはまります。
- 神経性やせ症や過度の運動による無月経(女性アスリートの三主徴:利用可能エネルギー不足、視床下部性無月経、骨粗鬆症)
- 両側卵巣摘出後の外科的閉経
- 子宮内膜症などに対するGnRHアゴニスト療法(低エストロゲン状態になるため、骨量減少に配慮して投与期間を限ります)
予防と食事・生活指導
食事で重視する栄養素と、主な食品は次のとおりです。
- カルシウム(骨の材料):乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜
- ビタミンD(腸管でのカルシウム吸収を促す):魚類、きのこ類。皮膚で紫外線を受けて合成されるため、適度な日光浴も勧めます。
- ビタミンK(骨基質たんぱくのオステオカルシンの働きを助け、骨形成を促す):納豆、緑黄色野菜。ワルファリン服用中の人では、納豆などが薬の効果を弱めるため注意します。
- 十分なたんぱく質
一方、リンを多く含む加工食品、食塩、カフェイン、アルコールのとりすぎは控えます。喫煙は危険因子なので禁煙を勧めます。運動では、ウォーキングなど骨に荷重のかかる運動が骨量の維持に役立ちます。あわせて転倒を予防し、骨折を防ぎます。
地域では、骨粗鬆症検診が健康増進法に基づく健康増進事業として市町村で行われています。対象は40〜70歳の5歳刻みの女性です。
選択肢の確認
1.閉経後に起こるのは原発性骨粗鬆症である。:正答。閉経後骨粗鬆症は、特定の原因疾患や薬剤によらず、閉経によるエストロゲン欠乏を背景に生じます。原発性骨粗鬆症の代表です。ただし、閉経後の女性でも、ステロイドの長期使用や甲状腺・副甲状腺疾患などの原因があれば続発性を考え、原因への対応を行います。
2.原発性骨粗鬆症より続発性骨粗鬆症の者が多い。:骨粗鬆症の大部分は、閉経や加齢を背景とする原発性が占めます。続発性はそれより少数であり、頻度の関係が逆になっています。ただし、続発性は原因を取り除くと改善が期待できます。若年者や男性で骨粗鬆症が見つかった場合や、ステロイドを長く使っている患者・胃切除後の患者では、続発性を見逃さない視点が重要です。
3.食事療法ではカルシウムに加えカリウムを摂取する。:カリウムは細胞内液の主な陽イオンで、神経・筋の興奮や、ナトリウム排泄を通じた血圧調整に関わる電解質です。骨粗鬆症の食事療法で重点的に勧める栄養素ではありません。カルシウムとあわせて摂るよう勧めるのは、吸収を助けるビタミンDと、骨形成を助けるビタミンKです。元素記号の「K」から、ビタミンKとカリウムを取り違えないよう注意します。
4.プロゲステロンの低下によって骨粗鬆症になりやすい。:骨量の維持に関わるのはエストロゲンです。閉経後の骨量減少は、エストロゲン欠乏によって骨吸収が高まることが原因です。プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌され、子宮内膜を分泌期に変えて妊娠を維持するホルモンで、その低下は骨粗鬆症の主な原因ではありません。ホルモン補充療法で子宮のある女性に黄体ホルモンを併用するのは、エストロゲン単独による子宮内膜増殖症や子宮体がんを防ぐためです。骨を守る作用はエストロゲンによるものです。
覚えるポイント
- 骨粗鬆症の大部分は原発性です。原発性には、閉経後骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症(妊娠後など)があります。続発性の原因には、ステロイド、副甲状腺・甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、胃切除後、不動などがあります。
- 閉経後の骨量減少は、エストロゲン欠乏によって破骨細胞への抑制が外れ、骨吸収が高まることで起こります。プロゲステロンではありません。
- 若年女性の無月経、卵巣摘出後、GnRHアゴニスト療法でも、同じ低エストロゲンの機序で骨量が減ります。
- 食事の柱はカルシウム、ビタミンD(吸収促進・日光浴)、ビタミンK(骨形成)、たんぱく質です。リン、食塩、カフェイン、アルコールのとりすぎと喫煙を避けます。
- 診断は、脆弱性骨折がなければYAMの70%以下または−2.5SD以下で行います。骨折の好発部位は、椎体、大腿骨近位部、橈骨遠位端、上腕骨近位部です。
- 骨粗鬆症検診は、健康増進法に基づき市町村が40〜70歳の5歳刻みの女性に行います。
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