109Q269|第109回 薬剤師国家試験 過去問
43 歳男性。既婚で妻と二人暮らし。糖尿病治療のため、インスリンの自己 注射を行っている。インスリン療法開始から1 年程度経過し、血糖値は正常値に近 づいてきた。しかし、食事をとらずに注射したときや入浴中の低血糖症状による意 識障害により、救急搬送を何度か経験しており、グルカゴン注射液を家族が投与で きるよう3 ケ月前に処方(処方1 )された。しかし、その後重症低血糖による意識 障害を起こしている本人を前にして、妻が注射液の調製を失敗してしまい、救急車 を待つことしかできなかった。そこで、今後の低血糖対策として、グルカゴン点鼻 粉末剤(処方2 )を使用できるよう、妻同席のもと医師による説明が実施され、薬 剤部には薬剤の使用方法等について説明の依頼があった。 (処方1 ) グルカゴン(遺伝子組換え)注射用1 mg 1 回1 本 (溶解用注射用水1 mL 添付してください) 低血糖時 注射用水で溶解後に筋注 1 回分 (処方2 ) グルカゴン点鼻粉末剤3 mg 1 回1 個 低血糖時 鼻腔内に噴霧 1 回分 妻は、夫の低血糖症状の発現時の対応について、医師からの説明は受けたもの の、不安に感じているようであった。処方2 の薬剤の使用及び低血糖への対応に関 する妻への説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
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正解: 1・2
正答
1・2
この問題のポイント
点鼻グルカゴンは意識のない重症低血糖にも家族が使用できます。疑わしい早期症状で意識と嚥下が保たれていれば、まず経口糖質を補給します。
解説
グルカゴン点鼻粉末剤は吸い込む動作を必要とせず、意識障害時にも介助者が1回噴霧できます。通常10〜15分程度で回復が期待されますが、使用と同時に救急要請し、反応が乏しい場合も医療につなぎます。低血糖では本人が気づかないこともあるため、意識があり安全に飲み込める段階ならブドウ糖や糖分を含む飲料を摂らせます。製剤は湿気を避けるため使用直前まで防湿包装から出しません。意識障害時や回復直後は誤嚥を防ぐため横向きにし、十分覚醒して嚥下可能になってから糖質を摂取させます。
選択肢の確認
1.この点鼻剤を使用すると10~15 分程度で低血糖状態からの回復が期待できま す。:正答。速やかな回復が期待されます。
2.低血糖状態となっても、本人の自覚がないことがありますので、疑わしい症状 があれば、意識があるうちに補食や糖分を含む飲料を摂取させてください。:正答。嚥下可能な早期に糖質を補います。
3.意識がない状況では、この点鼻剤を使用しないでください。:意識障害時こそ介助者が使用できます。
4.低血糖の際にすぐに使用できるよう、自宅では薬剤の防湿外装フィルムをあら かじめ剥がしておいてください。:湿気を避け、使用直前まで包装を開けません。
5.意識が回復した場合は、仰臥位でブドウ糖などの糖分を摂取させてください。:仰臥位での摂取は誤嚥の危険があります。
覚えるポイント
意識障害時は点鼻+救急要請+回復体位。嚥下可能になってから糖質を補います。