110Q239|第110回 薬剤師国家試験 過去問
海外の規制当局より、メトホルミン塩酸塩を含有する製剤(特定のロッ ト)からN︲ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたとの発表があっ た。10 年間にわたってメトホルミン塩酸塩含有製剤を服用してきた患者(体重 50 kg)がこのニュースを見て来局し、健康に対するリスクを教えて欲しいという 相談があった。そこで、公表されているNDMA の含有量を調べたところ、メトホ ルミン塩酸塩1,000 mg 当たり0.08 μg のNDMA が含まれていることがわかっ た。薬剤師は、10 年間服用した場合の発がんリスクを計算し、患者に伝えること とした。 NDMA が検出されたメトホルミン塩酸塩を服用したことによるリスクは極めて 低く、これまでに国内外において重篤な健康被害が発生したとの報告はない。 この患者に対する薬剤師の説明内容として、適切なのはどれか。2つ選べ。
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正解: 2・5
正答
2・5
この問題のポイント
微量不純物のリスクは生涯累積曝露で説明し、患者に自己中断や根拠のない薬剤変更を促しません。
解説
実際のNDMA曝露は0.12 ng/日×10年です。70年間に平均化すると0.12×10/70≒0.017 ng/日に相当し、実質安全量0.1 ng/日を下回ります。したがって増加リスクは約1.7×10^-6と極めて小さいことを、絶対リスクとして落ち着いて伝えます。遺伝毒性発がん物質は一般に安全な閾値が明確にあるとの前提では扱わず、曝露低減を図ります。一方、糖尿病治療を自己判断で中止すると高血糖の明確な危険があるため、必要な治療継続を基本に、対象ロットや代替品は医師・薬剤師が確認します。求めに応じて計算根拠と公表情報を医師へ提供します。
選択肢の確認
1.NDMA によるがんの発症には、閾値があること。:遺伝毒性発がん物質に明確な閾値を仮定しません。
2.摂取したNDMA の量は、実質安全量を下回っていること。:正答。生涯累積量として下回ります。
3.他の同種同効薬に変更する必要があること。:一律の変更は不要です。
4.血糖値が落ち着いていれば服用を止め、次回受診時に医師に報告すること。:自己中断させません。
5.必要に応じて、発がんリスクに関する情報を医師に提供できること。:正答。連携して説明します。
覚えるポイント
微小な不純物リスクと、治療中断リスクを比較し、生涯累積曝露でわかりやすく説明します。