110Q270|第110回 薬剤師国家試験 過去問
69 歳男性。数日前より髪の毛が抜けやすくなり、ふけや頭皮のかゆみを自 覚した。皮膚科を受診したところ、頭部白癬と診断され、経口抗真菌薬で治療する ことになった。男性は以下の処方箋を持って、薬局を訪れた。男性の持参したお薬 手帳を薬剤師が確認したところ、現在服用中の薬剤との薬物相互作用が懸念され た。 (処方) イトラコナゾールカプセル50 mg 1 回2 カプセル(1 日2 カプセル) 1 日1 回 朝食直後 14 日分 (お薬手帳から確認された現在の服用薬) オルメサルタン口腔内崩壊錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) フェブキソスタット錠20 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 朝食後 ビルダグリプチン錠50 mg 1 回1 錠(1 日2 錠) 1 日2 回 朝夕食後 ミグリトール口腔内崩壊錠50 mg 1 回1 錠(1 日3 錠) 1 日3 回 朝昼夕食直前 シンバスタチン錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 夕食後 お薬手帳から確認された現在服用中の薬剤とイトラコナゾールカプセルとの間で 懸念される薬物相互作用の発現機序として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
イトラコナゾールとシンバスタチンの相互作用を、アゾール系抗真菌薬によるCYP3A4阻害の分子機構から判断します。
解説
シンバスタチンは主にCYP3A4で代謝されます。イトラコナゾールはアゾール環の窒素原子がCYP3A4の活性中心にあるヘム鉄へ配位し、酵素活性を強く阻害します。そのためシンバスタチンの代謝が低下して血中濃度が上昇し、ミオパチーや横紋筋融解症の危険が高まります。この併用は避ける必要があり、胃内pHや腎排泄ではなく、CYPのヘムへの結合が設問の機序です。
選択肢の確認
1.胃内pH の上昇による溶解性の低下:酸分泌抑制薬によるイトラコナゾールカプセルの吸収低下を説明する機序で、今回の服用薬との相互作用ではありません。
2.核内受容体を介した小腸P︲糖タンパク質の発現量増加:薬物輸送体の誘導ではなく、イトラコナゾールはCYP3A4を阻害します。
3.肝臓のOATP1B1 に対する競合阻害:本例のシンバスタチンとの主要な相互作用機序ではありません。
4.代謝物によるCYP3A4 の不可逆的阻害:代謝物による機序的な不活化ではなく、アゾール環によるヘム鉄への配位が中心です。
5.ヘム鉄への配位結合によるCYP3A4 の阻害:正答。シンバスタチンの代謝を抑えて曝露を増加させます。
覚えるポイント
アゾール系薬の窒素原子はCYPのヘム鉄へ配位します。イトラコナゾールとCYP3A4基質の併用を処方監査します。