111Q277|第111回 薬剤師国家試験 過去問
8 歳女児。近視の薬物治療を希望する母親に連れられて来院した。当院で は、6 歳から 18 歳未満の中等度近視の小児に対して、低濃度アトロピン硫酸塩点 眼薬(院内製剤)を使用した近視進行抑制治療を実施している。 診察の結果、中等度近視と診断され、患児及び母親にインフォームド・コンセン トを行い、以下の院内製剤が処方された。 (処方)アトロピン点眼薬 0.01%(院内製剤) 5 mL 1 本 1 回1 滴 1 日1 回 就寝前 両眼に点眼 なお、本院内製剤は、医療用医薬品である1 %アトロピン硫酸塩点眼液 (注) 0.5 mL を、注射用生理食塩液 49.5 mL で希釈し、点眼用プラスチック容器に 5 mL ずつ分注して調製する。 ⎧ | | | | | | | | | | | | ⎩ ⎫ | | | | | | | | | | | | ⎭ 注:アトロピン硫酸塩水和物点眼液1 % ・有効成分:(1 mL 中)日局アトロピン硫酸塩水和物 10 mg 〈性状〉水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、 ジエチルエーテルにほとんど溶けない。光によって変化する。 ・添加物:亜硫酸水素ナトリウム、ベンザルコニウム塩化物、等張化剤、 リン酸二水素ナトリウム水和物、無水リン酸一水素ナトリウム ・pH:5.0~6.5 本院内製剤の交付時の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
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正解: 2・3
正答
2・3
この問題のポイント
アトロピンの散瞳・調節麻痺による羞明と、全身吸収による抗コリン症状を説明します。院内製剤・適応外使用の制度上の扱いにも注意します。
解説
アトロピンはムスカリン受容体を遮断し、散瞳と毛様体筋麻痺を起こすため、眩しさや近見困難が生じることがあります。就寝前点眼は日中の影響を減らすうえで適切です。点眼薬でも鼻涙管を介して全身へ吸収され、頭痛、動悸、口渇、顔面紅潮などの抗コリン症状が現れ得るため、異常時は中止して相談します。1滴で十分であり自己判断で増量しません。本院内製剤は製造販売承認を受けた医薬品ではなく、近視進行抑制も承認された効能ではありません。このため公的医療保険の適用外で、医薬品副作用被害救済制度の対象にもなりません。
選択肢の確認
1.効果が感じられない場合は、点眼量を増やしてください。:自己判断で増量しません。
2.眩しさを感じることがあるので、就寝前に点眼してください。:正答。散瞳作用への配慮です。
3.頭痛や動悸といった全身性の副作用に注意してください。:正答。全身性抗コリン作用に注意します。
4.副作用による被害が生じたときは、医薬品副作用被害救済制度の対象となりま す。:本院内製剤は製造販売承認を受けた医薬品でなく、制度の対象外です。
5.本院内製剤は、公的医療保険の適用対象です。:本院内製剤による近視治療は保険適用外です。
覚えるポイント
点眼後に閉瞼・涙嚢部圧迫を行うと全身移行を減らせます。増量せず、羞明と抗コリン症状を確認します。