第108回

108AM036|第108回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

代表値はどれか。2つ選べ。

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正解2・3

正答

2.平均
3.最頻値

この問題のポイント

記述統計の指標を、分布の中心を示す代表値と、ばらつきを示す散布度に分けられるかを問う問題です。代表値は平均値・中央値・最頻値、散布度は範囲・四分位範囲・分散・標準偏差などです。標準誤差は標準偏差と名前が似ていますが、標本から母集団を推定するときの精度を示す指標で、代表値ではありません。

解説

代表値と散布度はセットで使う

血圧・BMI・年齢などの集団データを要約するときは、「どのあたりの値が中心か」と「どれくらい散らばっているか」の2つの面から表します。前者が代表値、後者が散布度です。平均値が同じでも、ばらつきが大きい集団と小さい集団では健康課題の捉え方が変わります。そのため「平均値±標準偏差」「中央値(四分位範囲)」のように、両者を組み合わせて示すのが基本です。

代表値の3つの指標

  • 平均値(算術平均):全データの合計をデータ数で割った値です。すべてのデータの情報を使い、推測統計の基礎にもなります。一方で、外れ値や分布の偏りに引っ張られやすい性質があります。
  • 中央値:データを大きさの順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値です。データ数が偶数のときは、中央の2つの値の平均をとります。外れ値の影響を受けにくい指標です。
  • 最頻値:最も多く出現する値です。名義尺度でも求められる唯一の代表値で、複数存在することもあります。

使える代表値は、データの尺度によって決まります。名義尺度(性別、血液型など)では最頻値のみ、順序尺度(重症度の段階など)では中央値と最頻値、間隔尺度・比尺度(体温、体重など)ではこれらに加えて平均値も使えます。なお、抗体価のように倍々で変化するデータには幾何平均を用いることがあり、これも代表値の一種です。

分布の形によって、3つの値の関係は変わります。正規分布のような左右対称の単峰分布では、3つはほぼ一致します。右に裾を引く分布(正の歪み)では、平均値>中央値>最頻値の順になります。世帯所得がその典型で、国民生活基礎調査では平均所得金額を下回る世帯が半数を超える状態が続いています。医療費や在院日数も同じ形をとりやすく、一部の高額・長期の例が平均値を押し上げます。このような分布では、中央値のほうが「典型的な人」の実態に近くなります。保健師が地域診断で健診データや医療費データを分析するときは、まず分布の形を確認してから指標を選ぶことが大切です。

散布度と標準誤差の違い

散布度には次のようなものがあります。

  • 範囲:最大値−最小値
  • 四分位範囲:第3四分位数−第1四分位数(箱ひげ図で中央値とともに示されます)
  • 分散:偏差(各データ−平均値)の2乗の平均
  • 標準偏差:分散の正の平方根
  • 変動係数:標準偏差÷平均値。単位や平均値の大きさが異なる集団どうしのばらつきを比べるときに使います

標準誤差は、これらとは役割が異なります。標本を取り直すと、そのたびに標本平均は少しずつ変わります。この標本平均のばらつき(標本分布の標準偏差)が標準誤差です。平均値の標準誤差は標準偏差÷√nで求めます。標本サイズnが大きいほど小さくなり、推定の精度が高いことを意味します。大標本で正規近似できる場合、母平均の95%信頼区間は「標本平均±1.96×標準誤差」で求められます。標準偏差がデータそのもののばらつきを記述する指標であるのに対し、標準誤差は推定値の不確かさを表す推測統計の指標です。

選択肢の確認

1.分散:各データと平均値との差を2乗して平均した値で、データのばらつきの大きさを表す散布度です。分布の中心を示すものではないため、代表値には当たりません。2乗しているので単位も元のデータの2乗(身長ならcm²)になり、そのままでは解釈しにくいという欠点があります。そのため、実際の報告では平方根をとった標準偏差(選択肢5)がよく使われます。標本から母分散を推定するときは、nではなくn−1で割る不偏分散を用いることも押さえておきましょう。

2.平均:正答。全データの合計をデータ数で割った値で、分布の中心(重心)を示す最も一般的な代表値です。正規分布に近いデータの要約に適しており、標準偏差と組み合わせて示されます。ただし外れ値に引っ張られやすく、右に偏った分布では中央値より大きくなる点に注意が必要です。

3.最頻値:正答。データの中で最も多く出現する値で、分布の中心を示す代表値の一つです。平均値や中央値を計算できない名義尺度でも求められます。度数分布表では、最も度数の多い階級の階級値を最頻値とします。値が2つ以上存在することもあり、右に偏った分布では3つの代表値の中で最も小さい値になります。

4.標準誤差:標本から計算した統計量(標本平均など)が、標本を取り直すたびにどの程度ばらつくかを示す値で、母集団の値を推定するときの精度を表します。分布の中心を示す値ではないため、代表値ではありません。データそのもののばらつきを表す散布度とも性質が異なります。標準偏差÷√nで求めるため標準偏差より小さくなり、nが増えるほど小さくなります。標準偏差と取り違えやすいので、「データの散らばり=標準偏差」「推定のぶれ=標準誤差」と区別して覚えましょう。

5.標準偏差:分散の正の平方根で、データが平均値の周りにどの程度散らばっているかを表す散布度です。中心の位置を示す値ではないため、代表値ではありません。元のデータと同じ単位で表せるので解釈しやすいのが利点です。正規分布では、平均値±1標準偏差の範囲に約68%、±2標準偏差の範囲に約95%のデータが含まれます。

覚えるポイント

  • 代表値(中心)=平均値・中央値・最頻値、散布度(ばらつき)=範囲・四分位範囲・分散・標準偏差・変動係数
  • 標準誤差=標準偏差÷√n。推定の精度を示す指標で、nが大きいほど小さくなり、信頼区間の算出に使う
  • 尺度と代表値:名義尺度→最頻値のみ、順序尺度→中央値・最頻値、間隔・比尺度→平均値も使える
  • 右に裾を引く分布では平均値>中央値>最頻値。偏りや外れ値があるデータは中央値と四分位範囲で要約する
  • 正規分布では平均値・中央値・最頻値が一致し、平均値±1SDに約68%、±2SDに約95%(±1.96SDでちょうど95%)が含まれる

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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