第109回
109AM033|第109回 保健師国家試験 過去問
コミュニティ・アズ・パートナー・モデルについて正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解2・5
正答
2.サブシステムは相互に影響しあう。
5.ストレッサーに対する抵抗力の向上を目指す。
この問題のポイント
アンダーソンとマクファーレンが提唱した地域アセスメントと地域看護過程の枠組み、コミュニティ・アズ・パートナー・モデルの構造と目的を問う問題です。図の構成は「中心のコア(住民)、それを囲む8つのサブシステム、外側の防御ライン」です。これと、基盤になったニューマンのシステムモデル(ストレッサーと防御の考え方)を思い浮かべられれば解けます。サブシステムの数、コアとサブシステムの区別、看護過程の段階が引っかけになっています。
解説
モデルの成り立ち
コミュニティ・アズ・パートナー・モデルは、アンダーソン(Anderson)とマクファーレン(McFarlane)が、ニューマンのシステムモデルを地域に応用して開発しました。ニューマンのモデルは、人をストレッサーにさらされる開放システムととらえ、防御ラインと抵抗ラインで安定(平衡)を保つと考えます。これを地域に置き換え、地域を看護の対象としてだけでなく、住民とともに健康課題に取り組む「パートナー」と位置づけたことが名称の由来です。
地域アセスメントの車輪
モデルの中心となるのは、地域を構造的にとらえる図(地域アセスメントの車輪)です。
- コア:地域の中心は住民です。歴史、人口統計や人口動態、民族、価値観・信念・宗教といった、住民そのものを表す情報が含まれます。
- 8つのサブシステム:コアを取り囲むのは、物理的環境、保健医療と社会サービス、経済、安全と交通、政治と行政、コミュニケーション(情報)、教育、レクリエーションの8つです。
- 図ではサブシステムの間が点線で区切られています。これは、各サブシステムが独立したものではなく、互いに影響しあうことを示しています。たとえば路線バスが廃止されると(安全と交通)、高齢者の受診(保健医療)、買い物や就労(経済)、外出や交流(レクリエーション)に連鎖的に影響が及びます。
ストレッサーと防御ライン
地域は内外からストレッサー(地域の平衡を乱す刺激)を受けます。これに対する防御は、外側から次の順に描かれます。
- 柔軟な防御ライン:最も外側にあり、ストレッサーに対して一時的に反応する緩衝帯です。
- 通常の防御ライン:地域が時間をかけて到達した通常の健康水準です。
- 抵抗ライン:地域の内部にあり、ストレッサーに対抗する仕組みや資源です。
ストレッサーが防御ラインを越えると地域に不均衡が生じます。その度合い(反応の程度)は、罹患率や死亡率などの健康指標や、住民生活の変化として現れます。看護の目標は、ストレッサーを減らすとともに、防御ラインと抵抗ラインを強化して地域の抵抗力(対処力)を高め、地域の健康と平衡を保つことです。介入は一次予防・二次予防・三次予防の3つのレベルで考えます。
地域看護過程と実践での活用
モデルは看護過程に沿って展開します。流れは、アセスメント(車輪に沿った情報収集、地区踏査など)、分析、地域看護診断、計画、介入(実施)、評価です。全過程で住民がパートナーとして参加することが重視されます。保健師が地区診断を行う際には、情報を漏れなく整理する枠組みとして役立ちます。また、サブシステム同士の関連をたどることで、健康課題の背景にある生活・社会の要因を読み解けます。
以上から、構造については「サブシステムは相互に影響しあう」、目的については「ストレッサーへの抵抗力を高める」が正しく、選択肢2と5が正答です。
選択肢の確認
1.10のサブシステムで構成される。:コアを囲むサブシステムは、物理的環境、保健医療と社会サービス、経済、安全と交通、政治と行政、コミュニケーション、教育、レクリエーションの8つで、10ではありません。ゴードンの11の機能的健康パターンや、ヘンダーソンの14の基本的欲求など、他の理論の数と混同しないよう注意が必要です。
2.サブシステムは相互に影響しあう。:正答。サブシステムは点線で区切られて描かれ、互いに独立せず影響しあうものとされています。1つのサブシステムの変化が他へ波及するため、アセスメントでは項目ごとの情報を並べるだけでなく、その関連性を分析します。
3.地域のコアとなる情報に教育が含まれる。:教育はコアではなく、8つのサブシステムの1つです。コアに含まれるのは、歴史、人口統計や人口動態、民族、価値観・信念・宗教など、住民そのものを表す情報です。教育は、学校や図書館などの教育資源や住民の教育水準として、地域の機能の側で扱います。
4.分析、立案、評価の3段階で構成される。:このモデルは看護過程に沿って、アセスメント、分析、地域看護診断、計画、介入(実施)、評価と展開します。3段階とする記述では、情報収集(アセスメント)、診断、実施が抜けており、構成として正しくありません。計画・実施・評価・改善のPDCAサイクルなど、他の段階区分とも取り違えないようにします。
5.ストレッサーに対する抵抗力の向上を目指す。:正答。ニューマンのシステムモデルを基盤とし、防御ラインと抵抗ラインを強化して、ストレッサーへの地域の抵抗力(対処力)を高め、地域の健康と平衡を保つことを目指します。
覚えるポイント
- 開発者はアンダーソンとマクファーレンで、基盤はニューマンのシステムモデルです。地域を住民とともに取り組むパートナーととらえます。
- コアは住民(歴史、人口統計・人口動態、民族、価値観・信念・宗教)です。教育や経済はコアではなくサブシステムです。
- サブシステムは8つ(物理的環境、保健医療と社会サービス、経済、安全と交通、政治と行政、コミュニケーション、教育、レクリエーション)で、点線で区切られ相互に影響しあいます。
- 防御は外側から、柔軟な防御ライン、通常の防御ライン、抵抗ラインの順です。看護の目標は、ストレッサーを減らし、地域の抵抗力を高めることです。
- 展開は看護過程(アセスメント、分析、地域看護診断、計画、介入、評価)で、介入は一次・二次・三次予防のレベルで考えます。
- 地区診断のモデルとしては、グリーンらのプリシード・プロシードモデル(ヘルスプロモーションの企画・評価モデル)との区別も押さえておきます。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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