第109回

109AM034|第109回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

健やか親子21(第2次)の重点課題で正しいのはどれか。2つ選べ。

解答・解説を見る

正解1・2

正答

1.妊娠期からの児童虐待防止対策
2.育てにくさを感じる親に寄り添う支援

この問題のポイント

健やか親子21(第2次)は、3つの基盤課題と2つの重点課題で構成されています。この問題では、その構成を正確に区別できるかが問われています。選択肢には、第2次の基盤課題と、前身である健やか親子21(第1次)の主要課題が混ざっています。「どの計画の、どの区分の課題か」を整理して覚えているかが鍵になります。

解説

健やか親子21とは

健やか親子21は、母子の健康水準を向上させるための国民運動計画です。国、地方公共団体、関係団体、国民が一体となって取り組みます。

  • 第1次:2001年に開始しました。当初は2010年までの計画でしたが、次世代育成支援対策推進法の期間と合わせるため、2014年まで延長されました。
  • 第2次:2015年度から10年間の計画として始まりました。

第1次の4つの主要課題

第1次は次の4つを主要課題としていました。

  • 思春期の保健対策の強化と健康教育の推進
  • 妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援
  • 小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備
  • 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減

選択肢3と選択肢5は、この第1次の主要課題の文言そのものです。

第2次の構成

第2次は、10年後に目指す姿を「すべての子どもが健やかに育つ社会」としました。方向性は次の2つです。

  • 地域間の健康格差の解消
  • 疾病や障害、経済状態など、個人や家庭環境の違いや多様性を踏まえた母子保健サービスの展開

課題は次のように整理されています。

  • 基盤課題A:切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
  • 基盤課題B:学童期・思春期から成人期に向けた保健対策
  • 基盤課題C:子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
  • 重点課題①:育てにくさを感じる親に寄り添う支援
  • 重点課題②:妊娠期からの児童虐待防止対策

基盤課題AとBは、ライフステージに沿った課題です。基盤課題Cは、AとBを下支えする地域の環境づくりに当たります。重点課題は、基盤課題の取り組みを進める中でも、特に重点的に対応する必要がある課題として取り出されたものです。

重点課題の中身と保健師活動

重点課題①(育てにくさ)
育てにくさは、いくつもの要因が絡み合って生じる感覚です。

  • 子どもの要因:発達の偏りや発達障害、疾病など
  • 親の要因:育児経験の乏しさ、心身の不調など
  • 親子関係の要因
  • 環境の要因:身近な支援者の不在など

放置すると、親の孤立や育児への自信の喪失を招き、虐待のリスクにもつながります。保健師は乳幼児健康診査や育児相談の場で、親が語る育てにくさを受け止めます。そのうえで、発達障害などの早期の気づきと専門機関への連携を含めて、親に寄り添った支援を行います。

重点課題②(妊娠期からの虐待防止)
国の虐待死亡事例の検証では、心中以外の死亡は0歳児が最も多い傾向が続いています。その背景に、予期しない妊娠や妊婦健康診査の未受診が多いことも指摘されてきました。このため、出産後ではなく妊娠期からリスクを把握して支援につなぐことが重視されています。

具体的な仕組みは次のとおりです。

  • 妊娠の届出・母子健康手帳交付時の面接
  • 特定妊婦の把握と支援:特定妊婦とは、児童福祉法で「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」とされる人です。
  • 乳児家庭全戸訪問事業と養育支援訪問事業
  • 要保護児童対策地域協議会での関係機関の情報共有

出題当時、妊娠期からの切れ目ない支援の拠点は子育て世代包括支援センター(法律上の名称は母子健康包括支援センター)でした。現在は児童福祉法の改正により、2024年4月から、子ども家庭総合支援拠点と一体化したこども家庭センターの設置が市町村の努力義務になっています。

出題後の動き

出題当時、健やか親子21(第2次)は計画期間中で、所管は厚生労働省でした。2023年4月にこども家庭庁が発足し、所管はこども家庭庁に移りました。また、成育基本法に基づく成育医療等基本方針のもとで推進される国民運動として位置づけられています。ただし、課題の構成(3つの基盤課題と2つの重点課題)という出題の論点は変わりません。

選択肢の確認

1.妊娠期からの児童虐待防止対策:正答。第2次の重点課題②です。虐待による死亡は0歳児、特に生後間もない時期に集中しやすい傾向があります。そのため、妊娠届出時の面接、特定妊婦の把握、要保護児童対策地域協議会との連携などで、出産前から支援を始めることが求められています。「虐待」の語から出産後や学童期の対策を連想しがちですが、重点課題名は「妊娠期から」である点が特徴です。

2.育てにくさを感じる親に寄り添う支援:正答。第2次の重点課題①です。子どもの発達特性、親の心身の状態、親子関係、周囲の環境などから生じる育てにくさを、親の立場に立って受け止める課題です。支援の対象が「子ども」ではなく「親」と明記されている点が、この課題の特徴です。発達障害などの早期の気づきと、支援機関へのつなぎもここに含まれます。

3.思春期の保健対策の強化と健康教育の推進:この文言は第1次の4つの主要課題の1つで、第2次の重点課題ではありません。思春期の健康課題は、第2次では基盤課題B(学童期・思春期から成人期に向けた保健対策)に引き継がれています。「思春期」という語だけで第2次の課題と判断すると誤りやすい選択肢です。第1次の主要課題を問う問題であれば正しい記述になります。

4.子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり:第2次に含まれる課題ですが、重点課題ではなく基盤課題Cに当たります。基盤課題Aと基盤課題Bを支える土台として、地域のつながりや社会全体で子育てを見守る環境の整備をめざすものです。第2次に含まれる文言なので重点課題と混同しやすく、この問題で最も迷いやすい選択肢です。

5.小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備:この文言は第1次の4つの主要課題の1つで、第2次の重点課題ではありません。小児医療体制の確保などを扱う課題でした。第2次では、妊産婦・乳幼児への保健対策などの基盤課題の中で扱われる形に再編されています。第1次の課題を問う問題であれば正しい記述になります。

覚えるポイント

  • 健やか親子21(第2次)は2015年度開始の10年計画で、目指す姿は「すべての子どもが健やかに育つ社会」です。
  • 第2次は3つの基盤課題と2つの重点課題で構成されます。基盤課題はA(切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策)、B(学童期・思春期から成人期に向けた保健対策)、C(子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり)です。
  • 重点課題は2つです。①育てにくさを感じる親に寄り添う支援、②妊娠期からの児童虐待防止対策。
  • 第1次(2001〜2014年)の4つの主要課題は次のとおりで、第2次の選択肢に紛れ込ませる出題が定番です。思春期の保健対策の強化と健康教育の推進、妊娠・出産の安全性と快適さの確保と不妊への支援、小児保健医療水準の維持・向上のための環境整備、子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減。
  • 妊娠期からの虐待防止の具体策も押さえます。妊娠届出時の面接、特定妊婦(児童福祉法)の把握、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、要保護児童対策地域協議会です。
  • 出題後の変更点として、所管は2023年4月からこども家庭庁に移りました。現在は成育医療等基本方針に基づく国民運動として推進されています。

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