第109回

109PM008|第109回 保健師国家試験 過去問

健やか親子21(第2次)で示されている十代の健康水準の指標はどれか。

解答・解説を見る

正解1

正答

1.性感染症罹患率

この問題のポイント

健やか親子21(第2次)の課題の構成と、指標の区分を理解しているかを問う問題です。「十代」という語から学童期・思春期を扱う基盤課題Bを思い浮かべ、その健康水準の指標である十代の自殺死亡率・人工妊娠中絶率・性感染症罹患率を思い出せるかが鍵です。他の選択肢は、別の課題の指標か、指標として設定されていないものです。

解説

健やか親子21(第2次)の枠組み

健やか親子21は、母子保健の取組の方向性と目標を示す国民運動計画です。国、地方公共団体、関係団体、住民が一体となって推進します。第1次は2001年に始まり、延長を経て2014年まで実施されました。第2次は2015年度に始まり、10年後に目指す姿として「すべての子どもが健やかに育つ社会」を掲げています。第2次は、次の3つの基盤課題と2つの重点課題で構成されます。

  • 基盤課題A:切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
  • 基盤課題B:学童期・思春期から成人期に向けた保健対策
  • 基盤課題C:子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり
  • 重点課題①:育てにくさを感じる親に寄り添う支援
  • 重点課題②:妊娠期からの児童虐待防止対策

基盤課題AとBはライフステージに沿った課題です。基盤課題CはA・Bを下支えする環境づくりで、重点課題は特に力を入れて取り組む課題です。

指標の3区分

各課題の目標は、次の3段階の指標で評価されます。

  • 健康水準の指標:住民の健康状態そのもの(死亡率、罹患率など、取組の最終的な結果)
  • 健康行動の指標:健康水準を改善するための住民の行動(喫煙、飲酒、受診など)
  • 環境整備の指標:住民の行動を支える行政や関係機関の取組・体制

環境整備が健康行動を促し、健康行動が健康水準を改善する、という流れで目標が組み立てられています。このほか、目標値を定めずに推移を見守る「参考とする指標」もあります。

基盤課題Bの指標と性感染症

基盤課題Bの健康水準の指標は次の6つです。

  • 十代の自殺死亡率
  • 十代の人工妊娠中絶率
  • 十代の性感染症罹患率
  • 児童・生徒における痩身傾向児の割合
  • 児童・生徒における肥満傾向児の割合
  • 歯肉に炎症がある十代の割合

健康行動の指標には、十代の喫煙率、十代の飲酒率、朝食を欠食する子どもの割合が置かれています。

思春期は性行動が始まりうる時期です。正しい知識がないままコンドームを使わずに性交に至ると、性感染症や予期しない妊娠につながります。予期しない妊娠は、その結果として人工妊娠中絶にもつながります。

代表的な性器クラミジア感染症は無症状のことが多いのが特徴です。未治療のまま経過すると、女性では骨盤内炎症性疾患を経て、卵管性不妊や異所性妊娠の原因になります。妊娠中に感染していると、産道感染により新生児の結膜炎や肺炎の原因にもなります。このように思春期の性の健康は将来の妊娠・出産にまで影響するため、十代の性感染症と人工妊娠中絶が健康水準の指標として並んでいます。

十代の性感染症の状況は、感染症発生動向調査で性感染症定点から報告される、性器クラミジア感染症などの報告数を用いて把握されます。保健師の実践では、次のような活動がこの課題に対応します。

  • 学校保健と地域保健が連携した性に関する健康教育
  • 思春期の相談窓口の周知
  • 自殺予防を含む心の健康づくり

正答に至る判断

問題文は「十代の」かつ「健康水準の」指標を問うています。選択肢1は、基盤課題Bの健康水準の指標そのものです。選択肢2は重点課題②の指標、選択肢3は3歳児を対象とする基盤課題Aの指標に対応します。選択肢4に当たる指標は設定されていません。

なお、出題当時は第2次計画の実施期間中でした。その後、健やか親子21は、成育基本法に基づく成育医療等基本方針を推進する国民運動として位置づけられています。また、2023年4月には母子保健の所管が厚生労働省からこども家庭庁へ移りました。

選択肢の確認

1.性感染症罹患率:正答。基盤課題B「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」の健康水準の指標として、十代の性感染症の罹患率が設定されています。十代の自殺死亡率・人工妊娠中絶率と並ぶ、思春期の健康状態を示す代表的な指標です。将来の不妊や母子感染の予防にも関わります。

2.虐待による死亡数:児童虐待で亡くなった子どもの数は、十代に限った指標ではありません。重点課題②「妊娠期からの児童虐待防止対策」の健康水準の指標です。国による死亡事例の検証では、心中以外の虐待死は0歳児、特に生後0か月の事例が多いことが示されています。主たる加害者は実母が最も多く、背景に予期しない妊娠や妊婦健康診査の未受診があることが繰り返し指摘されています。そのため、妊娠届出の時点から支援につなげる取組が重視されています。「子どもの指標」という連想から十代と取り違えないよう注意します。

3.むし歯(う歯)罹患率:むし歯に関する健康水準の指標は、基盤課題Aの「むし歯のない3歳児の割合」で、対象は十代ではなく幼児です。罹患率ではなく「むし歯のない者の割合」という形で設定されている点も異なります。十代の口腔に関しては、基盤課題Bに「歯肉に炎症がある十代の割合」が置かれています。年代によって注目する歯科疾患が違うことを押さえておきます。

4.睡眠障害がある子どもの割合:子どもの睡眠は、生活リズムや心身の発達に関わる大切な要素です。ただし、健やか親子21(第2次)では十代の健康水準の指標として設定されていません。基盤課題Bで子どもの生活習慣をみる指標は、健康行動の指標である「朝食を欠食する子どもの割合」などです。もっともらしい項目でも、実際の指標名と照らして判断する必要があります。

覚えるポイント

  • 健やか親子21(第2次)の構成は、基盤課題A(妊産婦・乳幼児)、B(学童期・思春期から成人期)、C(地域づくり)と、重点課題①(育てにくさを感じる親への支援)、②(妊娠期からの児童虐待防止)です。
  • 指標は健康水準・健康行動・環境整備の3区分で、ほかに目標値を定めない「参考とする指標」があります。
  • 十代の健康水準の指標は、自殺死亡率・人工妊娠中絶率・性感染症罹患率が中心です。痩身傾向児・肥満傾向児の割合、歯肉に炎症がある十代の割合も含まれます。十代の喫煙率・飲酒率は健康行動の指標です。
  • 歯科の指標は年代で異なります。3歳児は「むし歯のない割合」(基盤課題A)、十代は「歯肉に炎症がある割合」(基盤課題B)です。
  • 児童虐待による死亡数は重点課題②の健康水準の指標です。虐待死は0歳児、特に生後0か月に多く、妊娠期からの切れ目ない支援が要になります。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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