第109回

109PM009|第109回 保健師国家試験 過去問

健康日本21(第二次)について正しいのはどれか。

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正解1

正答

1.最終目標を健康寿命の延伸としている。

この問題のポイント

健康日本21(第二次)の全体の構造、特に最上位に置かれた「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を正しく理解しているかを問う問題です。あわせて、次の3点を押さえていれば1つに絞れます。縮小を目指す健康格差は「地域や社会経済状況による格差」であること、健康日本21は国民運動であって国民に義務を課すものではないこと、中間評価では改善項目が半数を上回ったことです。

解説

位置づけと期間

健康日本21(第二次)は、健康増進法に基づいて厚生労働大臣が定める「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」として2012年に告示されました。取り組みは2013年度から始まった国民健康づくり運動です。計画期間は当初2022年度までの10年間でしたが、医療費適正化計画など関連する計画と期間をそろえるため、2023年度まで1年延長されました。出題当時(2023年2月)は、この第二次の期間中でした。

5つの基本的な方向と「最終目標」

第二次は、次の5つの基本的な方向を示しています。

  • 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
  • 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCDの予防)
  • 社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上(こころの健康、次世代の健康、高齢者の健康)
  • 健康を支え、守るための社会環境の整備
  • 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善

5つは並列の関係ではありません。2番目から5番目の取り組みを積み重ねた結果として、最終的に健康寿命の延伸と健康格差の縮小を実現する、という階層構造になっています。これらの方向ごとに、合計53の目標項目が設定されました。

健康寿命と健康格差

健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されます。主な指標は、国民生活基礎調査のデータから算出する「日常生活に制限のない期間の平均」です。目標は「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」とされ、平均寿命との差、つまり日常生活に制限のある期間を縮めることがねらいです。この差は2019年の推計で男性約9年、女性約12年です。

健康格差は「地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差」と定義されています。具体的な目標項目は「健康寿命の都道府県格差の縮小」です。

実践とのつながり

都道府県は、この基本方針を勘案して都道府県健康増進計画を定めなければなりません。市町村は、市町村健康増進計画を定めるよう努めるものとされています。保健師が地域診断をもとに市町村計画を策定・評価するときは、この「最上位目標から個別分野へ下りていく構造」がそのまま枠組みになります。

その後の変化

  • 最終評価(2022年公表)では、「目標値に達した」と「改善傾向」を合わせて約5割でした。一方、メタボリックシンドロームの該当者・予備群、睡眠による休養、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒などは悪化と評価されました。
  • 現在は健康日本21(第三次)が2024年度から12年間の計画で始まっています。「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」をビジョンとし、健康寿命の延伸と健康格差の縮小は引き続き最上位の目標です。また、ライフコースアプローチを踏まえた健康づくりが新たに柱に加わりました。

選択肢の確認

1.最終目標を健康寿命の延伸としている。:正答。基本的な方向の第一に掲げられ、ほかの4つの方向の取り組みを通じて最終的に実現を目指す目標です。正確には「健康格差の縮小」と一対で最上位に置かれていますが、健康寿命の延伸を最終目標とする記述は正しいといえます。

2.目標項目の1つに世代間の健康格差の縮小がある。:第二次で縮小を目指す健康格差は、地域や社会経済状況の違いによる集団間の差です。目標項目も「健康寿命の都道府県格差の縮小」であり、世代間の格差を指標とした項目はありません。「世代」という語は、基本的な方向3の「次世代の健康」(子どもの健康)や、第三次の「ライフコースアプローチ」と取り違えやすいので注意が必要です。

3.国民に健康づくり対策の実施が義務付けられている。:健康日本21は、個人の生活習慣の改善とそれを支える社会環境の整備を両輪とする国民運動で、国民に実施を強制するものではありません。根拠法である健康増進法も、国民の責務としては、健康な生活習慣への関心と理解を深め、生涯にわたって自らの健康の増進に「努めなければならない」という努力義務を定めるにとどまります。国・地方公共団体には、正しい知識の普及や人材育成、技術的援助などに努める責務が定められています。

4.中間報告で「改善している」と評価された目標項目は半数未満である。:2018年の中間評価では、53項目のうち「改善している」が約6割(32項目)で、半数を上回っていました。残りは「変わらない」が多く、「悪化している」はごく一部でした。なお、2022年の最終評価でも「目標値に達した」と「改善傾向」を合わせて半数をわずかに上回っており、半数未満という記述はどちらの評価にも当てはまりません。

覚えるポイント

  • 健康日本21の最上位目標は「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」で、第二次・第三次に共通します。
  • 健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。目標は平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加です。
  • 健康格差は「地域や社会経済状況の違いによる集団間の差」で、指標は健康寿命の都道府県格差です。世代間の格差ではありません。
  • 根拠は健康増進法に基づく基本方針です。国民の健康増進は努力義務です。健康増進計画の策定は、都道府県が義務、市町村が努力義務です。
  • 評価の流れは、中間評価(2018年)で改善が約6割、最終評価(2022年)で達成と改善傾向を合わせて約5割でした。最終評価ではメタボ、睡眠による休養、リスクを高める飲酒などが悪化と評価されました。
  • 期間は、第二次が2013〜2023年度(1年延長)、第三次が2024年度から12年間です。第三次ではライフコースアプローチが新たな柱になりました。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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