第109回

109PM010|第109回 保健師国家試験 過去問

予防接種について正しいのはどれか。

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正解4

正答

4.A類疾病に対しては疾病の発生とまん延の予防を目的に実施する。

この問題のポイント

予防接種法の基本的な枠組みを問う問題です。問われているのは、法が定める予防接種の種類(定期接種と臨時接種)、予防接種基本計画を定める主体(厚生労働大臣)、健康被害救済の給付主体(市町村長)、A類疾病とB類疾病の目的の違いの4点です。「誰が」「何のために」行うのかを組み合わせで覚えているかが判断の鍵になります。

解説

予防接種法の目的

予防接種法の目的は次の2つです。

  • 伝染のおそれがある疾病の発生とまん延を予防するため、公衆衛生の見地から予防接種を実施し、国民の健康の保持に寄与すること
  • 予防接種による健康被害の迅速な救済を図ること

予防接種の実施と健康被害の救済が2本柱であることを押さえておくと、選択肢3のような救済制度の問題にも対応しやすくなります。2013年(平成25年)の改正では、それまでの一類疾病・二類疾病がA類疾病・B類疾病に改められました。あわせて、国による予防接種基本計画の策定や、医療機関からの副反応疑い報告の法定化が盛り込まれています。

A類疾病とB類疾病の違い

A類疾病は、次のいずれかにあたり、発生とまん延を予防するために特に予防接種が必要とされる疾病です。

  • 人から人へ伝染する疾病
  • かかると重篤になる、または重篤になるおそれがある疾病

破傷風は人から人へは感染しませんが、重篤になりやすいためA類に含まれています。出題当時の定期接種の対象は、ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎(ポリオ)、破傷風、麻しん、風しん、日本脳炎、結核、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス感染症、水痘、B型肝炎、ロタウイルス感染症です。集団予防の性格が強いため、次の2つが定められています。

  • 対象者(小児の場合は保護者)には接種を受ける努力義務がある
  • 実施主体は接種を勧奨する

B類疾病は、個人の発病または重症化の防止を主な目的とし、あわせてまん延の予防にも資するものとされています。出題当時は、高齢者のインフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症でした。個人予防が中心なので、努力義務や勧奨はありません。本人が希望した場合に接種します。費用の面では、A類は自己負担なし、B類は一部自己負担とする市町村が多くなっています。

定期接種・臨時接種と任意接種

法に基づく予防接種は2つです。

  • 定期接種:市町村長が、対象者と期日・期間を定めて行う
  • 臨時接種:まん延予防上緊急の必要があるときに、都道府県知事が行うか、市町村長に行うよう指示する

出題当時、新型コロナウイルスワクチンは法の附則に基づく特例臨時接種として行われていました。一方、任意接種(おたふくかぜワクチンや、定期接種の対象年齢外で受ける接種など)は、本人や保護者の希望で受けるもので、予防接種法の枠外です。

計画と救済の主体

  • 予防接種基本計画:予防接種施策を総合的・計画的に進めるため、厚生労働大臣が定めます。疾病ごとの個別予防接種推進指針も厚生労働大臣が定めます。
  • 健康被害救済:定期接種・臨時接種による疾病・障害・死亡について、厚生労働大臣が疾病・障害認定審査会の意見を聴いて認定します。そのうえで、住所地の市町村長が給付を行います。給付には医療費・医療手当、障害年金、葬祭料などがあります。

市町村の保健師は、定期接種の通知と勧奨、接種率の把握、未接種者への個別の働きかけを担います。健康被害救済の申請についての相談窓口にもなるため、ここで押さえた主体の区別は実務でもそのまま使う知識です。

選択肢の確認

1.予防接種法では定期接種と任意接種に分類される。:予防接種法が定める予防接種は定期接種と臨時接種であり、任意接種は法に基づかない接種なので誤りです。「定期接種と任意接種」という分け方は、母子健康手帳や保護者向けの説明でよく使われるため、法律上の分類と取り違えやすい点に注意します。健康被害の救済制度も異なります。任意接種による健康被害は、予防接種法ではなく、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用被害救済制度の対象です。

2.市町村長は予防接種基本計画を策定する義務がある。:予防接種基本計画は国全体の施策の方向性を示すもので、策定するのは厚生労働大臣なので誤りです。市町村長は定期接種の実施主体なので、計画策定も市町村と思い込みやすいところです。健康増進法の健康増進計画(都道府県は義務、市町村は努力義務)のように自治体が計画を立てる法律と混同しないようにします。

3.予防接種による健康被害の救済措置は都道府県知事が行う。:健康被害の因果関係を認定するのは厚生労働大臣、給付を行うのは市町村長で、都道府県知事ではないため誤りです。臨時接種では都道府県知事が実施にかかわることがあるため、救済も都道府県と取り違えやすい点に注意します。申請の窓口は住所地の市町村です。

4.A類疾病に対しては疾病の発生とまん延の予防を目的に実施する。:正答。A類疾病は、人から人への伝染や重篤化のおそれから、社会全体での発生とまん延の予防を目的に接種を行います。このため対象者の努力義務と接種の勧奨が定められています。B類疾病が個人の発病・重症化の防止を主な目的とすることと対比して覚えます。

覚えるポイント

  • 予防接種法に基づく接種は定期接種と臨時接種です。任意接種は法の枠外で、健康被害はPMDAの医薬品副作用被害救済制度の対象になります。
  • A類は集団予防(発生・まん延の予防、重篤化する疾病を含む)で、努力義務と勧奨があります。B類は個人予防(発病・重症化の防止、あわせてまん延予防)で、努力義務も勧奨もありません。
  • 予防接種基本計画と個別予防接種推進指針は厚生労働大臣が定めます。定期接種の実施主体は市町村長です。臨時接種は都道府県知事が行うか、市町村長に指示します。
  • 健康被害救済は、認定が厚生労働大臣(疾病・障害認定審査会の意見を聴く)、給付が市町村長です。
  • 出題当時のB類は高齢者のインフルエンザと肺炎球菌感染症でした。その後、B類の定期接種に新型コロナウイルス感染症(2024年4月から、高齢者等が対象)と帯状疱疹(2025年4月から)が加わっています。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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