第109回
109PM011|第109回 保健師国家試験 過去問
学校保健に関係する教職員と職務の組合せで正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解4
正答
4.学校薬剤師 ― 環境衛生検査への従事
この問題のポイント
学校保健に関わる職種の役割分担を、法令上の根拠とあわせて区別できるかを問う問題です。職種は、校長・保健主事・養護教諭・栄養教諭と、学校医・学校歯科医・学校薬剤師(学校三師)です。次の3点を押さえていれば、正答を選べます。
- 学校保健計画を作り、学校保健委員会を運営するのは保健主事
- 環境衛生検査に従事するのは学校薬剤師
- 学校三師を任命・委嘱するのは学校の設置者
解説
学校保健に関わる職種と役割
学校保健は、学校保健安全法、学校教育法とその施行規則などを根拠に、複数の職種が分担して進めます。
- 校長:学校保健の総括責任者です。次の役割が法律で定められています。
- 学校保健計画の実施に責任を負う
- 感染症による出席停止を指示する
- 環境衛生で適正を欠く事項があれば改善措置を講じる
- 保健主事:学校教育法施行規則に基づく校内の職で、指導教諭・教諭・養護教諭をもって充てます。校長の監督を受けて、学校の保健に関する事項の管理に当たります。具体的には、学校保健計画の作成、学校保健委員会の企画・運営、学校保健と教育活動全体との連絡調整を担います。
- 養護教諭:学校教育法で「児童の養護をつかさどる」とされています。救急処置、健康観察、健康相談、保健指導、保健室経営、健康診断の準備・実施などが中心です。
- 栄養教諭:学校教育法で「児童の栄養の指導及び管理をつかさどる」とされています。食に関する指導(食育)と学校給食の管理が職務です。
- 学校医・学校歯科医・学校薬剤師:学校保健安全法で配置が定められています。学校医は大学を含むすべての学校に、学校歯科医と学校薬剤師は大学以外の学校に置きます。医師・歯科医師・薬剤師のうちから、学校の設置者が任命または委嘱します。職務の内容は、学校保健安全法施行規則の「職務執行の準則」で定められています。
学校薬剤師と環境衛生検査
学校保健安全法では、学校環境衛生の役割が次のように分かれています。
- 文部科学大臣:学校環境衛生基準を定める
- 学校の設置者:基準に照らして適切な環境の維持に努める
- 校長:適正を欠く事項があれば遅滞なく改善措置を講じる。自校で対応できないときは設置者に申し出る
環境衛生検査には3種類あります。
- 定期検査:学校保健計画に基づき毎学年定期に行う
- 臨時検査:必要があるときに行う
- 日常点検:教職員が日常的に行う
検査項目は、換気(二酸化炭素濃度)、温度、相対湿度、照度、騒音、飲料水やプール水の水質、ダニ・ダニアレルゲン、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物など、多岐にわたります。代表的な基準は次のとおりです。
- 二酸化炭素:1500ppm以下が望ましい
- 相対湿度:30%以上80%以下が望ましい
- 温度:2022年4月の改正で「18℃以上28℃以下が望ましい」となり、下限が17℃から引き上げられました。出題当時はすでに改正後の基準です。
学校薬剤師の職務執行の準則には、次の内容が含まれています。
- 学校保健計画・学校安全計画の立案への参与
- 環境衛生検査への従事
- 環境衛生の維持・改善に関する指導・助言
- 健康相談・保健指導への従事
- 学校で使う医薬品・毒物・劇物などの管理に関する指導・助言
選択肢4は、この準則の文言にそのまま対応しています。流れとしては、学校薬剤師が検査して指導・助言し、その結果を受けて校長が改善措置を講じます。
解き方の筋道
各選択肢の「職種」と「職務」を法令上の規定と照らし合わせます。
- 委員会の運営と計画の立案:保健主事の職務
- 学校医の任命:設置者の権限
- 環境衛生検査:学校薬剤師の職務
この照合から、組合せが正しいのは選択肢4だけと判断できます。
保健師にとっても、学校保健の担い手と役割を知ることは大切です。地域の保健師が学校保健委員会に参加したり、感染症の集団発生時に学校と連携したりする場面があり、そこで直接役に立つ知識です。
選択肢の確認
1.校長 ― 学校保健委員会の運営:学校保健委員会の企画・運営の中心となるのは保健主事です。学校保健委員会は、教職員、学校三師、保護者代表、地域の関係者などが児童生徒の健康課題を協議する組織です。校長はその構成員であり、学校保健全体の総括責任者として、協議結果を学校運営に反映させる立場にあります。「学校保健の最終責任者」と「委員会を実際に動かす担当者」を混同させるのが、この選択肢の狙いです。
2.栄養教諭 ― 学校保健計画の立案:学校保健計画の立案を中心となって担うのは保健主事で、栄養教諭の中核的な職務ではありません。栄養教諭の職務は、食に関する指導と学校給食の管理です。食に関する指導の全体計画づくりには中心的に関わるため、この計画と学校保健計画を取り違えないよう注意が必要です。なお、学校保健計画の立案には、学校医・学校歯科医・学校薬剤師も準則に基づいて「参与」します。
3.保健主事 ― 学校医の任命:学校医・学校歯科医・学校薬剤師を任命または委嘱するのは学校の設置者(公立学校では教育委員会)であり、保健主事にその権限はありません。保健主事は教諭や養護教諭をもって充てる校内の職です。学校医と連絡調整を行いながら、保健活動を企画する役割を担います。
4.学校薬剤師 ― 環境衛生検査への従事:正答。学校保健安全法施行規則の職務執行の準則に、学校薬剤師の職務として「環境衛生検査に従事すること」が明記されています。あわせて、環境衛生の維持・改善に関する指導・助言も行います。対象は、教室の換気・温度・照度・騒音、飲料水やプール水の水質などです。
覚えるポイント
- 保健主事は学校保健の「企画・調整役」です。学校保健計画の作成、学校保健委員会の企画・運営を担い、指導教諭・教諭・養護教諭をもって充てます。
- 学校三師の配置と任命:学校医はすべての学校、学校歯科医と学校薬剤師は大学以外の学校に置きます。任命・委嘱するのは学校の設置者です。
- 学校薬剤師の主な職務は、環境衛生検査への従事と指導・助言、医薬品・毒物・劇物の管理に関する指導・助言です。学校三師に共通する職務として、学校保健計画・学校安全計画の立案への「参与」があります。
- 環境衛生の分担:基準を定めるのは文部科学大臣、改善措置を講じるのは校長、日常点検は教職員です。
- 校長と設置者の区別:感染症による出席停止は校長、臨時休業は学校の設置者が行います。
- 学校教育法の規定:養護教諭は「養護をつかさどる」、栄養教諭は「栄養の指導及び管理をつかさどる」と定められています。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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