第108回
108AM015|第108回 保健師国家試験 過去問
学校給食に関する養護教諭の職務はどれか。
解答・解説を見る
正解1
正答
1.食中毒の予防
この問題のポイント
学校給食に関する業務のうち、どれが養護教諭の職務かを問う問題です。鍵になるのは、養護教諭は「児童の養護」、栄養教諭は「児童の栄養の指導及び管理」をつかさどるという職務の違いです。給食の業務は、献立・栄養・調理場の衛生・計画といった提供する側の管理と、食べる子どもの健康を守る働きに分けられます。養護教諭が担うのは後者であり、それにあたるのが食中毒の予防です。
解説
問題文の手がかり
問われているのは、学校給食に関する業務の中の「養護教諭の職務」です。4つの選択肢はどれも学校給食に関係する業務です。そのため「給食に関係があるか」ではなく、「どの職種の職務か」で判断する必要があります。
職種ごとの職務の根拠
学校教育法は、養護教諭を「児童の養護をつかさどる」、栄養教諭を「児童の栄養の指導及び管理をつかさどる」職と定めています。栄養教諭は2005年度に創設された職です。
学校給食法では、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員(学校給食栄養管理者)は、栄養教諭の免許状または栄養士の免許を持つ者でなければならないとされています。栄養教諭がいない学校や共同調理場では、学校栄養職員がこの役割を担います。
学校給食に関わる主な職種の役割は、次のように整理できます。
- 校長:学校給食と食に関する指導の全体に責任を負います。学校給食法は、校長が食に関する指導の全体的な計画を作成するなど、必要な措置を講じることを定めています。
- 栄養教諭・学校栄養職員(栄養教諭等):学校給食実施基準に基づいて献立を作成し、栄養を管理します。学校給食衛生管理基準に基づく調理場の衛生管理と、食に関する指導の中核も担います。
- 学級担任:給食の時間の指導(手洗い、配膳、食事のマナーなど)を行います。
- 養護教諭:健康観察・健康相談・保健指導を通じて児童生徒の健康を管理します。食中毒や感染症の予防と発生時の対応、食物アレルギーなど健康課題のある児童生徒への支援も担います。
- 学校医・学校薬剤師:医学・薬学の立場から専門的な指導や助言を行います。
養護教諭が担う食中毒の予防
学校保健安全法は、養護教諭その他の職員が相互に連携し、健康相談や日常的な健康観察で児童生徒の心身の状況を把握し、健康上の問題があれば遅滞なく必要な指導を行うことを定めています。給食に関しては、次のような働きが該当します。
- 平常時:手洗いや爪の清潔など衛生習慣の保健指導を行います。給食当番を含む児童生徒の健康観察(下痢・嘔吐・発熱など)を、学級担任と連携して行います。
- 発生が疑われるとき:腹痛・下痢・嘔吐の訴えや欠席者の急増をいち早く察知します。有症者の人数、症状、発症の時期、欠席状況などをまとめて校長に報告し、学校医・教育委員会・保健所との連携を支えます。
食中毒を診断した医師は、食品衛生法に基づき直ちに保健所長へ届け出ます。届出を受けた保健所は原因究明のための調査を行います。養護教諭が集めた欠席・有症状況は、患者の広がりや発生時期をつかむための重要な情報です。そのため保健所の保健師にとって、養護教諭は学校保健における大切な連携相手になります。
正答に至る判断
選択肢3も食中毒を防ぐための業務ですが、調理場という提供側の管理であり、栄養教諭等の職務です。これに対し、児童生徒の健康観察と保健指導を通じて食中毒を防ぎ、発生時に被害の拡大を抑えることは、「養護をつかさどる」養護教諭の職務にあたります。したがって正答は選択肢1です。
選択肢の確認
1.食中毒の予防:正答。手洗いなどの保健指導や日々の健康観察によって発生を防ぎ、有症者を早く見つけて学校医や保健所との連携につなげることは、学校保健安全法に基づく養護教諭の保健管理・保健指導の職務です。給食そのものを作る工程ではなく、食べる子どもの健康を守る側から関わる点がポイントです。
2.献立の栄養管理:献立の作成と栄養管理は、学校給食実施基準(学校給食摂取基準を含む)に基づき、学校給食栄養管理者である栄養教諭または学校栄養職員が担う専門的事項です。学校教育法上も「栄養の指導及び管理」は栄養教諭の職務です。養護教諭は肥満・やせや食物アレルギーなど児童生徒の健康情報を共有して協力しますが、献立の栄養を管理する立場ではありません。
3.調理場の衛生管理:学校給食衛生管理基準では、教育委員会等が栄養教諭等を衛生管理責任者として定めます。栄養教諭等がいない場合は、調理師資格を持つ学校給食調理員等を充てるとされています。調理場の衛生を管理する責任者は、施設・設備の衛生、食材の検収、温度管理、調理従事者の健康状態の確認などを担います。食中毒の予防とつながる業務なので混同しやすいのですが、提供する側の管理であり、養護教諭の職務ではありません。
4.食に関する指導に係る全体計画の作成:学校給食法は、校長が学校給食と関連付けながら、食に関する指導の全体的な計画を作成するなどの措置を講じることを定めています。実際には、校長のリーダーシップのもとで栄養教諭が中心となって原案をまとめ、全教職員で取り組みます。養護教諭は健康課題の情報を提供するなど計画に協力しますが、作成を担う職務ではありません。
覚えるポイント
- 学校教育法の職務規定:養護教諭は「児童の養護をつかさどる」、栄養教諭は「児童の栄養の指導及び管理をつかさどる」。栄養教諭は2005年度に創設されました。
- 給食の役割分担:校長は全体責任と食に関する指導の全体的な計画、栄養教諭等は献立・栄養管理・調理場の衛生管理責任者を担います。養護教諭は健康観察と保健指導による食中毒・感染症の予防と、発生時の対応を担います。
- 迷ったら「提供する側の管理は栄養教諭等、食べる子どもの健康は養護教諭」と分けて考えます。
- 学校給食衛生管理基準:検食は児童生徒の摂食開始時間の30分前までに行います。保存食は原材料と調理済食品を食品ごとに50g程度、−20℃以下で2週間以上保存します。
- 食中毒を診断した医師は、食品衛生法に基づき直ちに保健所長へ届け出ます。原因究明の調査は保健所が行い、学校側の有症者・欠席情報が重要な手がかりになります。
- 腸管出血性大腸菌感染症は学校感染症の第三種です。出席停止の期間は、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまでです。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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