第108回

108AM016|第108回 保健師国家試験 過去問

令和元年度(2019年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で正しいのはどれか。

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正解3

正答

3.中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。

この問題のポイント

文部科学省が毎年行う「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について、不登校といじめの基本的な数字と順位を問う問題です。判断に必要なのは次の4点です。

  • 不登校児童生徒数の規模:小学校は中学校の半分以下
  • 不登校の主たる要因:小・中学校とも「無気力・不安」が最多
  • いじめの発見のきっかけ:アンケート調査など学校の取組が最多
  • いじめの態様:言葉によるものが最多

解説

調査の概要

この調査は、文部科学省が全国の国公私立学校を対象に毎年度行っています。暴力行為、いじめ、不登校、自殺などの状況をまとめたものです。令和元年度調査の結果は2020年秋に公表され、2022年2月の本試験で出題されました。保健師国家試験では、学校保健や子どもの心の健康に関連して、人数の規模と「第1位」が繰り返し問われます。

不登校の定義と人数

調査上の不登校は、次のように定義されています。

  • 何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にある
  • そのために年間30日以上欠席した者
  • ただし、病気や経済的な理由による者を除く

令和元年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約18万1千人で、過去最多でした。内訳は小学校が約5万3千人、中学校が約12万8千人で、中学校は小学校の2倍以上です。在籍者に占める割合も、小学校は1%未満、中学校は約4%で、学校段階が上がるほど高くなります。

不登校の要因

令和元年度調査から要因の項目が整理され、次の3区分から「主たる要因」を1つ選ぶ形式になりました。

  • 学校に係る状況:いじめ、いじめを除く友人関係をめぐる問題、学業の不振など
  • 家庭に係る状況:親子の関わり方、家庭内の不和など
  • 本人に係る状況:生活リズムの乱れ・あそび・非行、無気力・不安

結果は、小学校・中学校ともに「無気力・不安」が第1位で、約4割を占めました。第2位は、小学校では「親子の関わり方」、中学校では「いじめを除く友人関係をめぐる問題」でした。年齢が低いほど家庭の影響が大きく、思春期には友人関係の比重が増すという発達段階の違いとして理解すると覚えやすくなります。なお、「いじめ」を主たる要因とするものはごくわずかでした。

いじめ

いじめ防止対策推進法(2013年)は、いじめを次のように定義しています。

  • 一定の人的関係にある他の児童生徒が行う、心理的または物理的な影響を与える行為である
  • インターネットを通じて行われるものを含む
  • 対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの

被害を受けた側の感じ方を基準とするため、学校が積極的に「認知」することが重視されます。令和元年度のいじめ認知件数は約61万件で過去最多となり、その大部分を小学校が占めました。

  • 発見のきっかけ:「アンケート調査など学校の取組により発見」が約半数を占めて第1位です。
  • 態様:小・中・高校のいずれでも「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が約6割で第1位です。
  • 学校段階による違い:学校段階が上がるほど、「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」の割合が高くなります。

その後の変化

出題当時の基準は令和元年度調査です。その後も不登校は増え続け、令和4年度調査では小学校の不登校児童数が約10万5千人となり、10万人を超えました。また令和5年度調査からは、不登校の要因の把握方法が変わりました。主たる要因を1つ選ぶ形式ではなく、教職員が把握した事実を複数回答で尋ねる形式になっています。統計問題は、必ず「何年度の調査か」を確認して判断します。

実践とのつながり

「無気力・不安」は教職員が捉えた要因であり、その背景には心身の不調、発達特性、家庭環境などが隠れていることがあります。教育機会確保法(2016年)や令和元年の文部科学省通知は、次のような考え方を示しています。

  • 不登校を問題行動とみなさない
  • 休養の必要性や学校外の学びの場を認める
  • 登校という結果だけを目標にしない

保健師は、学校、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、児童相談所などと連携して、子どもと家族の両方を支援する視点が求められます。

選択肢の確認

1.小学校における不登校児童数は約10万人である。:令和元年度の小学校の不登校児童数は約5万3千人で、約10万人の半分程度にとどまります。約10万人という数字は、むしろ中学校(約12万8千人)の規模に近く、小・中の人数を取り違えやすい選択肢です。小学校で10万人を超えたのは令和4年度調査からであり、出題当時の数値とは合いません。

2.いじめの発見のきっかけの第1位は「本人からの訴え」である。:令和元年度の第1位は「アンケート調査など学校の取組により発見」で、全体の約半数を占めます。本人からの訴えは上位に入るものの、第1位とは大きな差があります。本人が自分から訴えにくいからこそ、定期的なアンケートなど学校側の積極的な把握が早期発見の中心になっていると理解しておきます。

3.中学校における不登校の主たる要因の第1位は「無気力・不安」である。:正答。令和元年度調査では、本人に係る状況の「無気力・不安」が、中学校でも小学校でも約4割で第1位でした。中学校の第2位は「いじめを除く友人関係をめぐる問題」で、小学校の第2位「親子の関わり方」との違いも一緒に押さえておきます。

4.小学校におけるいじめの内容の第1位は「仲間はずれ、集団による無視をされる」である。:小学校の第1位は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」で、約6割を占めます。仲間はずれ・集団による無視は、これと比べて大幅に少ない割合です。いじめの典型として無視を思い浮かべやすいのですが、統計上は言葉によるものが小・中・高校のすべてで最多です。

覚えるポイント

  • 不登校の定義:年間30日以上の欠席で、病気・経済的理由を除く。令和元年度は小・中学校合計約18万1千人(小学校約5万3千人、中学校約12万8千人)で、中学校が小学校の2倍以上。
  • 不登校の主たる要因(令和元年度):小・中学校とも「無気力・不安」が第1位。第2位は、小学校が「親子の関わり方」、中学校が「いじめを除く友人関係をめぐる問題」。
  • いじめの発見のきっかけ:第1位は「アンケート調査など学校の取組」で、本人からの訴えではない。
  • いじめの態様:第1位は「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」(約6割)。学校段階が上がるほどネット上の誹謗中傷の割合が高くなる。
  • いじめの定義(いじめ防止対策推進法):被害者が心身の苦痛を感じているかどうかが基準。認知件数は小学校が大部分を占める。
  • 統計問題は調査年度を確認する:不登校はその後も増加し、令和4年度に小学校でも10万人を超えた。令和5年度調査からは要因の尋ね方も変わっている。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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