第108回
108AM017|第108回 保健師国家試験 過去問
地域産業保健センターについて正しいのはどれか。
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正解3
正答
3.個別訪問による産業保健指導を行う。
この問題のポイント
地域産業保健センターの対象と業務を問う問題です。判断の鍵は、このセンターが、産業医の選任義務がない常時50人未満の小規模事業場を、医師や保健師が相談や訪問で直接支える身近な窓口だという点です。産業医などの産業保健スタッフへの研修は、都道府県単位の産業保健総合支援センターの業務です。この2つを区別できるかが問われています。
解説
事業場の規模と産業保健体制
労働安全衛生法では、事業場の規模によって求められる体制が異なります。
- 常時50人以上:産業医と衛生管理者の選任、衛生委員会の設置、ストレスチェックの実施が義務です。
- 常時10人以上50人未満:衛生推進者(業種によっては安全衛生推進者)を選任します。
- 常時50人未満:産業医の選任義務はありません。医師などに労働者の健康管理を行わせることは努力義務にとどまります。
小規模事業場は専門職を置く体制も費用も不足しがちです。そのため、健康診断後のフォローやメンタルヘルス対策が手薄になりやすくなります。この空白を埋めるために、国が無料で産業保健サービスを届ける仕組みが地域産業保健センターです。
地域産業保健センターの位置づけと業務
2014年度に、産業保健推進センター、地域産業保健センター、メンタルヘルス対策支援センターの3事業が一元化されました。現在は、独立行政法人労働者健康安全機構(一元化の時点では労働者健康福祉機構)が運営する産業保健総合支援センターの地域窓口という位置づけです。おおむね労働基準監督署の管轄区域ごとに置かれ、多くは郡市区医師会に運営が委託されています。登録した医師や保健師が、50人未満の事業場の事業者と労働者に次のような支援を無料で行います。
- 労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に関する相談
- 健康診断で異常所見があった労働者について、事業者が医師の意見を聴く際の意見聴取への対応
- 長時間労働者や、ストレスチェックで高ストレスと判定された者に対する医師の面接指導
- 医師や保健師が事業場を個別訪問して行う産業保健指導(職場の作業環境や作業状況の確認、健康管理体制づくりへの助言など)
産業保健総合支援センターとの違い
産業保健総合支援センターは都道府県ごとに置かれ、産業医、保健師、衛生管理者、人事労務担当者などの産業保健関係者を支える拠点です。主な業務は、専門的な研修、専門的な相談への対応、情報提供と広報啓発、メンタルヘルス対策や治療と仕事の両立支援に関する事業場への支援です。
- 産業保健総合支援センター:支援者を支える広域の拠点
- 地域産業保健センター:小規模事業場を直接支える身近な窓口
このように整理すると、選択肢1・2は総合支援センター側の役割、選択肢3は地域窓口の役割だと判断できます。
保健師活動とのつながり
地域窓口では、保健師が健康相談や訪問指導を担うことがあります。市町村や保健所の保健師にとっても、小規模事業場の労働者や自営業者は職域の支援が届きにくい層です。地域・職域連携推進協議会などを通じて地域産業保健センターと連携し、健診後の保健指導やメンタルヘルス支援につなぐ視点が求められます。
なお、ストレスチェックは出題当時、50人未満の事業場では努力義務でした。その後、2025年の法改正で50人未満の事業場にも義務化されることが決まっています(施行は公布後3年以内)。小規模事業場を支える地域窓口の役割は、今後さらに大きくなります。
選択肢の確認
1.衛生管理者の育成を行う。:衛生管理者は常時50人以上の事業場で選任が義務づけられる者です。衛生管理者免許試験(公益財団法人安全衛生技術試験協会が実施)に合格するなどして資格を得ます。選任義務のない50人未満の事業場を対象とする地域産業保健センターが、その育成を担うことはありません。選任済みの衛生管理者に向けた研修は産業保健総合支援センターの業務なので、取り違えないようにします。なお、保健師は申請により第一種衛生管理者免許を受けられます。
2.産業医の研修を実施する。:産業医は、医師であることに加えて一定の要件(日本医師会の産業医学基礎研修や産業医科大学の産業医学基本講座の修了、労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)の合格など)を満たす必要があります。産業医など産業保健スタッフへの専門的研修を行うのは、都道府県ごとの産業保健総合支援センターです。地域産業保健センターは研修機関ではありません。登録した医師が、産業医のいない小規模事業場を支えるための機関です。
3.個別訪問による産業保健指導を行う。:正答。地域産業保健センターの登録医師や保健師は、50人未満の事業場を個別に訪問します。そして作業環境や作業状況を確認し、健康管理の体制づくりなどについて無料で指導・助言します。相談対応、健診結果についての意見聴取、面接指導と並ぶ中心的な業務です。
4.労働者100人未満の事業場を対象とする。:対象は常時50人未満の事業場で、100人未満ではありません。50人という線は、産業医・衛生管理者の選任義務の境目と一致しています。100人は、建設業や運送業などで総括安全衛生管理者の選任が必要になる規模なので、これと混同しないよう注意します。
覚えるポイント
- 地域産業保健センター(地域窓口)は、常時50人未満の事業場が対象です。無料で、相談、健診結果についての意見聴取、面接指導、個別訪問指導を行います。
- 産業保健総合支援センターは都道府県ごとに置かれ、産業医・保健師・衛生管理者などへの研修、専門的相談、情報提供を行います。
- 両センターは2014年度に一元化され、労働者健康安全機構が運営しています。地域窓口の多くは郡市区医師会が運営を受託しています。
- 規模の基準は次のとおりです。10人以上で衛生推進者、50人以上で産業医・衛生管理者・衛生委員会、1,000人以上(一定の有害業務では500人以上)で専属産業医、3,000人を超えると産業医2人以上です。
- ストレスチェックは出題当時、50人未満では努力義務でした。2025年の法改正で全事業場に義務化されることが決まっています。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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