第109回

109PM013|第109回 保健師国家試験 過去問

産業保健における作業管理はどれか。

解答・解説を見る

正解2

正答

2.適切に保護具を装着する。

この問題のポイント

労働衛生の基本である「3管理」(作業環境管理・作業管理・健康管理)を区別できるかを問う問題です。判断の鍵は、各管理が何に働きかけるかです。環境そのものを改善するのか、作業のやり方や身につけるもので曝露を減らすのか、労働者の健康状態を把握して対応するのかで分けると、保護具の装着は作業管理にあたると判断できます。

解説

労働衛生の3管理と5管理

職場には粉じん、有機溶剤、騒音、振動、暑熱、重量物の取扱いなどの有害要因があります。これらから労働者の健康を守る活動は、次の3つの管理に整理されます。

  • 作業環境管理:作業環境中の有害要因を取り除いたり減らしたりする管理です。有害性の低い物質への代替、設備の密閉化・自動化、局所排気装置や全体換気装置の設置、騒音源の遮音などがあります。環境の状態を把握する作業環境測定もここに含まれます。
  • 作業管理:環境に残る有害要因や作業そのものの負担が労働者に及ぶ影響を、作業のしかたを管理して減らす管理です。作業時間・作業量・作業強度の調整、休憩の設定、作業姿勢や作業方法の改善、作業手順の標準化、保護具の適正な選択と使用が含まれます。
  • 健康管理:労働者の健康状態を把握し、異常を早期に見つけて対応する管理です。一般健康診断・特殊健康診断とその事後措置、保健指導、長時間労働者への面接指導、ストレスチェックなどがあります。

3管理に労働衛生教育と総括管理を加えたものを「労働衛生の5管理」と呼びます。総括管理とは、これらの活動を組織的に進めるための労働衛生管理体制を整えることです。

保護具が作業管理に入る理由

保護具には防じんマスク、防毒マスク、耳栓・イヤーマフ、保護手袋、保護めがねなどがあります。いずれも作業環境中の有害要因そのものを減らすわけではありません。有害要因が残る環境で働く人が作業時に身につけ、体内への取り込みや身体への影響を減らすものです。そのため「作業のしかた」を管理する作業管理に分類されます。

ただし、装着していても効果が得られない場合があります。作業に合わない種類を選んだとき、顔面との密着が不十分なとき、フィルターや吸収缶の交換時期を守らなかったときなどです。このため、正しい種類の選択、正しい装着、保守管理までを指導し、「適切に」装着させることが作業管理の内容になります。

対策の優先順位と実践での意味

有害要因への対策は、発生源の対策、伝わる経路の対策、受け手である労働者側の対策の順に考えるのが基本です。まず作業環境管理で有害要因そのものを除去・低減します。それでも残るリスクには作業管理で曝露を減らし、健康管理で健康への影響を早期にとらえます。保護具は効果が個人の着け方に左右されるため、環境改善の代わりにはせず、補う手段として位置づけます。

産業保健師は、健康診断の結果(健康管理)から職場の問題に気づくことが多いものの、原因への対策は他の管理につなげて考える必要があります。たとえば騒音職場で聴力低下者が見つかった場合は、次の3方向から対策を組み立てます。

  • 騒音源の遮音・防音(作業環境管理)
  • 騒音下での作業時間の短縮と防音保護具の着用(作業管理)
  • 聴力検査による経過観察(健康管理)

選択肢の確認

1.定期的に健康診断を行う。:定期健康診断は、労働者の健康状態を把握して異常の早期発見と事後措置につなげる活動で、健康管理の中心にあたり作業管理ではありません。一般健康診断も、有害業務に従事する労働者への特殊健康診断も健康管理に分類されます。健診結果が作業環境や作業方法を見直すきっかけになることはありますが、健康診断そのものの分類は健康管理です。

2.適切に保護具を装着する。:正答。保護具は作業環境の有害要因を減らすものではなく、その環境で作業する労働者の曝露を作業時に減らすもので、作業管理に分類されます。作業に合った種類の選択、正しい装着と密着の確認、保守・交換の管理までを含めて作業管理として扱います。

3.作業環境の有害要因を除去する。:有害要因そのものを作業環境から取り除く・減らす働きかけは作業環境管理にあたります。有害物質の代替、密閉化、局所排気装置の設置、作業環境測定とその結果に基づく改善などが該当します。「作業」という語が共通するため作業管理と混同しやすいですが、働きかける対象が「環境」であれば作業環境管理です。

4.労働衛生に関する体制を構築する。:労働衛生活動を組織として進めるしくみづくりは総括管理にあたり、3管理を機能させる土台です。具体的には、衛生管理者や産業医の選任、衛生委員会の設置、年間計画の策定などです。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、衛生管理者と産業医の選任、衛生委員会の設置が義務づけられています。体制づくりは作業管理そのものではありません。

覚えるポイント

  • 3管理は、作業環境管理(環境を変える)、作業管理(作業のしかたと身につけるもので曝露・負担を減らす)、健康管理(人の健康状態を把握し対応する)です。
  • 5管理は、3管理に労働衛生教育と総括管理(体制づくり)を加えたものです。
  • 作業管理の例は、作業時間・休憩の管理、作業姿勢・作業方法の改善、作業標準の作成、保護具の適正使用です。
  • 作業環境管理の例は、代替、密閉化、局所排気装置、全体換気、遮音、作業環境測定です。作業環境測定の結果は第1〜第3管理区分で評価します。
  • 健康管理の例は、一般・特殊健康診断と事後措置、保健指導、長時間労働者の面接指導、ストレスチェックです。
  • 対策は作業環境管理を優先し、作業管理、健康管理の順に考えます。保護具は環境改善を補う手段です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。

解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。

学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。