第108回
108AM014|第108回 保健師国家試験 過去問
平成30年(2018年)の特別支援教育の状況で正しいのはどれか。
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正解1
正答
1.訪問教育を受けている児童生徒は小学生が最も多い。
この問題のポイント
文部科学省「特別支援教育資料(平成30年度)」をもとに、特別支援教育の対象者数の推移、特別支援学校に在籍する割合、特別支援学級の障害種別の内訳、訪問教育の学部別の人数を問う問題です。判断の鍵は、「特別支援学校」「特別支援学級」「通級による指導」という3つの学びの場を区別することです。そのうえで、それぞれの規模と、どの障害種が最も多いかを押さえておく必要があります。
解説
特別支援教育の3つの場
特別支援教育は、2006年の学校教育法改正を受けて2007年(平成19年)4月に始まりました。従来の盲学校・聾学校・養護学校は特別支援学校に、特殊学級は特別支援学級に改められています。あわせて、通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒も支援の対象として明確に位置づけられました。
- 特別支援学校:障害の程度が比較的重い子どもが学ぶ学校です。対象は視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱(身体虚弱を含む)の5障害で、幼稚部・小学部・中学部・高等部を置くことができます。
- 特別支援学級:小学校・中学校などに置かれる少人数の学級です。知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害の学級があります。
- 通級による指導:通常の学級に在籍しながら、一部の時間だけ障害に応じた特別な指導を受ける仕組みです。2018年度(平成30年度)からは高等学校でも制度化されました。
平成30年度の状況
- 規模:義務教育段階の全児童生徒のうち、特別支援学校に在籍する児童生徒は約0.7%で、1%に届きません。対象者の多くは、通常の学校の中にある特別支援学級や通級による指導で学んでいます。
- 推移:少子化で全児童生徒数は減っています。それでも、特別支援教育の対象となる児童生徒数は2007年以降一貫して増えており、特に特別支援学級と通級による指導の伸びが大きくなっています。背景には次のような変化があります。
- 発達障害への理解が広がり、早い時期に気づかれるようになったこと
- 保護者の意識が変わってきたこと
- 2013年の学校教育法施行令改正で就学先の決め方が見直されたこと(本人・保護者の意向を尊重し、総合的に判断する仕組みになりました)
- 障害種別:特別支援学級では自閉症・情緒障害が最も多く、知的障害がこれに次ぎます。一方、特別支援学校では知的障害が最も多くなっています。「学級」と「学校」で最多の障害種が異なる点が、よく問われます。
- 訪問教育:障害が重度・重複しているなどの理由で通学が難しい児童生徒のために、特別支援学校の教員が家庭、児童福祉施設、医療機関などを訪問して行う教育です。学部別に見ると小学部が最も多くなっています。特別支援学校全体の在籍者は高等部が最も多いため、「在籍者が多い段階ほど訪問教育も多い」とは考えられない点に注意が必要です。
保健師の実践とのつながり
保健師は、乳幼児健診や発達相談で関わってきた子どもが就学期を迎える際に、就学相談へ橋渡しをする役割を担います。また、重症心身障害児や医療的ケア児の在宅支援では、訪問教育を担う特別支援学校と連携する場面があります。2021年には医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、保健・医療・福祉・教育の連携がいっそう求められています。こうした統計の傾向を知っておくことは、地域の支援ニーズを見積もる際の基礎になります。
選択肢の確認
1.訪問教育を受けている児童生徒は小学生が最も多い。:正答。訪問教育は、通学が困難な重度・重複障害などの児童生徒に特別支援学校の教員が出向いて行う教育です。平成30年度の学部別人数では小学部が最多でした。選択肢の「小学生」は、特別支援学校小学部の児童を指します。なお、病院内に設けられた病弱・身体虚弱の特別支援学級(いわゆる院内学級)は、訪問教育とは別の仕組みなので区別しておきます。
2.特別支援学級の児童生徒の障害は知的障害が最も多い。:平成30年度の特別支援学級では、近年大きく増えている自閉症・情緒障害の在籍者が最も多く、知的障害はその次でした。「知的障害が最多」が当てはまるのは特別支援学校のほうで、学校と学級を取り違えさせる選択肢です。したがって誤りです。
3.義務教育段階の児童生徒のうち特別支援学校に在籍している割合は全児童生徒の3%である。:特別支援学校に在籍する義務教育段階の児童生徒は全体の約0.7%で、1%に満たない水準です。3%はそれより一桁近く大きい値です。特別支援学級の在籍者(2%台)や、3つの場を合わせた割合と混同しないよう注意します。したがって誤りです。
4.特別支援教育が開始された平成19年(2007年)に比べて対象となる児童生徒数は減少している。:少子化で全児童生徒数は減っていますが、特別支援教育の対象となる児童生徒数は2007年以降増え続けています。特に特別支援学級と通級による指導の在籍者は大きく伸びています。「子ども全体が減っているから対象者も減っている」と考えさせる選択肢で、誤りです。その後も増加傾向は続いています。
覚えるポイント
- 特別支援教育は2007年(平成19年)4月に開始されました。場は特別支援学校、特別支援学級、通級による指導の3つです。
- 対象児童生徒数は、少子化の中でも一貫して増加しています。伸びが大きいのは特別支援学級と通級による指導です。
- 義務教育段階で特別支援学校に在籍する割合は1%未満(平成30年度で約0.7%)です。
- 最多の障害種は、特別支援学級では自閉症・情緒障害、特別支援学校では知的障害です。
- 訪問教育は特別支援学校の教員が家庭・施設・病院を訪問して行う教育で、学部別では小学部が最多です(特別支援学校全体の在籍者は高等部が最多)。
- 通級による指導は、2018年度(平成30年度)から高等学校でも実施されています。
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