第108回
108AM039|第108回 保健師国家試験 過去問
健康日本21(第二次)の具体的な目標はどれか。2つ選べ。
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正解1・3
正答
1.高血圧の改善
3.糖尿病合併症の減少
この問題のポイント
健康日本21(第二次)の目標項目について、名称・対象・数値を細部まで正確に覚えているかを問う問題です。選択肢1と3は、生活習慣病の発症予防と重症化予防の領域にある目標そのものです。残りの選択肢は実在する目標に似せてあり、見分ける鍵は3つあります。最上位目標は平均寿命ではなく健康寿命の延伸であること、労働時間の目標は週60時間以上であること、BMI20以下の低栄養傾向の目標は高齢者が対象であることです。
解説
健康日本21(第二次)の位置づけ
健康日本21(第二次)は、国民健康づくり運動です。健康増進法に基づいて厚生労働大臣が定める「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」で示されています。
- 開始:2013年度です。
- 期間:当初は10年計画でしたが、1年延長されて2023年度まで実施されました。
- 出題当時(2022年2月):第二次の期間中でした。
- 現在:2024年度から健康日本21(第三次)に引き継がれています。第三次でも、健康寿命の延伸と健康格差の縮小が最上位に置かれています。
5つの基本的な方向と53の目標項目
第二次は、次の5つの基本的な方向に沿って53の目標項目を設定しています。
- 健康寿命の延伸と健康格差の縮小(最上位の目標)
- 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(がん、循環器疾患、糖尿病、COPD)
- 社会生活を営むために必要な機能の維持・向上(こころの健康、次世代の健康、高齢者の健康)
- 健康を支え、守るための社会環境の整備
- 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善
第一次(2000年度開始)は一次予防を重視していました。第二次では、発症予防に加えて重症化予防をはっきり掲げた点が特徴です。
- 循環器疾患の目標:脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少があります。危険因子の改善として、収縮期血圧の平均値の低下も置かれています。
- 糖尿病の目標:合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少、治療継続者の割合の増加、血糖コントロール不良者の割合の減少、糖尿病有病者の増加の抑制が並んでいます。
紛らわしい選択肢の作り方を見抜く
この問題は、選択肢の文言が実際の目標項目と一致するかを照合させる形式です。誤りの選択肢は、実在の目標から次の要素を1か所だけ入れ替えています。
- 指標の種類:平均寿命と健康寿命
- 数値:週60時間と80時間
- 対象の年代:高齢者と若者
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間です。国民生活基礎調査と生命表から「日常生活に制限のない期間の平均」として算出されます。
目標は「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」です。つまり、平均寿命と健康寿命の差(不健康な期間)を縮めることを目指しています。健康格差の縮小は、日常生活に制限のない期間の平均(健康寿命)の都道府県格差の縮小で評価します。
実践とのつながり
都道府県は、国の方針を踏まえて都道府県健康増進計画を策定します(義務)。市町村は市町村健康増進計画を策定します(努力義務)。保健師は地域診断で自治体の現状値を国の目標値と比べ、優先課題を明らかにします。
高血圧や糖尿病合併症の目標は、日常の保健活動に直結しています。特定健康診査・特定保健指導、受診勧奨、治療中断者への支援、糖尿病性腎症の重症化予防の取り組みなどです。
選択肢の確認
1.高血圧の改善:正答。生活習慣病の発症予防と重症化予防のうち、循環器疾患の目標として掲げられています。指標は収縮期血圧の平均値の低下です。血圧は脳血管疾患と虚血性心疾患の主要な危険因子です。国民全体の血圧水準を少し下げるだけでも、循環器疾患の死亡を大きく減らせます。ポピュレーションアプローチの考え方に基づく目標です。
2.平均寿命の延伸:最上位に置かれているのは健康寿命の延伸で、その目標は「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」です。寿命が延びても不健康な期間が長くなれば、生活の質が下がり、医療・介護費も増えます。そのため、寿命の長さそのものではなく、健康に過ごせる期間を延ばすことが目標とされています。平均寿命は比較の基準として使われるだけで、それ自体は目標項目ではありません。
3.糖尿病合併症の減少:正答。糖尿病の領域で「合併症(糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数)の減少」が目標として掲げられています。重症化予防を重視する第二次の特徴を表す項目です。治療継続者の割合の増加や血糖コントロール不良者の割合の減少とあわせて、合併症を防ぐ流れを構成しています。
4.週労働時間80時間以上の雇用者の割合の減少:実際の目標は週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少で、休養の領域に置かれています。週60時間労働は、法定労働時間の週40時間に対して週20時間の時間外労働にあたります。月に換算すると80時間を超える水準です。これは脳・心臓疾患の労災認定で業務との関連が強いとされる目安(発症前2〜6か月平均で月80時間超の時間外労働)と重なります。「80」は月単位のこの目安と混同しやすい数字なので注意します。
5.低栄養傾向(BMI 20以下)の若者の割合の増加を抑制:BMI20以下を低栄養傾向として増加の抑制を目指しているのは高齢者です。社会生活を営むために必要な機能の維持・向上のうち、高齢者の健康に置かれた目標です。高齢者は低栄養からフレイルや要介護状態につながりやすいため、この目標が設けられています。また、高齢化によって該当者の割合が自然に増えると見込まれるため、「減少」ではなく「増加の抑制」という表現になっています。若い世代については、栄養・食生活の領域で20歳代女性のやせ(BMI18.5未満)の者の割合の減少が目標です。対象、BMIの基準値、目標の方向がいずれも異なります。
覚えるポイント
- 最上位目標は「健康寿命の延伸」と「健康格差の縮小」です。健康寿命の延伸の目標は「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」で、平均寿命そのものは目標項目ではありません。健康格差の縮小は、健康寿命の都道府県格差の縮小で評価します。
- 生活習慣病の対象は、がん・循環器疾患・糖尿病・COPDの4つです。循環器疾患は収縮期血圧の平均値の低下、糖尿病は糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数の減少と結びつけて覚えます。
- 休養の目標は、睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少と、週労働時間60時間以上の雇用者の割合の減少です。月80時間は労災認定の時間外労働の目安で、別物です。
- 体格の目標は年代で区別します。
- 高齢者:BMI20以下の低栄養傾向の増加の抑制
- 20歳代女性:BMI18.5未満のやせの減少
- 働く世代:肥満者の減少
- 子ども:肥満傾向児の減少
- 「増加の抑制」型の目標(低栄養傾向の高齢者、糖尿病有病者、介護保険サービス利用者)は、高齢化による自然増を見込んだ表現です。
- 根拠法は健康増進法です。都道府県健康増進計画は策定義務、市町村健康増進計画は努力義務です。2024年度からは健康日本21(第三次)が始まっています。
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