第108回

108AM040|第108回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

A市におけるある年の肺炎の罹患患者数は1,000人であり、そのうち死亡数は50人であった。これらの肺炎患者のうち感染症Bによるものは100人であり、そのうち死亡数は15人であった。感染症Bによる致命率〈致死率〉を求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。解答:① ②% ① ② 0 0 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 7 8 8 9 9

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正解① 1・② 5

正答

① 1・② 5
感染症Bによる致命率は15%です。

この問題のポイント

致命率(致死率)の定義を理解し、問題文に並ぶ数値から正しい分母と分子を選べるかを問う計算問題です。判断の鍵は「感染症Bによる」という限定です。分母は肺炎患者全体の1,000人ではなく感染症Bによる肺炎患者100人で、分子はそのうちの死亡15人になります。肺炎全体の数値(1,000人、50人)も並んでいるため、何の集団についての割合かを最初に確定することが正答への近道です。

解説

問題文には、入れ子になった2つの集団の数値が示されています。

  • 肺炎患者全体は1,000人で、そのうち死亡は50人です。
  • そのうち感染症Bによる肺炎患者は100人で、そのうち死亡は15人です。

問われているのは「感染症Bによる」致命率です。まず、どちらの集団の数値を使うかを見極めます。

致命率(致死率、case fatality rate)は、ある疾病にかかった人のうち、一定期間内にその疾病によって死亡した人の割合です。

  • 致命率(%)=その疾病による死亡数÷その疾病の患者数×100

分母が地域の人口ではなく「その疾病の患者」である点が特徴です。かかりやすさではなく、かかった後にどれだけ命に関わるか、つまり疾病の重篤さを表します。分子の死亡者は、必ず分母の患者集団に含まれる人です。

本問の対象集団は感染症Bによる肺炎患者なので、分母は100人、分子はそのうち死亡した15人です。

  • 計算:致命率=15(人)÷100(人)×100=15%
  • 意味:感染症Bによる肺炎にかかった人の、およそ7人に1人が死亡したことになります。
  • 四捨五入:割り切れて小数点以下の数値は生じないため、指示に従っても15%のままです。
  • マーク:解答欄は①が十の位、②が一の位なので、①に1、②に5をマークします。

問題文の数値は、組み合わせを誤ると別の指標になります。代表的な取り違えは次のとおりです。

  • 50÷1,000×100=5%は、肺炎全体の致命率です。
  • 15÷1,000×100=1.5%(四捨五入で2%)は、分子が感染症B、分母が肺炎全体で、集団がそろっていません。
  • 15÷50×100=30%は、肺炎の死亡に占める感染症Bの死亡の割合(死亡の内訳)です。
  • 100÷1,000×100=10%は、肺炎患者に占める感染症Bの患者の割合(患者の内訳)です。
  • 15÷85×100≒17.6%(四捨五入で18%)は、死亡数を生存者数で割った比(死亡のオッズ)です。分子が分母に含まれないため、割合ではありません。

感染症B以外の肺炎は患者900人・死亡35人で、致命率は35÷900×100≒3.9%です。感染症Bによる肺炎の致命率15%はその約4倍で、命に関わりやすい原因だと分かります。肺炎全体の5%は、患者の1割を占める感染症B(15%)と9割を占めるそれ以外(約3.9%)を、患者数で重み付けした平均に当たります(0.1×15+0.9×3.9≒5)。検算にも使えます。

致命率と混同しやすい指標に、死亡率と罹患率があります。

  • 死亡率:死亡数を人口で割る指標です。死因別には人口10万対で表すのが一般的です。
  • 罹患率:一定期間に新たに発生した患者数を、危険曝露人口で割る指標です。

どちらも分母は集団の人口です。本問にはA市の人口が示されていないため、死亡率や罹患率は計算できません。患者数と死亡数から求められるのは致命率です。なお、経過の短い急性疾患では、死亡率はおおよそ罹患率×致命率に等しくなります。

地域の感染症対策では、致命率で病原体ごとの重篤さを比べます。その結果が、ハイリスク者への早期受診の勧奨や予防接種の推進など、重点的な対策を決める根拠になります。ただし、軽症者が受診・診断されずに分母から漏れると、致命率は実際より高く算出されます。患者の年齢構成や医療の受けやすさによっても値は変わります。新興感染症の流行初期の数値や集団間の比較は、こうした背景に注意して解釈します。

選択肢の確認

① 0:感染症Bの致命率は15%で、十の位は1のため0は当てはまりません。十の位が0になるのは答えが10%未満の場合です。肺炎全体の致命率(50÷1,000×100=5%)のように、分母と分子に肺炎全体の数値を使ってしまったときに生じます。

① 1:正答。感染症Bによる肺炎患者100人のうち死亡は15人で、15÷100×100=15%となり、十の位は1です。ただし、肺炎患者に占める感染症Bの患者の割合(10%)も十の位が1になります。一の位まで正しい集団で計算できているかを確認します。

① 2:十の位が2になるのは20%以上30%未満の場合で、分母が100人の本問では20〜29人の死亡に相当します。感染症Bによる死亡は15人なので、十の位は1となり、2は当てはまりません。

① 3:感染症Bによる死亡15人を肺炎の死亡50人で割ると30%となり、十の位が3になります。これは肺炎で亡くなった人のうち感染症Bによる人が占める割合(死亡の内訳)です。感染症Bにかかった人のうち死亡した人の割合である致命率とは、分母が異なります。

① 4:十の位が4になるのは40%以上50%未満、つまり感染症Bによる肺炎患者の半数近くが死亡した場合の値です。100人中15人の死亡という問題文の数値とは合わず、十の位は1です。

① 5:肺炎全体の死亡50人を感染症Bによる肺炎患者100人で割ると50%となり、十の位が5になります。しかし、分子に感染症B以外による死亡まで含めた誤った計算です。致命率では、分子の死亡者は分母の患者集団に含まれる人に限ります。

① 6:十の位が6になるのは60%以上70%未満で、患者の過半数が死亡する状況を意味します。100人中15人の死亡なら十数%と概算で見当がつきます。計算後に問題文の数値と照らし合わせれば、誤りに気づけます。

① 7:肺炎で亡くなった50人のうち、感染症B以外による35人の割合を求めると70%となり、十の位が7になります。これは死亡の内訳を示す割合であり、感染症Bの致命率とは別の指標です。

① 8:感染症Bによる肺炎患者100人のうち、生存した85人の割合を求めると85%となり、十の位が8になります。これは生存した人の割合で、致命率とは裏返しの関係(両者の合計が100%)にあります。死亡と生存を取り違えないよう注意します。

① 9:肺炎患者全体のうち生存した人の割合(950÷1,000×100=95%)や、感染症B以外による肺炎の割合(900÷1,000×100=90%)は十の位が9になります。いずれも感染症Bの致命率ではありません。正しい値15%の十の位は1です。

② 0:肺炎患者1,000人に占める感染症Bによる患者100人の割合は10%で、一の位が0になります。これは肺炎の原因の内訳を示す割合で、致命率ではありません。正しい値15%の一の位は5です。

② 1:十の位と一の位を入れ違えて51%とすると、一の位が1になります。正しくは十の位が1、一の位が5です。桁ごとにマークする形式では、計算が正しくても入れ違いで失点しかねないため、最後に位を確認します。

② 2:感染症Bによる死亡15人を肺炎患者全体1,000人で割ると1.5%で、小数点以下第1位を四捨五入した2%は一の位が2になります。分子は感染症Bの集団、分母は肺炎全体の集団で、対象がそろっていない誤った計算です。

② 3:感染症Bの致命率15%の一の位は5で、3ではありません。15%は肺炎全体の致命率5%の3倍に当たり、感染症Bによる肺炎の重篤さを示します。しかし、問われているのは倍率ではなく致命率そのものです。

② 4:感染症B以外による肺炎(患者900人、死亡35人)の致命率は35÷900×100≒3.9%で、四捨五入すると4%となり、一の位が4になります。問われているのは感染症Bによる肺炎の致命率です。比較対象の集団の値と取り違えないようにします。

② 5:正答。15÷100×100=15%で、一の位は5です。ただし、肺炎全体の致命率(5%)や、感染症Bによる肺炎患者のうち生存した人の割合(85%)も一の位が5になります。十の位と合わせて15%になっていることを確かめます。

② 6:本問の答えに近い値で一の位が6になるのは16%(四捨五入前の値が15.5%以上16.5%未満)です。しかし、15÷100×100はちょうど15で端数がありません。四捨五入の指示があっても、値は15%のまま変わりません。

② 7:一の位が7になる値(7%、17%など)は、正しい計算からは得られません。感染症Bによる肺炎患者100人を分母、そのうちの死亡15人を分子とすると、致命率は15%で一の位は5です。

② 8:死亡15人を生存者85人で割ると約17.6%で、四捨五入すると18%となり、一の位が8になります。これは分母に死亡者を含まない比(死亡のオッズ)です。死亡者を含む患者100人を分母とする致命率とは異なります。

② 9:分母がちょうど100人なので、死亡数15人がそのまま致命率15%を表し、一の位は5です。分母が100人のときは人数と%の値が一致すると知っておくと、計算の見直しにも役立ちます。

覚えるポイント

  • 致命率(致死率)は、その疾病による死亡数÷その疾病の患者数×100(%)で求めます。分母は人口ではなく患者で、疾病にかかった後の重篤さを表す指標です。
  • 「感染症Bによる」のように対象が限定された指標では、分母と分子を同じ集団から取ります。分子(死亡者)は必ず分母(患者)の一部です。
  • 死亡率は死亡数÷人口、罹患率は新規患者数÷危険曝露人口で、分母は集団の人口です。死亡の内訳を示す割合(特定の原因による死亡数÷死亡総数)とも区別します。経過の短い急性疾患では、死亡率≒罹患率×致命率となります。
  • 割合は分子が分母に含まれるもの、比は分子と分母が別のもの、率は時間の要素を含むものです。致命率は名前に「率」が付きますが、性質は割合です。
  • 計算問題は、次の順に進めます:対象集団の確定、分母・分子の選択、計算、四捨五入の位置の確認、桁ごとのマーク。最後に、概算や全体と部分の関係で検算します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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