第109回
109AM040|第109回 保健師国家試験 過去問
40歳以上の男性を対象とした疫学研究で、虚血性心疾患死亡率(10万人年対)を観察した。虚血性心疾患死亡率は、喫煙群では50.0、非喫煙群では25.0であった。このときの寄与危険割合を百分率で求めよ。ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第1位を四捨五入すること。解答:① ②% ① ② 0 0 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 7 8 8 9 9
解答・解説を見る
正解① 5・② 0
正答
① 5・② 0
寄与危険割合は50%です。
この問題のポイント
喫煙群(曝露群)と非喫煙群(非曝露群)の虚血性心疾患死亡率から、寄与危険割合を求める計算問題です。まず2群の率の差である寄与危険を求め、それを「曝露群の率」で割ることが鍵になります。率の比である相対危険や、集団全体の率を使う人口寄与危険割合と区別できているかも問われています。
解説
問題文から、計算に必要な情報を整理します。
- 対象:40歳以上の男性
- 要因(曝露):喫煙
- 結果:虚血性心疾患による死亡
- 曝露群(喫煙群)の死亡率:50.0(10万人年対)
- 非曝露群(非喫煙群)の死亡率:25.0(10万人年対)
「10万人年対」は、人年法で求めた率であることを示します。人年は対象者一人ひとりの観察期間を合計したもので、1人を1年間観察すると1人年になります。人年法は、追跡期間が人によって異なるコホート研究で罹患率や死亡率を求めるときに用いられます。本問では、曝露の有無で分けた2群の死亡率が直接示されています。そのため、相対危険、寄与危険、寄与危険割合のいずれも計算できます。
3つの指標の定義
- 相対危険=曝露群の率÷非曝露群の率。曝露群が非曝露群の何倍発生しやすいかを示し、要因と疾病の関連の強さを表します(単位なし)。
- 寄与危険=曝露群の率−非曝露群の率。曝露によって上乗せされた率で、単位は元の率と同じです。危険差(率差)とも呼ばれます。
- 寄与危険割合=寄与危険÷曝露群の率×100。曝露群に生じた発生のうち、曝露によると考えられる部分の割合です。寄与危険度割合と表記されることもあります。
計算の手順
- 寄与危険:50.0−25.0=25.0(10万人年対)
- 寄与危険割合:25.0÷50.0×100=50(%)
- 端数処理:25.0÷50.0=0.5で割り切れるため、ちょうど50.0%です。小数点以下第1位を四捨五入しても50%のままなので、四捨五入の指示は結果に影響しません。
- 記入:解答欄は「①②%」の2桁です。①(十の位)に5、②(一の位)に0を記入します。
検算もしておきます。相対危険は50.0÷25.0=2.0です。寄与危険割合は(相対危険−1)÷相対危険×100でも求められ、(2.0−1)÷2.0×100=50%と一致します。この式から、寄与危険割合は相対危険だけで決まることがわかります。
得られた50%は、次のことを意味します。喫煙群の死亡率50.0のうち、25.0は喫煙による上乗せ分です。つまり、喫煙者に起きた虚血性心疾患死亡の半分は、喫煙に起因すると解釈できます。言い換えると、喫煙群の死亡率が非喫煙群と同じ水準であれば、喫煙者の死亡の半分は起こらなかったという見積もりになります。ただし、この解釈は、喫煙と虚血性心疾患死亡の関連が因果関係であり、交絡の影響がないことを前提にしています。
取り違えやすい点
- 分母を非曝露群の率にすると、25.0÷25.0×100=100%になります。これは相対危険から1を引いて百分率にした値で、寄与危険割合ではありません。非喫煙群にも死亡がある以上、寄与危険割合が100%になることはありません。また、2桁の解答欄にも収まりません。
- 本問は相対危険がちょうど2なので、非喫煙群の率÷喫煙群の率(25.0÷50.0)でも偶然50%になります。しかし、喫煙群が100.0(相対危険4)であれば、寄与危険割合は(100.0−25.0)÷100.0×100=75%です。一方、25.0÷100.0は25%となり、一致しません。式は意味と結びつけて覚えましょう。
- 人口寄与危険は「集団全体の率−非曝露群の率」、人口寄与危険割合は「人口寄与危険÷集団全体の率×100」です。集団全体の率を求めるには曝露者の割合が必要ですが、本問には示されていないため計算できません。仮に対象集団の半数が喫煙者だとすると、集団全体の率は37.5です。このとき人口寄与危険割合は(37.5−25.0)÷37.5×100≒33%となり、寄与危険割合より小さくなります。
保健活動では、これらの指標を次のように使い分けます。
- 相対危険:要因と疾病がどれだけ強く関連しているか
- 寄与危険と寄与危険割合:曝露者から要因を取り除けば、どれだけ減らせるか
- 人口寄与危険と人口寄与危険割合:地域全体でどれだけ減らせるか
寄与危険は「非曝露群の率×(相対危険−1)」とも表せます。そのため、相対危険が同じでも、もともとの率が高い疾患ほど、減らせる発生や死亡の数は多くなります。喫煙対策の優先度を検討するときや、禁煙支援で期待できる効果を説明するときに役立つ考え方です。
選択肢の確認
① 0:十の位が0になるのは、寄与危険割合が10%未満、つまり2群の率にほとんど差がない場合です。本問は喫煙群の率が非喫煙群の2倍で、寄与危険割合は50%なので一致しません。×100を忘れて0.5のまま扱うと、十の位を0とする誤りにつながります。
① 1:十の位が1になるのは寄与危険割合が10%台の場合で、相対危険が1.2程度の弱い関連のとき(1.2なら約17%)が該当します。本問の相対危険は2.0で、十の位は5です。
① 2:寄与危険25.0(10万人年対)をそのまま答えると25となり、十の位が2になってしまいます。寄与危険は率の差にすぎません。寄与危険割合を求めるには、さらに喫煙群の率50.0で割る必要があり、十の位は5になります。
① 3:十の位が3になるのは寄与危険割合が30%台の場合で、相対危険が1.5程度のとき(1.5なら約33%)が該当します。解説で示した人口寄与危険割合の仮の値(約33%)も30%台です。しかし本問で問われているのは曝露群を分母とする寄与危険割合で、値は50%です。
① 4:十の位が4になるのは寄与危険割合が40%台の場合で、相対危険が2をやや下回るときに当たります。本問は25.0÷50.0=0.5で割り切れ、ちょうど50.0%になるため、40%台にはなりません。
① 5:正答。寄与危険25.0を喫煙群の率50.0で割って100を掛けると50%です。端数がないため四捨五入後も50%で、十の位は5です。
① 6:十の位が6になるのは寄与危険割合が60%台の場合です。例えば喫煙群75.0・非喫煙群25.0(相対危険3)なら、(75.0−25.0)÷75.0×100≒67%になります。本問の相対危険は2.0なので、十の位は5です。
① 7:十の位が7になるのは寄与危険割合が70%台の場合で、解説で例に挙げた喫煙群100.0(相対危険4)の75%などが該当します。本問の相対危険2.0では、十の位は5です。
① 8:十の位が8になるのは寄与危険割合が80%台の場合で、相対危険が5〜9程度の強い関連があるとき(5なら80%)に当たります。本問の相対危険2.0とはかけ離れた状況です。
① 9:十の位が9になるのは寄与危険割合が90%台の場合で、相対危険が10前後以上という非常に強い関連があるとき(10なら90%)に当たります。寄与危険割合は相対危険が大きいほど100%に近づきますが、本問は50%です。
② 0:正答。25.0÷50.0は0.5で割り切れ、寄与危険割合はちょうど50.0%です。小数点以下に端数がないため、四捨五入しても一の位は0のままです。
② 1:一の位が1になるのは、41%や51%のように末尾が1の値の場合です。本問は50.0%で小数点以下が0のため、四捨五入で51%に繰り上がることもありません。
② 2:一の位が2になるのは、42%や52%のように末尾が2の値の場合で、50%とは一致しません。相対危険の2.0は率の比であり、寄与危険割合とは別の指標です。この数値を記入しないよう注意します。
② 3:一の位が3になるのは、43%や53%のように末尾が3の値の場合です。割り切れてちょうど50%になる本問とは一致しません。
② 4:一の位が4になるのは、44%や54%のように末尾が4の値の場合です。本問の計算結果は端数のない50%なので、一の位は0です。
② 5:一の位が5になるのは、45%や55%のように末尾が5の値の場合で、50%とは一致しません。割合0.5を百分率に直さず、小数の5を一の位に写すような取り違えに注意します。
② 6:一の位が6になるのは、46%や56%のように末尾が6の値の場合です。四捨五入の前後とも50%である本問とは一致しません。
② 7:一の位が7になるのは、47%や57%のように末尾が7の値の場合です。寄与危険割合50%の一の位である0とは異なります。
② 8:一の位が8になるのは、48%や58%のように末尾が8の値の場合です。25.0÷50.0の結果0.5を百分率にすると50%で、一の位は0になります。
② 9:一の位が9になるのは、49%や59%のように末尾が9の値の場合です。25.0÷50.0は割り切れるため、50%を下回る49%のような値にはなりません。
覚えるポイント
- 寄与危険=曝露群の率−非曝露群の率。曝露による上乗せ分で、単位は元の率のまま残ります(本問は25.0、10万人年対)。
- 寄与危険割合=寄与危険÷曝露群の率×100=(相対危険−1)÷相対危険×100。分母は曝露群の率で、非曝露群でも集団全体でもありません。相対危険2なら50%、4なら75%です。
- 相対危険(率の比)は関連の強さを、寄与危険(率の差)は要因を除いたときに減らせる大きさを表します。相対危険が同じでも、もともとの率が高い疾患ほど寄与危険は大きくなります。
- 人口寄与危険=集団全体の率−非曝露群の率、人口寄与危険割合=人口寄与危険÷集団全体の率×100。曝露者の割合がわからないと計算できず、曝露者が集団の一部である限り、寄与危険割合より小さくなります。
- 曝露群と非曝露群の発生率(人年法による率など)を直接比べられるのはコホート研究です。症例対照研究では罹患率が得られないため、罹患がまれな場合にオッズ比で相対危険を近似します。
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