第109回
109AM035|第109回 保健師国家試験 過去問
精神保健福祉センターの業務で正しいのはどれか。2つ選べ。
解答・解説を見る
正解1・5
正答
1.精神保健に関する普及啓発
5.保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導・援助
この問題のポイント
精神保健福祉センターの位置づけと業務を問う問題です。センターは精神保健福祉法に基づいて都道府県・指定都市に置かれる技術的中核機関です。住民への第一線の支援は保健所や市町村が担い、センターはそれを専門的に後方から支えます。この構図をつかみ、「その業務の運営主体はどこか」「取り締まりは誰の仕事か」を区別できれば、誤りの選択肢を除けます。
解説
精神保健福祉センターとは
精神保健福祉センターは、精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)第6条に基づいて都道府県が設置する機関で、指定都市も設置しています。精神科医、精神保健福祉士、心理職、保健師などの専門職が配置され、地域の精神保健福祉活動を技術面から推進する役割を担います。
業務の内容
法律と国の「精神保健福祉センター運営要領」では、おおむね次の業務が示されています。
- 企画立案(都道府県の精神保健福祉施策への提案・意見具申)
- 保健所、市町村、関係諸機関に対する技術指導・技術援助
- 関係職員への教育研修(人材育成)
- 精神保健福祉に関する知識の普及啓発
- 調査研究、資料の収集と提供
- 精神保健福祉相談(複雑または困難なもの。依存症、思春期、ひきこもりなど専門性の高い相談を含む)
- 組織育成(家族会、当事者会などの育成と支援)
- 精神医療審査会の事務
- 精神障害者保健福祉手帳と自立支援医療(精神通院医療)の判定
保健所・市町村との役割分担
- 市町村:住民に最も身近な相談窓口であり、障害福祉サービスの支給決定を行い、手帳などの申請も受け付けます。
- 保健所:地域精神保健福祉の第一線機関です。精神保健福祉相談や訪問支援、措置入院に関わる通報への対応などを行います。
- 精神保健福祉センター:専門性の高い相談に直接応じるとともに、技術指導・援助や研修を通して保健所・市町村を支えます。
保健師の実践では、保健所や市町村の保健師が困難事例を抱えたときに、センターに事例検討への助言や専門的な支援を求めることになります。たとえば、未治療の精神疾患で家族が疲弊している事例や、依存症の事例がこれに当たります。センターが実施する研修で力量を高めることもあります。
正答に至る判断
センターの業務の柱に照らすと、普及啓発(選択肢1)と、保健所・関係機関への技術指導・援助(選択肢5)が該当します。残る選択肢は、いずれも運営主体や所管が別の機関です。
選択肢の確認
1.精神保健に関する普及啓発:正答。精神保健福祉法はセンターの業務として「知識の普及」を明記しており、運営要領でも普及啓発は業務の柱の一つです。都道府県全体を対象に、心の健康づくり、精神疾患への正しい理解と偏見の解消、依存症や自殺予防などの啓発を行います。保健所や市町村が行う啓発活動への協力も含まれます。
2.地域自立支援協議会の運営:協議会は障害者総合支援法に基づいて地方公共団体が設置するもので、地域の協議会は市町村が単独または共同で設置し運営します。構成員は相談支援事業者、障害福祉サービス事業者、保健・医療・教育・雇用の関係機関、当事者などで、地域の支援体制の課題を共有して改善を協議する場です。センターの職員が委員や助言者として参加することはありますが、運営主体ではありません。なお法律上の名称は「協議会」で、地域の実情に応じて「自立支援協議会」などの名称が使われています。
3.薬物の不正取引の取り締まり:取り締まりは強制力を伴う業務です。麻薬取締官(厚生労働省地方厚生局の麻薬取締部)、都道府県の麻薬取締員、警察が担い、密輸の水際対策は税関などが担います。センターが薬物に関わるのは保健福祉の立場からで、薬物依存症の相談、家族への支援、回復プログラムなどを行います。都道府県・指定都市の依存症相談拠点に位置づけられていることも多い機関です。「薬物」の語から依存症対策と混同しないように注意しましょう。
4.自殺総合対策推進センターの運営:このセンターは、国全体の自殺対策を調査研究、情報提供、地域への支援の面から推進する国レベルの機関で、国立精神・神経医療研究センターに置かれていました。その機能は、法律に基づき厚生労働大臣が指定する法人(いのち支える自殺対策推進センター)に引き継がれています。いずれにしても、都道府県・指定都市の機関である精神保健福祉センターが運営するものではありません。取り違えやすいのは、都道府県・指定都市に置かれる地域自殺対策推進センターです。こちらは精神保健福祉センター内に設置されている例が多く、市町村の自殺対策計画への支援や、自殺未遂者・遺族への支援に関わります。「自殺」の語だけで選ばないことが大切です。
5.保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導・援助:正答。運営要領では、地域精神保健福祉活動を推進するため、保健所、市町村、関係諸機関に対して専門的立場から積極的に技術指導・技術援助を行うとされています。これが技術的中核機関としての中心的な機能です。法律上も、市町村に対する技術的事項の協力や援助が業務として定められています。困難事例の事例検討への助言や、関係機関の連携体制づくりへの支援がこれに当たります。
覚えるポイント
- 精神保健福祉センターは精神保健福祉法に基づき都道府県・指定都市が設置する、精神保健福祉の技術的中核機関です。
- 業務の柱は、企画立案、技術指導・援助、教育研修、普及啓発、調査研究、複雑困難な相談、組織育成、精神医療審査会の事務、手帳と自立支援医療(精神通院医療)の判定です。
- 役割分担は「市町村=身近な相談とサービス」「保健所=第一線機関」「センター=専門的な後方支援」と整理します。
- 精神医療審査会は都道府県・指定都市に置かれ、その事務をセンターが担います。
- 取り締まり(麻薬取締官・警察)と依存症支援(センター)は別物です。自殺対策も、国レベルのセンターと、都道府県・指定都市の地域自殺対策推進センターを区別します。
- 協議会は障害者総合支援法に基づき、市町村や都道府県が設置します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。
解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。
学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。