第108回

108PM031|第108回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に規定されている内容で正しいのはどれか。2つ選べ。

解答・解説を見る

正解1・4

正答

1.市町村の役割に普及啓発がある。
4.緊急措置入院は精神保健指定医1人の診察が必要である。

この問題のポイント

精神保健福祉法に定められている内容と、障害者総合支援法や発達障害者支援法など関連する法律に定められている内容を区別できるかを問う問題です。あわせて、精神科の入院形態ごとに「誰が同意するのか」「指定医は何人か」「期間の上限はあるか」を正確に覚えているかも問われます。制度が存在するかどうかではなく、どの法律に規定されているかを見極めることが解く鍵です。

解説

精神保健福祉法が定めるもの

精神保健福祉法は、精神障害者の医療と保護、社会復帰の促進と自立・社会参加の援助、国民の精神的健康の保持増進を目的とする法律です。主な規定は次のとおりです。

  • 精神保健福祉センター(都道府県・指定都市が設置)、精神医療審査会
  • 精神保健指定医(厚生労働大臣が指定)
  • 入院形態(任意入院、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院)と入院中の処遇
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 正しい知識の普及や相談指導に関する都道府県・市町村の役割

普及啓発について、この法律は都道府県と市町村に対し、精神障害についての正しい知識を広報活動などで普及し、地域住民の関心と理解を深めるよう努めることを求めています。市町村はさらに、都道府県の事務に協力し、精神障害者やその家族等からの相談に応じて指導を行うことも規定されています。市町村保健師が講演会、広報、家族教室などで偏見の解消に取り組むのは、この規定に基づく活動です。

入院形態の整理

  • 任意入院:本人の同意に基づく入院です。指定医が必要と認めた場合は、72時間に限り退院を制限できます。
  • 措置入院:自傷他害のおそれがある精神障害者について、2人以上の精神保健指定医の診察結果が一致した場合に、都道府県知事(指定都市では市長)が入院させます。本人や家族の同意は必要なく、費用は公費で負担されます。
  • 緊急措置入院:急を要して措置入院の正規の手続をとれない場合に、指定医1人の診察で自傷他害のおそれが著しいと認めたとき、知事が行います。期間は72時間以内で、その間に正規の措置入院が必要かどうかを判断します。
  • 医療保護入院:指定医1人が診察して入院が必要と判断し、本人が同意する任意入院が行える状態にない場合に、家族等の同意によって行います。
  • 応急入院:直ちに入院させなければ医療と保護に著しい支障があり、家族等の同意を得られない場合に行います。指定医1人の診察により、応急入院指定病院が72時間以内に限って入院させます。

入院形態を見分ける軸は、「本人の同意があるか」「自傷他害のおそれがあるか」「本人以外で誰が決めるか(知事か家族等か)」の3点です。

他の法律に規定されているもの

精神通院医療は、かつて精神保健福祉法の通院医療費公費負担制度でした。2006年4月の障害者自立支援法の施行で自立支援医療に移行し、現在は障害者総合支援法に規定されています。発達障害者支援センターは発達障害者支援法に規定されています。

したがって、精神保健福祉法の規定として正しいのは選択肢1と選択肢4です。

なお、出題当時(2022年2月)の医療保護入院は、2013年改正で整えられた「家族等の同意」の仕組みで行われていました。その後、2022年の法改正(2024年4月施行)により、医療保護入院に入院期間を定めて一定期間ごとに要件を確認する仕組みが導入されました。家族等が同意・不同意の意思を示さない場合にも市町村長が同意できるようになるなどの見直しも行われています。本問の正答はこの改正の影響を受けません。

選択肢の確認

1.市町村の役割に普及啓発がある。:正答。精神保健福祉法には、都道府県と市町村が精神障害についての正しい知識の普及のために広報活動などを行い、地域住民の理解を深めるよう努めることが規定されています。市町村は、精神障害者や家族等からの相談に応じて指導する役割も担っています。この規定が、市町村保健師による普及啓発と相談支援の法的な裏付けになっています。

2.精神通院医療費は公費で負担される。:精神通院医療の公費負担は、障害者総合支援法の自立支援医療(精神通院医療)として規定されています。そのため、精神保健福祉法の内容としては当てはまりません。自己負担は原則1割で、所得に応じた月額の上限があります。実施主体は都道府県・指定都市で、申請の窓口は市町村です。2006年3月までは精神保健福祉法に規定されていたため、古い知識と混同しないよう注意します。なお、精神保健福祉法に規定されている公費負担としては、措置入院の費用があります。

3.医療保護入院は患者本人の同意が必要である。:本人の同意に基づいて行うのは任意入院です。医療保護入院は、本人の同意による入院ができない場合に、指定医1人の診察と家族等の同意によって行います。家族等には配偶者、親権者、扶養義務者、後見人・保佐人が含まれます。これらの人がいない場合や意思を表示できない場合は、市町村長が同意します。2013年改正(2014年4月施行)で保護者制度が廃止され、「保護者の同意」が「家族等のいずれかの同意」に変わった点もよく問われます。

4.緊急措置入院は精神保健指定医1人の診察が必要である。:正答。緊急措置入院は、急を要して通常の措置入院の手続をとれない場合に行われます。精神保健指定医1人が診察して自傷他害のおそれが著しいと認めたとき、都道府県知事が72時間を限度として入院させます。通常の措置入院では指定医2人以上の診察結果の一致が必要なので、対比して覚えます。

5.発達障害者支援センターの設置について規定されている。:発達障害者支援センターは発達障害者支援法に規定されている機関です。都道府県・指定都市が自ら運営するか、指定した社会福祉法人などに運営させます。発達障害者と家族への相談支援、発達支援、就労支援、関係機関への情報提供や研修を担います。精神保健福祉法に規定されている「精神保健福祉センター」と名称が似ているため、取り違えないようにします。

覚えるポイント

  • 措置入院:自傷他害のおそれがあり、指定医2人以上の診察結果が一致した場合に知事(指定都市市長)が行う。費用は公費負担。
  • 緊急措置入院と応急入院:どちらも指定医1人の診察で、72時間以内に限られる。緊急措置入院は知事の権限で自傷他害のおそれが要件、応急入院は家族等の同意が得られない場合に応急入院指定病院が行う。
  • 医療保護入院:指定医1人の診察と家族等の同意で行う(家族等がいなければ市町村長が同意)。本人の同意は要件ではない。
  • 精神保健福祉法に規定されているもの:精神保健福祉センター、精神保健指定医、入院形態、精神障害者保健福祉手帳(交付は都道府県知事、有効期間2年)、普及啓発と相談指導。
  • 他の法律に規定されているもの:精神通院医療(自立支援医療)は障害者総合支援法、発達障害者支援センターは発達障害者支援法。
  • 「制度として存在する」ことと「この法律に規定されている」ことは別。法律名を問う設問では根拠法まで確認する。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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