第108回

108PM030|第108回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

民生委員について正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解2・4

正答

2.厚生労働大臣が委嘱する。
4.民生委員には給与が支給されない。

この問題のポイント

民生委員制度の基本事項である根拠法、委嘱者、任期、配置区域、報酬の有無を問う問題です。民生委員は民生委員法に基づき、都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣が委嘱します。市町村の区域に置かれ、任期は3年で、給与は支給されません。選択肢の「数字」「委嘱者」「区域」「法律名」を、この基本事項と一つずつ照らし合わせれば判断できます。

解説

民生委員は、民生委員法に基づいて地域に置かれる委員です。同法第1条は、民生委員の務めを次のように定めています。社会奉仕の精神をもって、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努めることです。身分は非常勤の特別職の地方公務員と整理されていますが、活動の実態は地域住民による奉仕活動です。民生委員は児童福祉法の規定により児童委員を兼ねるため、子どもや妊産婦の見守り・相談も担います。制度の源流は、大正期の岡山県の済世顧問制度や大阪府の方面委員制度です。戦後に民生委員令を経て、1948年に民生委員法が制定されました。

委嘱までの流れは、次の3段階で押さえます。

  • 市町村に置かれる民生委員推薦会が候補者を推薦します。
  • 都道府県知事が、地方社会福祉審議会の意見を聴いたうえで厚生労働大臣に推薦します。
  • 厚生労働大臣が委嘱します。

「推薦するのは知事、委嘱するのは大臣」という役割分担が頻出です。委嘱は大臣が行いますが、職務上の指揮監督は都道府県知事が行います。市町村長は、民生委員に資料の作成を依頼したり、職務に関して必要な指導を行ったりできます。指定都市と中核市では、推薦や指揮監督など知事が行う事務を市長が担います。ただし、委嘱するのが厚生労働大臣である点は変わりません。

任期と報酬は、民生委員法の同じ条文に「民生委員には、給与を支給しないものとし、その任期は、三年とする」と定められています。補欠で就任した場合の任期は前任者の残りの期間で、再任もできます。全国では3年ごとに一斉改選が行われます。給与はありませんが、交通費・通信費など活動に必要な経費は、実費弁償として活動費が支給されます。

配置について、民生委員法は「民生委員は、市町村の区域にこれを置く」と定めています。市町村内では、都道府県知事が市町村長の意見を聴いて定める区域ごとに民生委員協議会が組織されます。各委員はその中で担当地区を受け持ちます。

職務には次のものがあります。

  • 住民の生活状態の把握
  • 援助を必要とする人への相談・助言
  • 福祉サービスの情報提供
  • 社会福祉事業者との連携
  • 福祉事務所など関係行政機関の業務への協力

職務上知り得た個人の身上に関する秘密を守る義務も、民生委員法に定められています。生活保護法では、民生委員は市町村長や福祉事務所長などの事務に協力する協力機関とされています。

保健師の実践では、民生委員は重要な協働相手です。ひとり暮らし高齢者の見守り、虐待や孤立の早期発見、乳幼児のいる家庭の把握、災害時に支援が必要な人の把握などで連携します。一方で、民生委員は専門職ではなく、無給で活動する住民ボランティアです。役割の範囲と負担に配慮します。個人情報を共有する際は、本人の同意や法令上の根拠を確認します。

選択肢の確認

1.任期は5年である。:民生委員法で任期は3年と定められており、5年ではありません。補欠の場合は前任者の残りの期間となります。再任も可能で、全国で3年ごとに一斉改選が行われます。数字の取り違えを狙った選択肢です。同じく委嘱制で無給の保護司(任期2年)など、他の委員制度の任期とも混同しないようにします。

2.厚生労働大臣が委嘱する。:正答。市町村の民生委員推薦会が推薦した人について、都道府県知事が地方社会福祉審議会の意見を聴いて推薦し、厚生労働大臣が委嘱します。知事は「推薦」と「指揮監督」を担い、「委嘱」は大臣が行うという区別が問われやすい点です。都道府県知事や市町村長が委嘱するという形の選択肢は誤りになります。

3.保健所の管轄区域に配置される。:民生委員法では、民生委員は市町村の区域に置くと定められており、保健所の管轄区域は配置の単位ではありません。市町村内では、知事が定める区域ごとに民生委員協議会が組織されます。保健所の管轄区域は、地域保健法に基づいて設定される保健所の担当範囲です。都道府県が設置する保健所では、複数の市町村にまたがるのが一般的です。住民に身近な見守りを担う民生委員の配置単位とは性格が異なります。

4.民生委員には給与が支給されない。:正答。民生委員法に「給与を支給しない」と明記されています。活動に必要な交通費や通信費などは実費弁償として活動費が支給されますが、これは給与ではありません。無給であっても公的な立場にあるため、守秘義務を負い、知事の指揮監督を受けます。

5.配置の根拠法令は地方自治法である。:民生委員に関する次の事項を定める根拠法は、1948年制定の民生委員法です。設置(市町村の区域に置くこと)、委嘱、任期、給与、職務、守秘義務がこれにあたります。地方自治法は、議会や執行機関など地方公共団体の組織と運営の基本を定める法律です。民生委員の配置の根拠法ではありません。地方自治法には大都市等の特例の規定があり、指定都市などが都道府県に代わって民生委員に関する事務を処理できるとしています。しかしこれは事務を担う自治体についての定めであり、民生委員を置くこと自体の根拠ではありません。民生委員が兼ねる児童委員の根拠法は児童福祉法である点も、あわせて押さえます。

覚えるポイント

  • 民生委員の基本は、次の5点をセットで覚えます。「民生委員法、知事が推薦し厚生労働大臣が委嘱、任期3年、給与なし(実費弁償のみ)、市町村の区域に配置」です。
  • 委嘱の流れは「市町村の民生委員推薦会 → 都道府県知事(地方社会福祉審議会の意見を聴く)→ 厚生労働大臣が委嘱」です。職務の指揮監督は都道府県知事が行います。指定都市・中核市では、知事の役割を市長が担います。
  • 民生委員は児童福祉法により児童委員を兼ねます。主任児童委員は、厚生労働大臣が児童委員の中から指名します。
  • 民生委員は守秘義務を負い、生活保護法では協力機関とされています。福祉事務所との連携、高齢者の見守り、虐待の早期発見で保健師と協働します。
  • 比較として、保護司は保護司法に基づき法務大臣が委嘱し、任期2年で無給です。「どの法律・どの大臣・何年か」を制度ごとに区別します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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