111AM064|第111回 看護師国家試験 過去問

マタニティブルーズ maternity blues について正しいのはどれか。

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正解: 4

正答

4.産後のホルモンの変動が要因となる。

この問題のポイント

産褥期にみられる精神的な変調のうち、頻度が高く一過性に終わるマタニティブルーズの特徴を問う問題です。判断の鍵は4点で、「いつ起こるか(好発時期)」「どれくらい続くか(持続期間)」「中心となる症状は何か」「なぜ起こるか(要因)」によって産後うつ病と区別します。選択肢1〜3は、いずれも産後うつ病の特徴をマタニティブルーズに当てはめた内容です。

解説

マタニティブルーズとは

マタニティブルーズは、分娩後数日以内に始まり、短期間で自然に軽快する一過性の情緒不安定状態です。病気というより産褥早期の生理的な反応に近いものと考えられています。頻度が高く、珍しいものではありません。

  • 好発時期:産後3〜10日ころの産褥早期です。入院中から退院直後にあたります。
  • 持続期間:数日程度で、おおむね産後2週間以内に自然に消失します。
  • 主な症状:涙もろさ(理由もなく涙が出る)、気分の変わりやすさ、軽い抑うつ気分、不安、いらだち、集中力の低下、不眠、疲労感などです。中心は**情動の不安定さ(感情の揺れ)**で、育児や日常生活が大きく損なわれることは通常ありません。

なぜ起こるのか

妊娠中は胎盤から大量のエストロゲンとプロゲステロンが分泌されています。胎盤が娩出されると、これらのホルモンは短期間で急激に低下します。この内分泌環境の急な変化が、情動の不安定さに関与すると考えられています。

ここに身体的・心理社会的な要因が重なって発症すると理解します。身体的には分娩による疲労や、頻回授乳による睡眠不足があります。心理社会的には、母親役割への移行に伴う不安や緊張があります。したがって、ホルモンの変動を要因とする選択肢4が正しい記述です。

産後うつ病・産後精神病との区別

産後うつ病は、産後数週間から数か月の間に発症することが多いです。主な症状は、抑うつ気分と興味・喜びの喪失(意欲低下)です。そのほか、自責感、育児への自信喪失、不眠、食欲低下がみられ、希死念慮を伴うこともあります。症状はほぼ毎日、2週間以上続きます。自然には軽快しにくく、治療と支援が必要です。放置すると母親自身の安全が脅かされるだけでなく、母子の愛着形成や養育にも影響が及ぶおそれがあります。頻度は褥婦の1割前後とされています。

産後精神病は、産後早期に急激に発症します。幻覚、妄想、錯乱などがみられ、頻度はまれですが、緊急の精神科的対応が必要です。

看護での関わり

マタニティブルーズへの対応の基本は、支持的な関わりと経過観察です。

  • 一時的で多くの褥婦に起こりうる反応であることを、本人と家族に伝えて安心を促します。
  • 気持ちを否定せずに傾聴し、感情を表出できるようにします。
  • 睡眠と休息を確保し、家族に家事・育児の分担を依頼します。
  • 次のような場合は産後うつ病への移行を疑い、医師・助産師・保健師と連携します。症状が2週間を超えて続く、悪化する、育児ができない、自責感や希死念慮がある、といった場合です。評価にはエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)などを用います。

退院後も、産後2週間健診や1か月健診、新生児訪問などの機会に、継続して心身の状態を把握することが大切です。

選択肢の確認

1.意欲低下が主症状である。:意欲低下は、興味・関心や物事に取り組む気力が持続的に失われ、生活に支障をきたす状態です。これは産後うつ病の中核症状の一つです。マタニティブルーズの中心は涙もろさや気分の変わりやすさといった情動の不安定さで、軽い抑うつ気分を伴うことはあっても、意欲低下が主症状とはいえません。「何もする気が起きない」「子どもへの関心がわかない」状態が続くときは、産後うつ病を疑います。

2.症状は2週間以上持続する。:マタニティブルーズは数日で軽快し、おおむね産後2週間以内に自然に消失する一過性の状態です。「2週間以上の持続」は、うつ病(産後うつ病を含む)の診断で用いられる期間の目安です。この基準と取り違えないように注意します。症状が2週間を超えて続く場合は、産後うつ病への移行を考えて評価します。

3.好発時期は産後1か月ころである。:マタニティブルーズの好発時期は産後3〜10日ころで、産褥早期にみられるのが特徴です。産後1か月ころ以降に抑うつ症状が現れるのは、産後うつ病を疑う経過です。1か月健診は抑うつのスクリーニングを行う機会として重要ですが、マタニティブルーズの好発時期ではありません。

4.産後のホルモンの変動が要因となる。:正答。胎盤娩出後のエストロゲン・プロゲステロンの急激な低下という内分泌環境の変化が、情動の不安定さに関与すると考えられています。これに分娩の疲労、睡眠不足、育児への不安などの心理社会的要因が重なって起こります。

覚えるポイント

  • マタニティブルーズ:産後3〜10日ころに発症し、2週間以内に自然軽快します。涙もろさ・情動不安定が中心で、対応は安心の提供・傾聴・休息確保などの支持的ケアです。
  • 産後うつ病:産後数週〜数か月に発症し、2週間以上持続します。抑うつ気分・意欲低下・自責感・希死念慮がみられ、治療と支援が必要です。頻度は褥婦の1割前後です。
  • 産後精神病:産後早期に急激に発症し、幻覚・妄想・錯乱がみられます。まれですが緊急対応が必要です。
  • マタニティブルーズの要因:胎盤娩出後のエストロゲン・プロゲステロンの急減に、疲労・睡眠不足・心理社会的ストレスが重なることです。
  • 「2週間」が境目です。2週間以内に消えればマタニティブルーズ、2週間を超えて続けば産後うつ病を疑い、EPDSなどで評価します。

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