111AM063|第111回 看護師国家試験 過去問
避妊法について適切なのはどれか。
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正解: 1
正答
1.経口避妊薬は排卵を抑制する。
この問題のポイント
代表的な避妊法について、次の3点を正しく理解しているかを問う問題です。
- 妊娠成立のどの段階を妨げるか(作用機序)
- どのくらい確実か(避妊効果)
- どんな人・使い方に向くか(適応と使用方法)
経口避妊薬は視床下部・下垂体への負のフィードバックで排卵を止めます。コンドームは使い方によって失敗率が大きく変わります。基礎体温法は月経周期が規則的であることが前提です。IUDは子宮内に長期間留置する方法です。これらが判断の鍵になります。
解説
避妊法は「どこを止めるか」で整理する
妊娠は、排卵→受精→着床という段階を経て成立します。避妊法はそのどこを妨げるかで整理すると覚えやすくなります。
- 排卵を抑える:経口避妊薬(低用量ピル)
- 受精を防ぐ:コンドーム(精液が腟内に入るのを防ぐ)、基礎体温法(妊娠しやすい時期の性交を避ける)
- 着床を妨げる(受精も妨げる):子宮内避妊器具(IUD)、子宮内避妊システム(IUS)
- 永久的に避妊する:卵管結紮術、精管切除術(母体保護法に基づく不妊手術)
経口避妊薬が排卵を抑える仕組み
低用量経口避妊薬は、エストロゲンとプロゲスチン(合成黄体ホルモン)の配合剤です。毎日内服すると血中の性ステロイドホルモン濃度が一定に保たれ、視床下部・下垂体に負のフィードバックがかかります。その結果、次の変化が起こり、排卵が抑制されます。
- FSHの分泌が抑えられ、卵胞が十分に発育しない
- 排卵を引き起こすLHサージが起こらない
これが主作用です。加えて、プロゲスチンの作用で頸管粘液が粘稠になって精子が通りにくくなり、子宮内膜の増殖も抑えられて着床しにくくなります。飲み忘れがなければ避妊効果は非常に高い方法です。
最も重要な副作用は血栓症です。35歳以上で1日15本以上喫煙する人、血栓症の既往がある人、前兆を伴う片頭痛がある人などには使用できません。また、性感染症は予防できないため、感染予防にはコンドームの併用が必要です。月経痛の軽減や周期の安定といった副効用もあり、月経困難症の治療薬(LEP製剤)としても用いられます。
ほかの避妊法の特徴
避妊効果は、ある方法を1年間使ったときに妊娠する割合(パール指数:100女性年あたりの妊娠数)で比べます。「正しく確実に使った場合」と「一般的な使い方の場合」とで数値が大きく異なる点が重要です。
- コンドーム:正しく使っても年間約2%、一般的な使い方では十数%が妊娠するとされます。避妊法の中で性感染症を予防できる点が大きな利点です。
- 基礎体温法:朝目覚めてすぐ、体を動かす前に婦人体温計を舌下に入れて測ります。排卵後は黄体から分泌されるプロゲステロンの体温上昇作用で体温が約0.3~0.5℃上がり、低温相と高温相の二相性を示します。高温相に入って数日たてば妊娠しにくい時期と判断できますが、排卵前にその時期を予測するには、周期が規則的で過去の周期から推定できることが前提です。精子は女性の体内で数日生存するため、排卵前の性交でも妊娠します。発熱や睡眠不足、測定時刻のずれでも体温は変動するため、避妊法としての確実性は低い方法です。
- IUD:医師が子宮腔内に挿入・留置する器具です。銅付加IUDは異物反応と銅イオンの作用で受精・着床を妨げます。レボノルゲストレル放出型のIUSは、子宮内膜を薄くし頸管粘液を粘稠にします。一度挿入すれば製品ごとに定められた数年間効果が続きます。留置中は脱出や位置のずれを確認する定期検診が必要です。
避妊指導では、効果の高さだけで決めるのではありません。年齢、喫煙、既往歴、月経の状態、パートナーの協力、性感染症のリスク、将来の妊娠希望を踏まえ、本人が自分に合った方法を選べるよう情報を提供します。この知識は、産後の家族計画指導や思春期の性教育でもそのまま使われます。
選択肢の確認
1.経口避妊薬は排卵を抑制する。:正答。エストロゲンとプロゲスチンの配合剤が視床下部・下垂体に負のフィードバックをかけ、FSH・LHの分泌を抑えます。その結果、卵胞発育とLHサージが抑えられ、排卵が起こらなくなります。頸管粘液の粘稠化と子宮内膜の変化も加わり、飲み忘れがなければ高い避妊効果が得られます。
2.コンドーム法の避妊効果は99%以上である。:コンドームは正しく使っても1年間で約2%、一般的な使い方では十数%が妊娠するとされ、99%以上の確実性はありません。失敗の主な原因は、性交の途中からの装着、破損、脱落、射精後の抜去の遅れです。コンドームの強みは「避妊効果が最も高いこと」ではなく、「性感染症予防を同時に行えること」であり、この2点を混同しないようにします。
3.基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。:基礎体温法は、低温相から高温相への移行をもとに排卵時期を推定し、妊娠しやすい時期の性交を避ける方法です。月経周期が規則的であることが前提となります。月経不順の女性では次の排卵時期を予測できないため、避妊法としては不向きです。なお、月経不順の女性が基礎体温を測ること自体は、排卵の有無を知る手がかりとして意味があります。
4.子宮内避妊器具〈IUD〉は性交のたびに挿入が必要である。:IUDは医師が子宮腔内に挿入して留置する器具で、一度挿入すると数年間効果が続くため、性交のたびに挿入する必要はありません。性交のたびに装着が必要なのはコンドームであり、この点を取り違えないようにします。留置中は、脱出や位置のずれを確認するための定期検診が必要です。
覚えるポイント
- 経口避妊薬はエストロゲン・プロゲスチン配合剤で、負のフィードバックによって排卵を抑制します。最重要の副作用は血栓症で、35歳以上で1日15本以上喫煙する人には使用できません。
- コンドームは受精を防ぐ方法です。性感染症を予防できる避妊法ですが、一般的な使い方での年間失敗率は十数%で、確実性は高くありません。
- 基礎体温法は、プロゲステロンの体温上昇作用による二相性を利用します。月経周期が規則的であることが前提で、避妊効果は低い方法です。
- IUD・IUSは子宮内に数年間留置し、受精・着床を妨げます。医師が挿入し、定期検診で脱出や位置のずれを確認します。
- 避妊効果は「正しく使った場合」と「一般的な使い方」で大きく異なります。腟外射精は避妊法として信頼できません。
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