111AM062|第111回 看護師国家試験 過去問

日本の周産期の死亡に関する記述で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 2

正答

2.死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。

この問題のポイント

母子保健統計で使う「死産」「新生児死亡」「妊産婦死亡」の定義を、区切りとなる週数・日数とあわせて正確に覚えているかを問う問題です。選択肢1〜3は、「1週」「12週」「28日」という数字が定義と一致するかで判断します。選択肢4は、日本の死産では自然死産と人工死産のどちらが多いかという、人口動態統計の傾向を問っています。

解説

期間の区切りで定義を整理する

周産期の統計用語は、区切りの週数・日数そのものが定義です。数字は次のように整理して覚えます。

  • 死産:妊娠満12週以後の死児の出産です(死産の届出に関する規程)。規程上は「妊娠第4月以後」と書かれており、これが満12週以後にあたります。死児とは、出産後に心臓拍動・随意筋の運動・呼吸のいずれも認めないものをいいます。死産届は死産後7日以内に市町村長へ提出します。
  • 周産期死亡:妊娠満22週以後の死産と、早期新生児死亡を合わせたものです。
  • 早期新生児死亡:生後1週(7日)未満の死亡です。
  • 新生児死亡:生後4週(28日)未満の死亡です。
  • 乳児死亡:生後1年未満の死亡です。
  • 妊産婦死亡:妊娠中または妊娠終了後満42日未満の女性の死亡です。原因は、妊娠やその管理に関連するもの、または妊娠によって悪化したものに限られます。不慮・偶発の原因による死亡は除きます。

乳児死亡・新生児死亡・早期新生児死亡は、この順に期間が短くなり、前者が後者を含む関係です。死産の区切りは「12週」、周産期死亡に含める死産の区切りは「22週」です。どちらも週数の区切りなので、取り違えないように注意します。

率の分母にも意味がある

  • 死産率は、出産(出生+死産)千対で表します。
  • 周産期死亡率は、出産(出生+妊娠満22週以後の死産)千対で表します。
  • 新生児死亡率・乳児死亡率は、出生千対で表します。
  • 妊産婦死亡率は、出産(出生+死産)10万対で表します。

胎児の死亡を含む指標は、分母にも死産を加えます。生まれた子どもの死亡を見る指標は、出生だけを分母にします。この考え方を押さえておくと、分母を問う問題にも対応できます。

自然死産と人工死産

死産は自然死産と人工死産に分けられます。人工死産は、胎児が母体内で生存していることが確実なときに、人工的処置(胎児や附属物への処置、陣痛促進剤の使用)を加えて死産に至ったものです。それ以外はすべて自然死産です。すでに子宮内で胎児が死亡していて、分娩のために処置をした場合は、自然死産に分類されます。

母体保護法による人工妊娠中絶のうち、妊娠満12週以後に行われたものは死産届の対象となり、人工死産として計上されます。このため日本では人工死産の数が多く、昭和60年(1985年)以降は人工死産数が自然死産数を上回る状態が続いています。

実践とのつながり

周産期死亡率は、母体の健康状態と周産期医療の水準をあわせて反映する指標です。乳児死亡率は、地域の衛生状態や生活水準を反映する指標として使われます。また、妊娠12週以後に死産となった場合は、死産届の提出が必要です。その手続きや家族へのグリーフケアを支えるうえでも、12週という区切りは実践の場で意味を持つ知識です。

選択肢の確認

1.新生児死亡は生後1週未満の死亡をいう。:新生児死亡は生後4週(28日)未満の死亡を指すため、この記述は定義と一致しません。生後1週(7日)未満の死亡は「早期新生児死亡」と呼ばれ、新生児死亡の一部にあたります。早期新生児死亡は、妊娠満22週以後の死産とあわせて周産期死亡を構成します。「1週未満は早期新生児死亡、4週未満は新生児死亡」とセットで区別しておくことが大切です。

2.死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。:正答。死産の届出に関する規程では、死産を「妊娠第4月以後における死児の出産」と定めており、これは妊娠満12週以後にあたります。妊娠12週未満で妊娠が終了した場合は死産届の対象とならず、死産統計にも含まれません。なお、周産期死亡に含めるのは妊娠満22週以後の死産だけです。死産の区切り(12週)と周産期死亡の区切り(22週)を混同しないようにします。

3.妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満28日未満の女性の死亡をいう。:妊産婦死亡の期間の区切りは妊娠終了後満42日未満であり、満28日未満ではありません。28日は新生児死亡(生後4週未満)の区切りなので、取り違えやすい数字です。また、妊産婦死亡には原因の条件もあります。妊娠やその管理に関連する原因、または妊娠によって悪化した原因による死亡に限られ、交通事故などの不慮・偶発の原因による死亡は含みません。

4.令和元年(2019年)の人口動態統計では自然死産数が人工死産数よりも多い。:日本では昭和60年(1985年)以降、人工死産数が自然死産数を上回る状態が続いており、令和元年(2019年)もその傾向は変わらないため、この記述は事実と逆です。同年の人口動態統計では、人工死産は約1万胎、自然死産は約9千胎でした。人工死産が多いのは、母体保護法による人工妊娠中絶のうち満12週以後のものが人工死産に含まれるためです。

覚えるポイント

  • 死産は妊娠満12週以後(妊娠第4月以後)の死児の出産で、死産届は7日以内に市町村長へ提出します。
  • 周産期死亡は「妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡(生後1週未満)」です。
  • 死亡の区切りは、早期新生児死亡が生後1週未満、新生児死亡が生後4週(28日)未満、乳児死亡が生後1年未満です。
  • 妊産婦死亡は、妊娠中または妊娠終了後満42日未満で、妊娠に関連する原因による死亡です。不慮・偶発の原因による死亡は除きます。
  • 率の分母は、死産率・周産期死亡率が出産千対、新生児死亡率・乳児死亡率が出生千対、妊産婦死亡率が出産10万対です。
  • 人工死産は、胎児の生存が確実なときに人工的処置で死産に至ったものです。日本では昭和60年以降、人工死産が自然死産を上回っています。

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