111AM032|第111回 看護師国家試験 過去問

日本の平成30年(2018年)の健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.女性の死因の第3位は老衰である。

この問題のポイント

平成30年(2018年)の男女別の死因順位と平均寿命の水準を問う、保健統計の知識問題です。手がかりは「平成30年」「男性・女性」「第3位」と、平均寿命の「89年」「83年」という数値です。女性は長寿のため老衰が上位に来ること、男性では脳血管疾患が第3位に残っていたこと、平均寿命は女性87年台・男性81年台であったことを押さえていれば選べます。

解説

この問題は、死因順位と平均寿命という性質の異なる2つの指標を、平成30年について問うています。

まず、それぞれの指標がどの統計から出ているかを整理します。死因順位は、死亡届に添付される死亡診断書(死体検案書)をもとに厚生労働省が集計する人口動態統計から得られます。平均寿命は生命表から得られます。生命表には、毎年作成される簡易生命表と、国勢調査の年に5年ごとに作成される完全生命表があります。平均寿命とは0歳の平均余命のことで、単位は「年」です。

平成30年(2018年)の死因順位(人口動態統計)

  • 総数:第1位 悪性新生物、第2位 心疾患、第3位 老衰、第4位 脳血管疾患、第5位 肺炎
  • 女性:第1位 悪性新生物、第2位 心疾患、第3位 老衰
  • 男性:第1位 悪性新生物、第2位 心疾患、第3位 脳血管疾患、第4位 肺炎

総数では、平成30年に老衰が脳血管疾患を上回り、1950年代以来となる第3位になりました。老衰は、死亡診断書の作成上、高齢者で他に記載すべき死亡の原因がない、いわゆる自然死の場合に用いられる死因です。戦後しばらくは死因の上位にありましたが、その後は長く低下しました。近年は、人口の高齢化で超高齢の死亡者が増えたことを背景に、再び増え続けています。

女性は男性より長生きで、90歳以上の超高齢で亡くなる人の割合が高いため、男性よりも老衰の順位が高くなります。一方、男性は女性より若い年齢で亡くなる人が多く、脳血管疾患や肺炎が老衰より上位に残っていました。

肺炎について補足します。総数でみると、肺炎は平成23年(2011年)から平成28年(2016年)まで第3位でした。平成29年(2017年)から、死因統計に国際疾病分類ICD-10(2013年版)が適用されました。これにより、死亡診断書に書かれた病名のうちどれを原死因(死亡に至る一連の経過のもとになった疾病や損傷)として集計するか、そのルールが明確化されました。厚生労働省は、平成29年に肺炎が減った主な要因は、この原死因選択ルールの明確化によるものと考えられるとしています。肺炎は同年に総数で第5位へ下がりました。

また同じ平成29年から、誤嚥性肺炎が死因順位の項目として、肺炎とは別に示されるようになりました。ただし、誤嚥性肺炎は分類上もともと「肺炎」には含まれない別の項目です。切り離されたことで肺炎が減ったわけではありません。「肺炎は第3位」という以前の知識のまま解くと、選択肢2を選んでしまいやすいので注意します。

**平成30年(2018年)の平均寿命(簡易生命表)**は、男性81.25年、女性87.32年で、男女差は約6年でした。選択肢の女性89年、男性83年は、いずれも実際の値より2年近く高い値です。その後の年を含めても、女性が89年、男性が83年を超えたことはありません。以上から、平成30年の統計と一致するのは、女性の死因第3位を老衰とする選択肢1だけです。

これらの指標は、臨床や地域での看護にも直結します。老衰が上位になったことは、多死社会を迎えたことを示しています。病院だけでなく在宅や施設での看取り、アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)の重要性が増しています。肺炎・誤嚥性肺炎が上位にあることから、高齢者の口腔ケアや嚥下機能の評価による誤嚥予防も、看護の重要な役割です。また、平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の差は、介護予防や生活習慣病予防の必要性を考える手がかりになります。

選択肢の確認

1.女性の死因の第3位は老衰である。:正答。平成30年の人口動態統計では、女性の死因は第1位が悪性新生物、第2位が心疾患、第3位が老衰でした。女性は超高齢で亡くなる人が多いため、男性より老衰の順位が高くなります。同年は総数でも老衰が脳血管疾患を上回って第3位となっており、試験で問われやすい変化です。

2.男性の死因の第3位は肺炎 pneumonia である。:平成30年の男性の死因は第1位が悪性新生物、第2位が心疾患、第3位が脳血管疾患で、肺炎は第4位でした。肺炎は平成23年から平成28年まで総数の第3位でした。平成29年にICD-10(2013年版)が適用されて原死因選択ルールが明確化され、これが主な要因となって死亡数が減り、順位が下がりました。同じ年に誤嚥性肺炎が死因順位の項目として独立しましたが、もともと肺炎とは別の分類なので、肺炎減少の理由ではありません。「肺炎=第3位」という古い知識と取り違えないようにします。

3.女性の平均寿命は89年を超えている。:平成30年簡易生命表による女性の平均寿命は87.32年で、89年には2年近く届いていません。平成30年の平均寿命は女性が87年台、男性が81年台と覚えておけば、この種の数値の選択肢はすぐに判断できます。

4.男性の平均寿命は83年を超えている。:平成30年簡易生命表による男性の平均寿命は81.25年で、83年には達していません。男性は女性より約6年短いので、男女差を小さく見積もると83年を正しいと思い込みやすくなります。男女それぞれの値と男女差をセットで覚えます。

覚えるポイント

  • 平成30年(2018年)の死因順位(総数)は、悪性新生物→心疾患→老衰→脳血管疾患→肺炎です。老衰が脳血管疾患を上回り、1950年代以来の第3位になった年です。
  • 平成30年の男女別の第3位は、女性が老衰、男性が脳血管疾患です。男性の肺炎は第4位でした。
  • 肺炎は平成23〜28年に総数で第3位でした。平成29年のICD-10(2013年版)適用で原死因選択ルールが明確化されたことが主な要因で減少し、第5位に下がりました。誤嚥性肺炎は同年から死因順位で別に示されていますが、もともと肺炎とは別の分類です。
  • 平成30年の平均寿命(簡易生命表)は男性81.25年、女性87.32年で、男女差は約6年です。
  • 平均寿命は0歳の平均余命です。簡易生命表は毎年、完全生命表は国勢調査の年に5年ごとに作成されます。死因は人口動態統計で集計されます。
  • 悪性新生物は昭和56年(1981年)から死因の第1位が続いています。

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