112PM053|第112回 看護師国家試験 過去問

平成30年度(2018年度)の高齢者の住宅と生活環境に関する調査で、高齢者がいる世帯で賃貸住宅に住んでいる世帯の割合が最も多いのはどれか。

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正解: 1

正答

1.単身世帯

この問題のポイント

高齢者のいる世帯の住まい(持ち家か賃貸か)が、世帯の形によってどう違うかを問う統計の問題です。高齢者の住まいは全体として持ち家が大半を占めますが、単身世帯は他の世帯に比べて賃貸住宅に住む割合が高いという傾向を知っていれば解けます。数値を覚えていなくても、住宅を取得・継承する家族がいるかどうかという背景から推論できます。

解説

調査の位置づけ

「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」は、内閣府が高齢者本人を対象に行っている意識調査です。住まいの形態、住まいへの満足度や不安、外出や地域とのかかわりなどを尋ねています。結果は高齢社会白書にも取り上げられており、国家試験では高齢者の暮らしの実態を問う題材として使われます。

高齢者の住まいの全体像

高齢者の住まいは、全体では持ち家(特に一戸建て)が大多数です。現役期に住宅を取得し、そのまま住み続けている人が多いためです。ただし世帯の形で分けてみると差があり、単身世帯では賃貸住宅に住む割合が最も高くなっています。この傾向は、総務省の住宅・土地統計調査でも同じで、高齢単身の世帯は高齢夫婦の世帯より借家の割合が明らかに高くなっています。

なぜ単身世帯で賃貸が多いのか

  • 未婚や離別の人は、家族形成に伴って住宅を購入する機会が少なく、もともと賃貸で暮らしてきた人が一定数います。
  • 単身の高齢者は、夫婦世帯などに比べて所得や資産が少ない傾向があり、住宅の取得や維持が難しくなりやすいです。
  • 配偶者と死別した後に、広い持ち家を手放して賃貸住宅や施設へ住み替える例もあります。

これに対して、夫婦のみの世帯、子どもと同居する世帯、三世代世帯では、本人や配偶者、子どもの誰かが住宅を持っていることが多く、持ち家の割合が高くなります。同居する家族が多いほど、誰かの持ち家に住んでいる可能性が高くなると考えると整理しやすくなります。

世帯構造の動きとあわせて理解する

国民生活基礎調査では、65歳以上の者のいる世帯は「夫婦のみの世帯」が最も多く、次いで「単独世帯」が多く、単独世帯は増加傾向にあります。一方、三世代世帯は長期的に減っています。つまり、住まいの面で不安定になりやすい高齢単身世帯そのものが増えているという点が、この統計の重要な意味です。

看護・支援の実践とのつながり

賃貸住宅に住む単身の高齢者は、家賃の負担、契約更新、保証人や緊急連絡先の確保、入居を断られることへの不安、孤立などの課題を抱えやすくなります。国はこうした人を住まいの面で支えるため、次の制度を設けています。

  • 住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律):高齢者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度や、居住支援法人による入居相談・見守りなど
  • 高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律):安否確認と生活相談を備えたサービス付き高齢者向け住宅の登録制度など

地域包括ケアシステムでも、住まいは医療・介護・予防・生活支援を支える土台に位置づけられています。退院支援や在宅看護では、持ち家か賃貸か、住み続けられる見通しがあるか、同居者や身元保証の有無はどうかを確認します。たとえば介護保険の住宅改修は、賃貸住宅でも所有者の承諾があれば対象になるため、手すりの設置や段差の解消を提案するときには承諾が必要かどうかも考えておく必要があります。

選択肢の確認

1.単身世帯:正答。高齢者のいる世帯を世帯の形で比べたとき、賃貸住宅に住む割合が最も高いのは単身世帯です。未婚や離別で住宅を取得してこなかった人や、所得・資産が少ない人が含まれやすく、配偶者との死別後に賃貸へ住み替える例もあるため、他の世帯より持ち家の割合が低くなります。

2.三世代世帯:親・子・孫の世代が同居する世帯は、いずれかの世代が所有する一戸建てに住んでいることが多く、持ち家の割合が非常に高い世帯です。広い住居を必要とすることからも、賃貸で暮らす割合は低くなります。長期的に減少している世帯類型であることもあわせて押さえておきます。

3.夫婦のみの世帯:65歳以上の者のいる世帯の中で最も多い類型ですが、現役期に取得した持ち家に夫婦で住み続けている例が多く、賃貸住宅の割合は単身世帯より低くなります。「世帯数として最も多い類型」と「賃貸の割合が最も高い類型」を取り違えないよう注意します。

4.単身の子どもと同居世帯:高齢の親と未婚などの子が同居する形は、親が所有する家に子が住み続けている場合が多く、持ち家の割合が高くなります。同居する家族がいて住宅を所有・継承しやすい点で、単身世帯とは住まいの安定性が異なります。

覚えるポイント

  • 高齢者の住まいは持ち家が大多数だが、世帯の形で比べると単身世帯で賃貸の割合が最も高い(内閣府の調査でも、住宅・土地統計調査でも同じ傾向)。
  • 65歳以上の者のいる世帯の構造(国民生活基礎調査)は、夫婦のみの世帯が最多、次いで単独世帯。単独世帯は増加し、三世代世帯は減少している。
  • 「数が最も多い世帯類型」と「ある割合が最も高い世帯類型」は別の問いなので、設問の尋ね方を確認する。
  • 住まいの確保を支える制度は、住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者、居住支援法人)と高齢者住まい法(サービス付き高齢者向け住宅)。
  • 退院支援・在宅看護では、住居の形態(持ち家か賃貸か)、同居者、保証人の有無を確認する。賃貸住宅での介護保険の住宅改修には所有者の承諾が必要。

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