112PM052|第112回 看護師国家試験 過去問

令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における高齢者の健康状態で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解: 4

正答

4.65歳以上の自覚症状で男女とも最も多いのは腰痛である。

この問題のポイント

国民生活基礎調査(健康票)で把握する、高齢者の有訴者率、通院者率、自覚症状の内訳を問う問題です。判断の鍵は2点です。1つは「人口千対」で示される率を割合に直し、おおよその水準をつかめているかです。もう1つは、受療率が別の調査(患者調査)の指標で、外来と入院とで年齢との関係が違うことを知っているかです。65歳以上では男女とも腰痛が自覚症状の第1位だと覚えていれば、確実に正答できます。

解説

国民生活基礎調査で把握する指標

国民生活基礎調査は、厚生労働省が全国の世帯と世帯員を対象に毎年行う調査です。3年ごとに、健康や介護などの項目を加えた大規模調査を行います。令和元年(2019年)は大規模調査の年で、健康票から次の指標が集計されました。

  • 有訴者:世帯員(入院者を除く)のうち、病気やけがなどで自覚症状のある者です。有訴者率は人口千人あたりの数で示します。
  • 通院者:世帯員(入院者を除く)のうち、病気やけがで病院・診療所や施術所(あんま・はり・きゅう・柔道整復)に通っている者です。通院者率も人口千人あたりで示します。

率は人口千対なので、例えば「430」なら約43%と読み替えます。この換算ができるかどうかで、選択肢1・2の判断が分かれます。

令和元年調査からみた高齢者の健康状態

  • 令和元年国民生活基礎調査の有訴者率は、全体で人口千対302.5(約3割)です。年齢階級別では10歳代が最も低く、それ以降は年齢階級が高くなるほど上昇します。65歳以上全体では433.6(4割強)で、半数には届かない「半数近く」の水準です。80歳以上に限ると507.7と約5割に達します。「65歳以上全体」と「年齢階級別」の値を分けて押さえます。
  • 通院者率は、全体で約4割、65歳以上で約7割、75歳以上では7割台です。高齢になるほど高くなりますが、9割には達しません。
  • 65歳以上の自覚症状を症状別にみると、男女とも腰痛が第1位です。第2位以下には、男性では頻尿やきこえにくい、女性では手足の関節の痛みや肩こりが続きます。
  • 年齢を区切らない全体では、男性の第1位は腰痛、女性の第1位は肩こりです。女性では「全体では肩こり、65歳以上では腰痛」と、年齢区分によって1位が入れ替わります。この点はひっかけとして問われやすいところです。

この設問は令和元年調査の結果を問うもので、出題当時に結果が公表されていた最新の大規模調査でもありました。その後、令和4年(2022年)の大規模調査の結果も公表されています。数値は調査年ごとに変わるため、学習の際は最新の結果で傾向を確認します。

受療率は患者調査の指標

受療率は、調査日に医療施設で受療した推計患者数を、人口10万人あたりで表した指標です。医療施設を対象とする患者調査(3年ごと)で把握され、国民生活基礎調査の指標ではありません。

  • 入院受療率は、高齢期では年齢が上がるほど高くなります。
  • 外来受療率は80歳代前半付近で最も高くなり、それより高い年齢階級では低下します。

外来受療率が下がるのは、超高齢になると通院そのものが難しくなり、入院や施設入所へ移る人が増えるためと考えられます。なお、患者調査の外来には、往診や訪問診療などの在宅医療も含まれます。統計の問題では、次の3点を区別しておくと取りこぼしを防げます。

  • 調査の対象が世帯か医療施設か
  • 分母が人口千対か10万対か
  • 外来と入院のどちらの指標か

看護実践とのつながり

統計上多い症状は、高齢者のアセスメントで必ず確認したい項目でもあります。

  • 腰痛や関節痛:活動量の低下を招き、転倒、フレイル、閉じこもりの入口になります。
  • 頻尿:夜間の排尿行動に伴う転倒や、睡眠障害につながります。
  • きこえにくさ:コミュニケーションや社会参加の低下に関わります。

選択肢の確認

1.75歳以上の通院率は約9割である。:令和元年国民生活基礎調査では、75歳以上の通院者率は人口千人あたり700台で、7割台にあたります。約9割ではありません。通院者率が年齢とともに上がるという傾向自体は正しいです。「高齢者ほど通院者が多い」という印象から、数値を大きく見積もらないように注意します。

2.65歳以上の半数以上が有訴者である。:令和元年国民生活基礎調査で、65歳以上全体の有訴者率は人口千対433.6です。4割強にとどまり、半数には達していないので、正確には「半数近く」です。年齢階級別にみると、80歳以上では507.7と約5割に達します。しかし設問は65歳以上全体を問うているので、この値を根拠に正しいとはいえません。人口千対の率を百分率に直すとき、また全体と年齢階級別の値を見比べるときに、取り違えないようにします。

3.65歳以上の外来受療率は年齢が上がるほど高くなる。:外来受療率は患者調査で把握される指標です。80歳代前半付近をピークに、それより高い年齢階級では低下しています。高齢期に年齢とともに上昇を続けるのは、入院受療率のほうです。外来と入院の傾向の違いに加え、調査そのものの違いも混同しやすい選択肢です。

4.65歳以上の自覚症状で男女とも最も多いのは腰痛である。:正答。令和元年の調査で、65歳以上の有訴者の症状を症状別にみると、男女とも腰痛が第1位です。全体では女性の第1位が肩こりなので、年齢区分によって順位が変わることもあわせて覚えておきます。

覚えるポイント

  • 有訴者率・通院者率は、国民生活基礎調査(世帯対象、3年ごとに大規模調査)で把握します。受療率は、患者調査(医療施設対象、3年ごと)で把握します。
  • 有訴者率・通院者率は人口千対です。令和元年国民生活基礎調査の有訴者率は、全体約3割、65歳以上全体4割強(半数近く)で、高齢になるほど高く、80歳以上では約5割でした。通院者率は全体約4割、65歳以上約7割でした。
  • 自覚症状の第1位は、65歳以上では男女とも腰痛です。全体では男性が腰痛、女性が肩こりです。
  • 受療率は人口10万対です。入院受療率は高齢期に年齢とともに上昇します。外来受療率は80歳代前半付近がピークで、その後は低下します。患者調査の外来には、往診・訪問診療などの在宅医療も含まれます。
  • 令和元年の通院者を傷病別にみると、男女とも高血圧症が最多です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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