112PM051|第112回 看護師国家試験 過去問

ヒトパピローマウイルス〈HPV〉検査の説明で正しいのはどれか。

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正解: 1

正答

1.「子宮頸部の細胞をこすり取って検査します」

この問題のポイント

HPV検査について、何を材料にして、何を検出し、結果が何を意味するかを受診者に正しく説明できるかを問う問題です。判断の鍵は次の3点です。検体は子宮頸部細胞診と同じく頸部を擦って採取すること、検出するのは高リスク型HPVの遺伝子(核酸)であること、陽性は感染を示すだけで癌の診断ではないことです。

解説

HPVと子宮頸癌の関係

子宮頸癌のほとんどは、性交渉で感染するHPVのうち高リスク型(16型・18型など)の持続感染が原因です。HPVは性交経験のある女性の多くが一度は感染するありふれたウイルスです。感染しても、大部分は2年以内に免疫によって自然に排除されます。

感染が持続した一部の人では、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN1→CIN2→CIN3)という前癌病変を経て、数年から十数年かけて浸潤癌へ進みます。癌が発生しやすいのは、扁平上皮と円柱上皮の境界にあたる移行帯です。組織型は扁平上皮癌が多数を占めます。なお、低リスク型(6型・11型など)は尖圭コンジローマの原因になります。

HPV検査とはどのような検査か

HPV検査は、子宮頸部から採取した細胞に高リスク型HPVの遺伝子が含まれているかを、核酸を検出する方法で調べる検査です。採取の手順は細胞診と同じです。内診台で腟鏡(クスコ)を挿入して子宮頸部を露出し、ブラシやヘラで頸部の表面を擦って細胞を採ります。同じ検体で細胞診とHPV検査の両方を行うこともできます。痛みはほとんどなく短時間で終わりますが、採取後に少量の出血をみることがあるため、事前に伝えておきます。

関連する検査の違いは次のとおりです。

  • 細胞診:採取した細胞の形を顕微鏡で観察し、異型細胞の有無を判定します。結果はベセスダシステム(NILM、ASC-US、LSIL、HSILなど)で表します。
  • HPV検査:細胞の形ではなく、癌の原因となるウイルスがいるかどうかを調べます。
  • 確定診断:コルポスコピー(腟拡大鏡)で観察しながら病変を狙って組織を採る、組織診(生検)で行います。

つまり、HPV検査も細胞診も、スクリーニングやリスク評価のための検査です。どちらも単独で癌を診断するものではありません。

検診での位置づけ

出題当時、市町村が行う子宮頸がん検診は、20歳以上の女性を対象に2年に1回行う細胞診が基本でした。HPV検査は、細胞診でASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)と判定された人を振り分ける(トリアージ)目的などで用いられていました。その後、国の指針の改正により、2024年度からは30〜60歳の女性を対象に、5年に1回のHPV検査単独法を市町村が選択して実施できるようになっています。どの時点でも、検診の対象はワクチン接種の有無で区別されません。

受診者は「陽性=癌」と受け止めて強い不安を抱きやすいものです。看護師は次の点を正確に、わかりやすく伝えることが大切です。

  • 陽性は感染を示すもので、多くは自然に消えること
  • 感染が続く場合に備え、細胞診の結果と組み合わせて定期的に経過を追う、または精密検査を受けることが重要であること

月経中の採取は避けるといった、受診時期の説明も看護師の役割です。

選択肢の確認

1.「子宮頸部の細胞をこすり取って検査します」:正答。HPV検査の検体は、腟鏡で子宮頸部を露出し、ブラシやヘラで頸部の表面、特に移行帯を擦って採取します。採取方法は子宮頸部細胞診と同じなので、この説明は正確です。

2.「HPV ワクチンを接種した人が対象です」:HPV検査は、検診対象年齢の女性であれば、ワクチン接種歴に関係なく受ける検査です。ワクチンは主要な高リスク型の感染を予防しますが、すべての高リスク型を防げるわけではありません。また、接種前にすでに感染していたウイルスを排除する効果もありません。そのため、接種した人も検診を続ける必要があります。「接種した人だけが対象」とすると、未接種でむしろリスクの高い人を検査から外すことになり、誤りです。

3.「陽性であれば子宮頸癌 cancer of the uterine cervix と診断されます」:HPV検査の陽性は、高リスク型HPVに感染していることを示すだけで、癌の存在を意味しません。感染の多くは自然に排除され、癌に進むのは持続感染した一部の人に限られます。子宮頸癌の確定診断は、コルポスコピー下の組織診(生検)で行います。陽性を癌の診断と説明するのは事実に反するうえ、受診者に不要な不安を与えます。

4.「HPV 抗原検査も同時に行います」:HPV検査は、ウイルスの抗原(たんぱく質)ではなく、ウイルスの遺伝子(核酸)を検出する検査です。子宮頸がん検診でHPVの抗原検査を組み合わせる手順はありません。細胞診と併用する場合はあっても、抗原検査を併用するわけではありません。抗原検査はインフルエンザや新型コロナウイルス感染症の迅速診断などで用いる方法なので、混同しないようにします。

覚えるポイント

  • 子宮頸癌の主な原因は、高リスク型HPV(16型・18型など)の持続感染です。感染→CIN(前癌病変)→浸潤癌と長い時間をかけて進行し、好発部位は移行帯、組織型は扁平上皮癌が多いです。
  • HPV検査は、子宮頸部を擦って採取した細胞からウイルスの遺伝子(核酸)を検出します。採取方法は細胞診と同じで、抗原検査ではありません。
  • 陽性=感染であり、癌の診断ではありません。 確定診断はコルポスコピー下の組織診(生検)で行います。
  • 検診の対象はワクチン接種歴で区別されません。ワクチンを接種した人も検診を受け続けます。
  • 子宮頸がん検診は、出題当時は20歳以上・2年に1回の細胞診が基本でした。2024年度からは、30〜60歳を対象に5年に1回のHPV検査単独法も選択できるようになっています。
  • 子宮体癌は子宮内膜の癌で、エストロゲンとの関連、閉経後の不正出血、子宮内膜細胞診が要点です。子宮頸癌と混同しないようにします。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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